メイド=冥土の使い??
ネタ回
あと更新が遅くなってすみません。。。
メイドは今日という日を本当に楽しみにしていた。
だが、それはちょっと以前の話。今は悲しみに明け暮れている。
……いや、怒りに狂い始めた。
そうして、魔王城に冥土の使いが誕生した。
時は少し遡る。
メイドはその日の夜、国中で有名なお菓子屋からケーキを仕入れていた。
そして、メイドはそのケーキを明日の3時に食べるということで冷蔵室へと保管していた。
「ふふふ、早く食べちゃいたいな」
メイドは満面の笑みを浮かべて言う。幸せという顔とはこういう顔だ。ここまで誰がみても幸せという顔をしていると言わしめることの顔はないだろう。という程の笑み。
メイドは冷蔵室を「我慢、我慢。明日には……ふふふふふ」と呟きながら出ていった。
といった様子から解る通り、メイドは無類のケーキ好き……いや、そんな程度では済まない。
ケーキ狂者といっても過言ではない。
ケーキを保管した翌日、メイドは3時の楽しみを思う存分に満喫するために、張り切って仕事をしまくる。
掃除――。
「ふふふ、これくらい一人で直ぐに掃除するわッ!!」
メイドは分身したと錯覚させてしまう程のスピードで動き掃除する。
もはや俊敏な魔族にも真似できない領域へと達している。
さらにただ速いだけでなく、正確で綺麗に掃除する。その正確さは凄く、寸分のくるいもなく隅々まで掃除を完璧に行える程だ。
そうして、メイドはたった一人で城の掃除を小一時間で終らせた。
買い出し――。
「ふふふふ、これぐらい一気に買っておこうっと」
メイドは掃除が終わった後、さらに買い出しにも出掛けた。
その買い出しで一山くらいありそうな物を買う。そして、メイドは一人で持ち上げる。
屈強な魔族でも真似できないだろう。それほどまでに凄まじい重量だ。
それをこのメイドは細腕をもってして笑顔で持ち上げる。
その光景は絶句するとしかいいようのない。という通り、出会う人々はメイドの存在を疑うばかりの視線を送っていた。
そうして、一人で買い出しを終えてしまった。
討伐――。
「ふふふふふふ、ケーキを食べる前に腹ごしらえをっと」
魔王城から近い森での討伐。
討伐とは兵がモンスターを倒し、国の平和を保つための仕事だ。
そうあくまでも兵がやる仕事なのだがメイドは勢い余って討伐をしていく。
しかも、今メイドが行っている討伐は難易度の高い高ランクのモンスターの全滅依頼。
熟練した兵であっても負傷者は出してしまう。それ程、難易度の高い内容だ。
だが、それをメイドは一人でやる。
メイドは力を解放し、モンスターをちぎっては投げていた。
ゴミのように扱われるモンスターたち。ゴミを片付けるメイド。
そんな奇妙な光景が広がっていた。
強き魔族であっても、このような光景を生み出すことはないだろう。
そもそも、生み出したくもないが。
そんな感じで何時もの1000倍以上の働きをしたメイド。(作家比)
そうして、迎えた3時。
冷蔵室へと向かう。
「3時のおやつ~♪」
メイドは満面の笑みを浮かべケーキの姿を確認するも……異常な事態を察して固まる。
「あ……ありえない!」
なんとケーキが6個あったのに、今は5個しかない。そういつの間にか1個減っている。
そうして、冒頭のシーンへと戻る。
怒り狂った冥土への使いであるメイドが誕生した。
メイドはとりあえず、残ったケーキを食べる。
だが、やはり6個食べるつもりであったメイドには物足りない。
そこで怒りはさらに膨らんでいく。
「サツガイ! SATSUGAI☆」
ケタケタ笑いながら発する言葉。狂った言葉。
狂いしメイドは、このあたりを通った可能性がある人物のところへと向かう。
この場所は、メイド専用の冷蔵室。
そして、勇者の客室の側であり、通る者は少ない。
だから、この辺りには勇者と魔王しか来ない。
「ヴェルトかぁぁあぁ!!」
メイドは過去、魔王にケーキを勝手に食べられた記憶がある。
それだけでメイドの標的にされるのは十分だ。メイドはただ八つ当たりしたいだけなのだから。
メイドは魔王と勇者がいる訓練場へと出向く。
「エミリーか? どうし……グレイ! 逃げるぞ! アレは危険だ!!」
「え? 何だよ、いきなり――」
「いいから逃げろ! さもなくば死ぬぞ」
メイドの状態を察した魔王は即座に撤退を始める。
かつて、魔王がメイドのケーキを横取りしたときに魔王はボコボコにヤられた。
だから、魔王はメイドを警戒している。
「逃がすかぁあぁあ!!」
メイドは一筋の閃光へとなり、魔王の逃げ道を塞ぐように前に現れる。
「覚悟は出来てるな?」
メイドは絶対零度の言葉を魔王に言い放つ。
威圧感は凄い。それだけで全ての相手を圧倒してしまいそうなほどだ。
その威圧感に押されないように魔王は踏ん張り、笑みを溢す。
「ふん、あの頃はボコボコにヤられたがいい機会だ。今は狂ったお前よりも強いと解らせてやろう!」
「無駄なことを!」
魔王は渾身の力を込めた右ストレートを放った。
スピードは速く、目にも止まらないスピード。
それは、高ランクのモンスターと言えども、一瞬にして葬りさる威力を持つ。
「な! なにッ!?」
高次元な威力を持つ拳。
それを意図も簡単に片手で受け止めるメイド。
それだけで一つの事が解る。
メイドのほうが何枚も上手だと言う事が。
そして、その最狂のメイドはニヤリと笑う。
そして、最後の言葉を言い放つ。
「SININA☆」
メイドは消えた。
魔王ですら、認知できないスピードの域に達している。
そのスピードはもはや神域。
そして、その神域に達したメイドは魔王に攻撃を仕掛ける。
魔王は中空に浮いて独りでにボコボコになっていく。
そんな不思議な光景が5分ほど続いた。
勇者はその光景を見て、腰を抜かしていた。
逃げたいのは山々だが、身体が言うことをきかないのだろう。恐怖が身体を支配しているようだ。
「ヒッ!」
魔王が地に落ちた。そして、メイドが姿を現す。
そして、メイドは勇者へと歩み寄ってきた。
勇者は歯をガタガタと鳴らし、もがく。
だが、身体が言うことをきかないため、逃げれない。
いや、逃げようとしても同じかもしれない。
相手はあのメイドなのだから。
だが、恐怖に染まった勇者は訳も解らずに力を振り絞り、何とか駆けだす。
しかし、それは無駄となる。
逃げ出したはずなのにメイドが目の前にいる。
やはりメイドから逃げれるわけがなかったようだ。
そうして、勇者の前に立つメイドは口を開く。
「アナタはケーキ食べた?」
「ヒッ! あの、えと、ケーキ? た――」
「ブーッ! 時間切れでーす。死にな」
ニッコリと笑顔を見せたメイドは消えた。
そして、勇者も魔王と同様に舞った。
その夜、メイドは自室に帰ってきてある事実に気付いた。
自室の机の上にケーキを入れていた箱があることで気付いた。
そう――。
「朝寝惚けて一個食べちゃってたんだ」
ということでケーキはなかったようだ。
魔王と勇者は完璧に被害者。メイドは加害者。
だけど、メイドは「まぁいいかぁ」とどうでもよさそうに言って眠りについた。
やはり世の中は理不尽だ。
以上、ネタ回でした。
次は魔王のお話をします!!
次は近いうちに更新出来ると思います!!