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決闘 ――<勇者>――

遅くなりました。。。(待っている人がすみませんでした。。。)

 

 

 

 

 

 

「へぇー。逃げずにきたようだね。てっきり逃げ出すと思っていたのにね」

「逃げねぇよ」

 

 俺は青髪の騎士、クリュス・ブリーナの真正面へと立つために決闘場を歩む。

 

 決闘場は直径100メートルぐらいの大きさ。そして、観客席にはチラホラとこの魔王城にいる者達とクリュスの率いてきた兵士達がいた。

 そして、俺が歩む先にいるクリュスはかつて俺を苦しめてきた一人。

 その一人に勝つために俺は真正面に立つ。

 

「ふん、強がりぐらいはできるようになったようだね」

「強がりかどうかは自分で確かめればいいだろ?」

「そうね。確かめてやるわ!」

 

 俺はクリュスに証明してやる。クズじゃなくて強き者であることを。

 その俺らの間に近づく者がいた。ヴェルトだ。

 ヴェルトは両方を見て口を開く。

 

「両者ともに用意はいいか?」

「問題ないわ」

「大丈夫だ」

「解った。ではこれより、クリュスとグレイの決闘を始める。決闘は相手が負けを認めるか相手を殺したほうを勝者とみなす。それから、他者による助言も援護も認めないものとする。それ以外についてはルールは特にない」

「決闘場から逃げ出した場合はどうなるの?」

「その場合は逃げ出した者を敗者とする」

「解ったわ。勇者(クソ)には残念なルールね」

 

 クリュスは見透かしたような笑みを浮かべ、言った。

 おそらく、俺が逃げ出す姿でも想像しているのだろう。だが、それは絶対にならないと知っているから、挑発に乗るようなことはない。

 

「そんなルールがあろうがなかろうが関係ない」

「そうね。関係ないわね。自分が負けても惨めに生き残りさえすればね」

「どう捉えても構わねぇよ。それよりもヴェルト、始めてくれ」


 俺が早く決闘を始めるように促したことにクリュスは驚いた表情をしていた。

 おおかた、俺は決闘をしたくないとでも思っていたのだろう。残念ながら、大外れだがな。

 

「そうだな。始めるとするか」


 ヴェルトは息を吸い込み、「始めッ!!」と勢いよく言って、観客席にまですぐに移動した。

 

「ふん、どうやらあたしの恐さを忘れたみたいだから思い出させてあげるわ!」

 

 クリュスはそう言って、俺に向かって殺気を放つ。

 俺は生死を掛けた戦いを経た。だから、クリュスの殺気だけで逃げるなんて行動はしない!

 

「へぇ、殺気を放ったんだけど、逃げないなんてね。鈍感なの?」

「鈍感なんかじゃねぇよ。殺気ぐらいは解る。殺気ぐらいじゃ逃げないってことだ」

「生意気な……」


 クリュスが手を向けた。

 その手には魔力が集められていた。おそらく、魔法を俺に放つ!

 俺は魔力を体内に循環させて、身体能力向上を行う。

 

「氷よ一つの槍と化し、敵を貫け、氷の槍(アイスジャベリン)

 

 クリュスから『氷の槍』(アイスジャベリン)が高速で放たれた。

 俺は相手の魔法を予測できていたこともあり、サイドダッシュを行って回避した。

 

「へぇ、小手調べとはいえ、避けるなんてね。思ったよりもクソはクソなりに頑張ってるみたいだね」

「そうだな。俺は俺で頑張っているよ」

 

 昨日見たとき、クリュスのスピードは俺と同等ぐらいと感じた。

 だから、回避した後も不用心に距離を詰めなかった。

 

「じゃ次はもっと攻めてあげるわ!」

「また、避けてやるよ」

「ふん、言ってな」


 クリュスは魔力を身体に循環させている。

 魔力はさっきと比べて大きい。これはさっきより大きいのが来る!

