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聖女、魔王城へと向かう  --<聖女>--






 あれからミネアとレニとの立案した作戦を実行する日まで聖女として仕事をして過ごした。

 もちろん、早く作戦を実行したかったのはあるが、そのためには色々と準備する必要があった。





 まず、一つは私が行っている教会での仕事のこと。

 これには私の良き相談者であり、教会のトップでもであるセイント教主と相談をして、他の者を代用することによってカバーすることとした。

 これによって、私が行っている全ての仕事をカバーするところまで至らないにせよ、ある程度までカバーすることが出来る。

 セイント教主にはいつも迷惑ばかりを掛けてしまうが仕方ない。

 

 


 そして二つ目がどうやって聖女を魔族の地へと行くかということ。

 これには弊害が二つあり、まず一つ目は聖女は国から出ることが出来ないようになっているということ。

 聖女は民の光でもあるため、万が一のことがあっては困る。そのことにより、国から出ることを禁じられている。

 そして二つ目が魔族達に見つかった場合にどうするかということ。

 魔族の領地へと許可なく侵入することは出来ないようになっている。それならば、許可を取ればいいのではないかと思うが、そんなことは出来ない。なぜならば、許可を得るためには我が国の国王の印と相手の国の了承が必要であるためだ。勿論だが、国王に印なぞもらうことは出来ない。

 しかし、その二つの問題は協力者であるミネアとレニが解決をしてくれた。


 

 まず一つ目の『聖女が国から出ることは出来ないということ』という点についてはレニが解決をしてくれた。

 レニは若いながらも将軍という立場にいることにより、信用たる看守に『聖女が通るが許可するようにと』指示を出しておくことが出来る。

 といってもレニが信用する者にしかこの作戦は通用しないため、その看守が当直する日のみが実行出来る日となる。


 

 そして二つ目の『侵入許可』についてミネアが解決をしてくれた。

 ミネアは大貴族という立場もあり、魔族の地へと商売関係で行く者を見繕ってもらった。そして、見繕ってもらった商売関係者などに紛れて聖女を魔族の地へと誘おうといった作戦だ。

 こういった手配を簡単に済ましてしまうあたり、やはりミネアは相当な切れ者であり、中々の権力の持ち主であることを示している。


 

 そして、あちらに着いた時に行動するためにと知識を埋めていき、作戦を行う日が訪れるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 作戦の日が訪れた。

 

「マリア殿、魔族の地はモンスターが色々、いるのでお気をつけて下さい。それから、私が仕入れた情報によりますと、一日遅れで王国軍の者も出立するそうなのでお気をつけて下さい」

「ご気遣いありがとうございます。王国軍の者には追いつかれないようには致します」

「一応、商人であり傭兵である強い者を一緒にしておいたから、大丈夫だとは思うけどモンスターなどには気をつけてね」

「はい、了解しました」


 そうしてレニとミネアの見送りを後にして、私は馬車に乗り込んで出発した。

 

「マリア様、モンスターがいようとも私が排除致しますのでお任せ下さい!」

「えぇ、あなたは頼りにしてるわ。モンスターがいたら宜しくね」

「ははッ! ありがたき幸せでございます!」


 教会から極秘の護衛として一緒に来た女性がいた。彼女は飾り気のない白い清潔な上位と腰にまとわりつく長いスカートをはいていた。そして、腰には長剣を帯びている。銀髪のミディアムヘアの勝気な感じのする強い目をした美人の聖騎士である女性(セノア)

