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氷の魔女の料理屋さん~最愛の師匠を探してモフモフな食堂を始めました!~  作者: 遠野イナバ
第十章『燃える!炎のリゾット』

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40 閑話:師匠の行方

 そんなこんなでパーティーを初めて二時間が経過したころでしょうか。

 ほろ酔い気分の……いえ、かなり酔われたジェシカさんが話が振ってきました。


「そーいえばぁー、ロゼちゃんの探してる男の人だっけぇ? 白髪に黄昏色たそがれいろの瞳の……ひっく。ピーくんがそれっぽいひと見たーとか、ひっく、言ってたわねぇ……」


 そのままボトルを抱いて頬ずりしています。

 ユーリさんがちょっと引いています。

 わたしもドン引きしました。


「ええっと……、ピーくんというのはお城の厨房の?」


 見習いの、金髪くんでしたっけ。

 名前は忘れましたけど、ジェシカさんが『ピー君』と呼んで彼をあごで使っていたことだけはよく覚えています。


「そうよぉ、あたしの元職場。──で、この前ぇ、彼がうちの店にパンを買いに来た時に言ったんだけどぉ、ひっく。白髪に赤い瞳の文官がどうのって話してたわー。ひっく」

「文官?」

「確か、何番目かの王子様の補佐官、だったかな? でも十七かそこらの人らしいから、ロゼッタさんが探してる人とは違うと思うよ」


 それにそれならペリードくんが気づくはずだし、とジェシカさんからボトルを取り上げて、リリックさんが苦笑しました。

 ジェシカさん爆睡です。

 お酒はほとほどに。


「うーん。師匠も大概若く見えますけど、さすがに十代には……」

「白髪に赤い瞳の男性ですか? それでしたらお姉様。先月、父が兄の店で見たと話していましたよ」


 ソフィアさんが思い出すようにゆっくりと語ります。


 先月の上旬ごろ。

 ソフィアさんのお父さんがジャンさんのお店に荷物を届けていると、十歳くらいの女の子がお店にいらしたそうです。


 だけどその女の子は財布を忘れてしまったようで、ドーナツを見ては、ため息をついて外に出られたのだとか。


 でもそのあとすぐにお兄さんらしき白髪の青年とやってきて、ドーナツを購入していかれたそうです。

 なお、その際青年が首から下げていた星の首飾り。そのひもが切れてしまい床に落ちたところをジャンさんが拾ってあげたのだとか。


「銀髪の、とてもかわいい女の子だったとウチの父が熱弁していました」


 熱弁されても。


「そ、そうなんですね。でも師匠に妹さんはいらっしゃらないと思うので……違いますかね」


 あとロリコンでもないですし。


「はい! ロゼッタ先生!」


 と、今度はサラさんが元気よく挙手して話し始めます。


「今朝わたしの友だちから手紙が届きまして。ユーハルドの西にあるディルの港町でそれらしき人と出会ったらしいです!」

「ほう」


 以前みごとなスコーンテロを披露してくれたサラさん。

 例のご友人とは無事に仲直りできたようで、そのご友人はいまユーハルドの西にあるリーナイツ地方へと里帰りしているそうです。


「それで、魚を買いに港に行ったらしいんですけど、そこで友人いわく『独り身のお姉さんの心にしみる十代前半くらいのプラチナブロンドの少年』にナンパされたみたいなんですよ」


 今度はショタですか。

 嬉々として語るサラさんの話にわたしは耳をかたむけます。


 どうもご友人が港を歩いていたらかわいい金髪少年から『きれいなおねえさん、ボクとお茶しない?』という誘いを受けたのだとか。


 それでご友人は『どうしようかなあ?』とニコニコ顔で返したところ、颯爽さっそうと現れた白い髪の男性が金髪少年の頭を叩き、『コイツがすみません』と謝罪してきたそうです。


 そのまま金髪少年を連れて男性は隣国行きの船に乗った、とのことでした。


「友人が言うにはその男性もかなりかっこよかったわぁ、とのことです。ただあともう数年若ければなぁ……と手紙には書いてありました」

「──それです!」


 わたしは思わず机から身を乗り出しました。


「師匠は金色の猫──あ、いえ。近従ペイジを連れているので、多分その金髪の男の子がそうだと思います」

「ほんとうですか!?」

「おそらくは。……わかりませんけど」

「ええー、どっちなんですか先生ー」


 いやだって。

 情報が少なすぎて、師匠と確定できる要素が無いですし。


 でも師匠が連れている少年──猫の星霊は、エルフィードおじさまと同じように女の子が大好きです。


 森族の里に滞在しているときも、わざわざ猫の姿を取って、里の女性たちからモフモフされていました。

 わたしもモフモフしました。


「仮に、その人が師匠だとしてなぜ船に? それに隣国って一体どこへ……」

「ディル港からでしたらイナキアじゃないかな?」


 ユーリさんが地図を見せてくれました。

 イナキアというのはユーハルドの北にある隣国でして、商人による商人のための商人で形成された国なのだとか。


 文字通り、国民全員が商人もしくは職人の国。


 そんなところに師匠はなんの用があるのでしょうか。謎です。


「僕、今度学会の発表でイナキアに行くので、現地の知人たちに聞いてみますよ。仮にその人がロゼッタさんの探している人でもそうじゃなくても、足取りさえ分かっていればのちのち困らないでしょうから」

「じゃあユーリさん。その情報、私にも共有してくれ。フィーティアのイナキア支部に伝えて探してもらうから」

「ユーリさん、アルバちゃん……!」


 ふたりのご助力、感謝です。

 ほかのみなさんも情報提供ありがとうございます。

 わたしは伝えても伝えきれないお礼を述べて、帰っていくみなさんを見送ったのでした。

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