 

「数多の氷の弾丸、敵を貫け、氷の散弾(アイスショット)

「くッ!」


『氷の槍』(アイスジャベリン)より速い速度で氷が飛来する。

 氷の弾丸を一つサイドステップにより、ギリギリに避ける。だが、そこにまた氷の弾丸が飛来してくる。

 俺は何度も飛来してくる氷の弾丸を右へ左へと身体を動かして避けていく。この氷の弾丸は速くて数も多い。

 だが、ヴェルトの回避訓練(イジメ)程ではない。アレはもっと速く数も多い。これぐらいなら、避けてみせる。

 

「うぉぉぉおぉぉぉ!」

「なッ!」


 俺は飛来してきた氷の弾丸を全て避けきった。

 そのことでクリュスは茫然としている。今がチャンスだ!

 

「喰らえ!」

「……くっ!」


 俺は無詠唱にて低威力の光の銃弾(ライトブレット)を放つ。

 クリュスは高速で放たれた魔法に反応が遅れたため、回避を行ったあとに態勢が崩れた。

 俺はクリュスが魔法を回避し態勢が崩れることを予測していたため、距離を詰めておいた。


「これで終わりだ!」

「!?」


 俺はクリュスに向かってタナトスを振りかざす。

 ……甲高い音が鳴り響く。

 

「なッ!」

 

 驚く番が変わった。

 俺はクリュスに向かって振りかざしたはずなのに甲高い音がなった。それはタナトスを振りかざしたがクリュスに届く前に氷壁に阻まれたためだ。

 クリュスは氷壁の向こうで毒々しい笑みを浮かべた。

 

「ふふふ、本当に勝てると思ってたの? このクズが!」

 

 クリュスはそう言って、腰から剣を抜き、斜めに斬りあげた。

 俺はタナトスを振りかざして止まってしまっていたため、反応が遅れる。だが、反応が遅れながらも身体をひねって出来るだけ避ける。

 そして、態勢を立て直してバックダッシュをして距離をとった。

 

「残念ね。あれじゃ避けれなかったようね」


 俺はひねって攻撃を回避したが、完璧に回避することは叶わなかったようで胸が浅く斬られていた。

 ただ、そこまで深い傷ではないため、致命傷になるほどではない。だが、斬られたところから、血が流れて体力が落ちていく。これによって長期戦を行うのは不利ということになってしまった。

 それにそんなことより、大きな問題がある。

 そんな俺を見透かしたようにクリュスは笑って、口を開く。

 

「そうね。クソの心配はあたっているわよ。私の氷壁(アイスウォール)はクソごときに破れないわ。これでも私は『氷壁の騎士』の二つ名持ちだからね。クソ程度には負けないわよ」

「……」

 

 そう大きな問題――それは攻撃が無力化されてしまうということだ。

 相手の氷壁(アイスウォール)の発動よりも速く攻撃できれば問題がないが、速く攻撃出来ない場合については恐らく全ての攻撃が無力化されてしまう。そして、発動より速く攻撃するのは先程の無詠唱からの発動を見ている限り、発動を上回る速度で攻撃することは出来ないだろう。

 そう、相手の攻撃を避けることは出来ても攻撃する手段がない。これではジリ貧だ。いずれ、相手の攻撃を避けれなくなり、負けてしまう。

 何か勝機を見出さなければ勝負にもならない。

 

「何を考えても無駄! クソは負けるだけなんだからね!」

「!?」


 無詠唱で氷の散弾(アイスショット)が放たれた。しかも、先程以上のスピードで放たれた。

 俺は予測出来ていなかったことと先程のダメージにより、完璧に回避出来ない。

 肩・腹・足。

 徐々に傷を増やしていく。


「クッ!」

「ほらほら! さっきまでの威勢はどこにいったの? やっぱりクソはクソだねぇ」

「まだ負けてねぇよ。勝ちへの途中だ」

「ふん、良くそんなことが言えるわね。じゃぁコレも避けてみな!」

 

 クリュスは氷の散弾(アイスショット)の弾幕を増やしてきた。

 只でさえ、避けきれていなかったため、傷を増やしていく。

 何とか致命的となる程の傷を負わないようには避けていくが、これではジリ貧だ。どうにかしないと。


「考え事する余裕なんて、あるのかい? とりあえず、もう鬱陶しいしヤられな」


 クリュスはそう言ってもう一本の腕を上げ、魔力を込める。そして、クリュスは5メートル程度の巨大な氷の槍を中空に浮かべた。先程とは比べ物にならない。

 だが、俺は氷の銃弾を避けるのに精一杯で何も迎え撃つ準備が出来ない。といっても、準備する時間があったところであんな攻撃を迎え撃つモノなんて用意出来ないだろうがな。

 しばらくすると魔力を込め終わったようでクリュスは此方をみて、バカにしたような笑みを浮かべる。


「氷よ一つの槍と化し、敵を貫け、氷の槍(アイスジャベリン)


 まだ飛来していた銃弾を破壊しながら、巨大な氷の槍が突き進んでくる。巨大ながらもスピードは氷の銃弾より速い。

 氷の銃弾を避け続けて態勢を崩していたこともあり、避けられそうもない。

 ――直撃する!