 そのセノアは大げさに低頭して嬉しそうにしていた。

 護衛は必要ないと言ったが、セイント教主が『絶対に一人は護衛を付けるように』ということを無理やり押し切った。

 確かに護衛を付けることに対してデメリットはあまりないということもあって了承をした。

 ただ、セノアが護衛するとなれば断っていたことだろう。

 確かに護衛としては確かに優秀かもしれないセノア。だが、正直に言って少々面倒なところがあるため、セイント教主の人選を恨めしく思ってしまった。


「但しね。一応、商人の娘としてこの馬車に乗り込んでいることになってるのでマリアとは呼ばずに偽名(マリネ)と呼ぶようにしてね」

「ははッ! 解りました、マリネ様ッ!!」

「……様もつけないようにね」

「なッ!? 私にはそのようなことは出来ません!! 尊敬して止まないマリア様に対してそのような言葉など口にはできません!!」

「もう、だから偽名(マリネ)で呼ぶように! それから、様も付けないようにね!」

「なッ! 私に死ねとおっしゃるのですか??」

「なんでそうなるのよ」

「おい、譲ちゃん達、バレてしまうと元も子もなくなるからもう少し静かにしてくれねーか?」

「マリア様に対して何たる暴言ッ!! 万死に値するッ!」

「あぁ、もうセノア! 私の言うことを聞きなさい!」


 といったようにセノアは聖女(わたし)を第一として行動をする。

 そのことは嬉しいときもあるのだけれど行き過ぎた尊敬はときに空回りをしてしまうのだ。そう今のように。

 確かに優秀なセノアを付けていると聖女(わたし)には危険が少ないかもしれないが周りはそうではない。

 そして、その暴走を止める必要があるのだが、暴走を止めるのは本当に疲れてしまう。

 まったく、セイント教主は「仕事を押し付けられても嫌なことはないよ」と言いながら、本当は仕返しとしてセノアを付けたのではないかと思えてしまう。

 

「貴様ぁ! 訂正しろぉぉぉ! でなければ、殺ぉぉぉぉすぅぅぅぅ!」


 あぁ、まだ暴走している。本当に面倒だ。

 と考えている内にまた暴走していっているので止めることとする。

 本当に護衛付けなかったらよかったという後悔とともに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、看守もレニの言いつけ通りに中にいる聖女(わたし)の姿を見たが知らない振りをして通してくれた。

 そして、馬車が1日休みなく日暮れまで進んだ。

 今日はこの平原でテントを張って休むこととするようだ。

 

「ささ、マリア様。このテントでお休み下さい! 例え、モンスターが来ようとも命に代えてでも遵守致しますのでご安心下さい!」


 セノアは結局、聖女(わたし)のことを偽名で呼ぶことはしなかった。

 道中に人間と思しき者に会話を聞かれなかったから良かったものの本当に危険だから止めて欲しかった。

 それから、聖女(わたし)の第一の騎士であることであることを示すとばかりにミネアより同行するように言われた商人達に対抗する。このようなことで張り合って欲しくもないのだが。


「セノアも休むようにしてね」

「いえ、私はマリア様を守るという使命があります故に休むことは許されません!」

「そうは言っても明日に響いたら問題があるわ」

「うむむ、ですが……」

「ここにいる商人達は屈強な戦士でもある者達なので信用するように。解りましたか? 私の第一の騎士であるセノア」

「ははッ! マリア様の第一の騎士であるセノアはマリア様の言を信じることと致します!」


 第一の騎士と呼ばれてホクホク顔のセノアは途中で商人達と見張りを交代することを約束した。

 ある意味扱いやすい人物かもしれないと思いながらセノアは床に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「王国軍の連中が来たぞッ!」


 その一言で私は飛び上がるように目を覚ました。

 王国軍は明日に出立するはずだったのに?

 という疑問は頭から離れなかったが、現状確認をするためにテントから出た。

 

「どうやら、王国軍がこちらに向かってきているのを俺の仲間が発見したようだ。もう余り、距離もないことだとよ。恐らく、譲ちゃん達のことがバレたから、早く出立したのだろうな。だから、譲ちゃん達は先にこの馬車を引っ張っていた馬を使って魔王城へと向かってくれ!」

「ですがあなた達が……」

「俺らは商人であり傭兵であるプロだぜ? 王国軍相手に時間を稼ぐことぐらい、朝飯前だぜ」

 

 と言った後に「まぁ、本当に朝飯前だがな」と言いながら、馬を用意してくれた。

 

「聖騎士である私も残りましょうか? 戦闘になった場合はかなりの力になれることは保障できますが」

「いや、そこの譲ちゃん一人だと、魔族の地は色々と危険だから、聖騎士の譲ちゃんは護衛としてついていけ」

「そうですか。解りました」


 そう言ってセノアは馬に乗った。

 それに続くように私も馬に乗った。

 

「魔王城はそう遠くないから、その馬達を飛ばしていけ。それから、この許可証は渡しておくから魔族に見咎められた時には許可証を出せよ」

「はい、何から何までありがとうございます」

「おう、早く行け」

「はい」


 そう言って私とセノアは馬を駆けだした。

 商人達にも迷惑を掛けてしまったので絶対に王国軍に捕まる訳にはいかない。国を救うためにも。


「まったく王国軍に捕まるのではなく、魔王軍に捕まることが国を救うことになるとはおかしなことね」

 

 そう一人呟いて、国を救うために馬を走らせた。





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