「うぉぉぉぉ!」


 避けられない。

 だったら、俺が取る行動は一つ。タナトスで受け止めるしかない。

 氷の槍と衝突させる。その瞬間に強い衝撃を受ける。


「がッ!」

 

 氷の槍の質量と威力は相当なモノであったようで、俺は受け止めきれなかった。そして、吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。

 背中を強く打ってしまったようで肺から空気が全て吐き出されてしまう。

 だが、何とかタナトスで受け止めたため、直撃は逃れた。


「ハハハハッ! 何とか直撃は免れたようだねぇ。だが、クソの負け決まったようだね」

「か、勝手、な、ことを、言う、な」

「ククククッ! そんな身体であたしに勝てると思ってんのかい?」

「か、かてる」

「何を抜かしてるのかねぇ。このクソがッ!」

「がはッ!」


 いつの間にか近寄ってきたクリュスに蹴り飛ばされる。

 俺は地面を不様に転がる。


「ふん、不様だねぇ。でも、アンタにはお似合いだよ」


 クリュスはそう言って見下す。

 確かに俺はダメだな。クソって言われても仕方ない。

 もう負――。

 

「グレイ! 私、グレイを信じてるからッ!」

 

 聖女から俺を応援する声が聞こえた。

 

「はん、脳みそがクソな聖女様だね! それから、外野は黙ってな! 助言は無しだろう?」

「うるさいわねッ! 助言じゃないわよ! ただ応援しただけよ!」

「この愚弄め! マリア様に何て口を聞く!! それにマリア様が仰る通り、先程のは助言ではなく、応援だ! それぐらい解れ痴れ者がッ!」

「ふん、それも禁止だって言ってんだろう? まったく、聖女様とやらはどこか頭がおかしいんじゃないの?」

「――お前達、黙れッ! 戦いを始める前にも言ったが、助言は無しだ。だが、今のは助言には程遠い応援(モノ)であったから、一回だけは許そう。だが、もうしないようにな」

 

 ――負け何て言ってらんないな。

 俺、自身が諦めるのは早いだろ。

 

「――う、うぉぉぉぉ!」

 

 力を精一杯込めて立ち上がる。

 まだ負けていない。なら、まだ足掻こう。不様だ、とかは関係ない。

 俺を信じてくれる人がいる。――俺が必死に戦う理由としては十分だ。

 

「はぁ、聖女様は頭が可笑しいようだね。こんなのがあたしに勝つと思うなんて」

「俺は、まだ負け、ていない!」

「じゃぁ、勝てないとよく理解させてあげるよ」

 

 クリュスはそう言って氷の障壁を出現させる。

 

「ほら、攻撃してきな。クソの攻撃なんて効かないからね」

「うぉぉぉぉ!」

 

 俺は光の銃弾を数発放つ。

 そして、タナトスによる攻撃をする為に、距離を詰める。

 まずは光の銃弾が氷の障壁に衝突するが、氷の障壁に阻まれる。

 続けてタナトスで斬りつける。だが、やはり氷の障壁を破ることは叶わない。

 

「うぉぉぉぉおぉぉぉぉぉ!」

 

 一撃で破れないなら何度も攻撃を重ねるだけだ。俺はタナトスを何度も斬りつける。

 ……だが、やはり何度も攻撃を重ねても破ること出来ない。

 

「ふぅ、バカだね。まだ理解出来ないのかい? アンタに付き合うのも鬱陶しいッ!」

 

 クリュスは氷の銃弾を俺へと放つ。

 俺は録に回避すら出来ず氷の銃弾に腹を撃ち抜かれ、後方へと飛ばされる。

 

「がはッ!」

 

 腹を撃ち抜かれてしまったため、吐血する。

 そして、力を失くして地面へと倒れこむ。

 

「ふん、この雑魚が。これで解ったろ? アンタの負けだよ!!」

 

 クリュスは勝ちを確信した声で俺に言う。

 

「お、おれ、は、ま、けて、ない」

 

 俺は言いながら立つ。俺は負けていない。だから、何度でも立つ。

 

「ッ!! 本当に鬱陶しいね! もう、死なないように手加減していたが、我慢ならない。アンタのことをアタシが殺したとなると面倒だけど、もういい! 死ねッ!」

 

 クリュスは本当に俺を殺すつもりで魔力を集束させ始めた。

 中空に浮かぶ巨大な氷の槍。それは先程の倍はあろうかという巨大さ。恐らく、クリュスが放つことが出来る最大の威力の大きさなのだろう。それを喰らえば満身創痍である俺は簡単に死んでしまうだろう。

 だが、俺は止まることは出来ない。いや、俺は負けていない。無謀だと思われるが、俺はクリュスに負けたなんて一切、感じていない。(グレイ)に期待してくれた人がいる。そして、俺も俺自身を信じている。

 俺はまだ強くなんてない。だが、俺は強くなる。そして、このクリュスを超えるのは今だ。

 俺は強くなる!!

 

「死にな! 氷の槍(アイスジャベリン)!!」

 

 氷の槍(アイスジャベリン)が俺に迫り来る。

 それは空気を振動させ、大地をも凍らせる直進してくる。

 俺はその氷の槍(アイスジャベリン)に対してタナトスで斬りつける。

 タナトス。俺のライバルである魔王から譲り受けた最高の剣。俺は俺を信じてくれたアイツの力を借りて、勇者としてではなく、一人の人間として、強くなる。アイツよりも、誰よりも――強く。アイツとの約束を果たすために。だから、こんなところで立ち止ってなんかいられない。

 

「うぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉおッ!」

 

 斬りつけたタナトスは俺の意思に呼応するかの如く、俺の魔力を吸い強き漆黒の光を放ち、刀身を変えていく。

 漆黒の長剣――タナトス。タナトスは長剣と化した。その刀身は依然よりも黒く強き輝きを秘めた神秘なる剣となった。

 そのタナトスをもってして、氷の槍(アイスジャベリン)を真っ二つに切り裂く。

 

「なッ!」

 

 まさかの光景により、クリュスは驚愕の表情を見せ、隙が出来る。

 俺はその隙を見逃さずに距離を詰める。そして、氷壁をも打ち破るためにタナトスを振るう。

 

「くッ!」

 

 クリュスは氷壁を張った。そして、タナトスと衝突し、甲高い音がなる。

 氷壁はタナトスの剣戟を止めた。

 

「……は、はは。……焦らせるんじゃないよ。結局、アンタはこのアタシには敵わないのさ!」

「俺は……俺は勝つッ!!」

 

 タナトスは俺の意思に従うかの如く、更に強く強く漆黒の光を増す。

 氷壁はその光に伴い、音をギシギシとたてる。そして、氷壁にヒビが生じる。

 

「そ、そんな? まさか?」

 

 俺は意思と共に自分が出せる力を込める。いや、自分が出せる力の限界を超えて力を込める。

 魔力が尽きようが、身体が疲弊しきっていようが、俺は――勝つために力を込めるだけだ!!

 

 ヒビが隅々までに入った氷壁は音を立てて砕け散る。

 そして、俺はすかさずタナトスをクリュスの首に突き付けて言う。

 

「俺の勝ちだ」

 

 クリュスは為す術もなく、首にタナトスを突き付けられた。

 それは、俺の勝ちを示すこととなる。

 

「あり得ないッ! こんなことはあり得るはずがない!!」

 

 クリュスは叫ぶ。俺に負けたことが信じられないといった様子だ。

 いや、俺にまだ負けたということを認めていない。

 クリュスは首にタナトスを突きつられているのに動こうとしたため、首が傷ついてうっすらと血を流す。

 

「止まれッ! お前が動けば、タナトスで斬りつけるぞ!」

「……ははは、ヤればいいじゃないか! アンタはアタシの事が憎いんだろう? だったら、ヤればいいだろ? えぇ? ヤればいいだろうがッ!!」

 

 クリュスは覚悟が決まっているのか、俺にヤれと命ずる。

 だけど、俺は――。

 

「俺はクリュス、お前が憎いと思った時期もあったよ。だがな、俺はあの頃とは違う。お前だって俺は殺したくない。いや、違うな。俺が目指す強さにはお前を殺すことで近づくとは思わない。それにお前がいてくれて、俺は感謝している。あの頃は俺が弱かったからダメだったんだと解ったし、お前のおかげで強くなる決心がついた。俺が目指すモノが見つかったんだ。だから、俺はお前を憎まないし、それよりもライバルの一人として一緒に強くなれたらいいなと考えているよ。また今回みたいに戦って二人で強くなっていきたい。だから、俺はお前を殺さず、二人で強くなっていくつもりさ」

「……ふふふ、あははははッ! 本当にバカだね。アタシを憎んでいない? 全く、どんだけお人よしなんだよ! ライバル? そんなのにはならないよ! 今回はたまたま負けただけだけど、これからはずっとアタシが余裕で勝ち続けるからね」

「ふむ、ではクリュスよ。お前の負けでいいか?」

「あぁ、いいよ。今回はグレイに対して最初で最後の負けだ」

 

 クリュスはいつの間にか近くに来ていたヴェルトに尋ねられて負けと返した。

 クリュスはバカバカしいと言わんばかりに俺をみて笑いながら言った。

 その笑顔は先程までと違い、一人の女性として可愛く綺麗だった。

 

「何見とれてんのよッ!」

「ぐはッ!」

 

 いつの間にか近くに来た聖女から光の銃弾(ライト・ブレット)が放たれた。そんでもって俺に直撃し、俺は吹っ飛ぶ。

 いや、待て。俺、怪我人だぞ。なのに何で魔法を放つ。俺、なんかしたか?

 

「なによ。さっきのアレ。ま、まるで、こ、こ、こ、くは、く、みたい、じゃない」

「何言ってんだ?」

 

 聖女はもう一度、魔法を放とうとする。いやいや、ちょっと待て! 何で? 意味わかんねーよ!

 ――って、本当に放ってきたッ!

 俺は必至に避ける。いや、いくら弱い威力っていっても重傷な相手にそんなことしたら、ダメだろ。

 

「捕えました。聖女様! 今です。ヤってしまって下さい!!」

 

 うん、セノアさん。アンタ、本ッッッッッッ当ッッに俺を殺す気だよな。

 何で会って間もない頃から、そんなに殺気いっぱい何だ?

 まったく、意味が解らない!!

 ――ってその間に聖女が本気の魔力込め始めてるよ。いや、俺、重傷だよ? いや、死ぬってぇぇぇぇ!!!

 

「戯れるのはそんなところにしろ!」

「むぅ。解ったわ。これくらいにしておく」

「チッ!」

 

 おい、待て。一人可笑しいだろ。「チッ!」ってなんだよ! 殺したかったが仕方がないみたいな顔すんなよ!

 だが、ヴェルト。ナイスなタイミングだったぜ! さすが、俺に負ける運命のライバル。

 この調子じゃ決闘の時に余りにも差があるだろうから、可哀想にならないように手加減するようにしてやるぜ!

 俺はヴェルトに対してウィンクを送る。ちゃーんとバカにも解るようにな。

 

「……後で好きにやれ」

「ならいいか」

「ふふふ、ヤってやる」

 

 おい、待てぇぇぇぇ!

 ヴェルトよ、俺の顔を見て意見変えただろう。

 なんで? 手加減してあげる約束しただけなのに!!

 っつーか、セノア。俺をヤる気か?

 

「とりあえずだ。脱線はもういいだろう」

「あぁ、そうだな」

 

 真面目な顔したヴェルトに俺はそう返した。

 そして、ヴェルトは大きく息を吸い込み、口を開く。

 

「この度の決闘の勝者は、グレイだッ!」

 

 ヴェルトの放った声は決闘場の隅から隅にまで聞こえるような声で俺の勝利宣言がされた。

 

 

 

 

 

 

 

 なぁ、ヴェルト。

 俺、少しは強くなれたよな。

 


相変わらず、ちょっとご都合主義すぎますかね?

とりあえず、グレイは『強さ』の欠片を手に入れました。これから、先もその目指す強さに向かって彼は強くなっていきます。

それから、駄文にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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