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氷の魔女の料理屋さん~最愛の師匠を探してモフモフな食堂を始めました!~  作者: 遠野イナバ
第四章『猫探しと新メニュー』

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14 新メニューを考えました

 翌日。

 無事に魔女の初仕事を終えたわたしは、新たなメニューを表の看板に書きこんでいました。


「なに書いてんだ?」

「新しいメニューの宣伝です。──よし、と」


【大人様ランチ、始めました】


「大人様ランチ? なにそれ」

「好きな料理を組み合わせて注文できるランチメニューです。作れる料理が増えましたからね。──ほら、パピヨン亭でも『ランチメニュー』というものがありましたでしょう?」


 お昼の時間帯のみに提供する特別なメニュー。

 パピヨン亭では『日替わりランチ』と称して、その日の仕入れ具合によって中身が変わるそうですけど、そのぶん通常メニューよりも安くお客さんに提供できるんだと店主さんが話しておられました。


 わたしが考えたのはそれの応用版。


 お品書きの中から好きな組み合わせをお客さんに選んでいただき提供する、というものです。


 たとえばオムライスとナポリタンの二つ盛り。

 ミートグラタンとカルボナーラとグリルチキンの三つ盛り。


 こんな風に、複数の種類を組み合わせて注文できるので、お客さんは自由に好きなものを選べるため、お店との()()()()()が起こりにくいというわけです。


 そう。

 実は、『ランチメニュー』は比較的どの店でもやっているものですけれど、提供メニューというのは大抵固定な場合が多いんです。


 わたしがここ数日、シュクレくん探しと平行して王都の飲食店を回って調べたところ、どこの店も『なんたらランチ』だの『なに定食』だの、まあ注文を受けた時にわかりやすい名前に『ランチ』や『定食』とついたものが割合占めていました。


 つまり、中身が決まっている。


 そこにパンやサラダ、ドリンクなどをつけてお得感を出しているわけですけど、お店によってはよく見ると、とくべつそこまで安くはないんですよね。


 それでも、通常メニューよりも安価ならと頼んでしまうのがヒトのさがというものです。


 では、ランチメニューのラインナップを見てみましょうか。

 ほとんどの店は数種類。

 十種類もあれば、かなり多いです。


 そして、お客さんはその『数種類』の中から目当てのものを探して注文するわけですけど、必ずしも食べたいものがあるとは限りません。

 苦手なもの。

 微妙なもの。

 今日の気分じゃないもの。

 それらを弾いて残された選択肢から、『じゃあこれで』とため息混じりに注文するヒトも中にはいるでしょう。


 はい、わたしのことですね。


 なんでランチメニューにチキンが無いんですか。

 ブタはわかります。

 人気ですから。

 でもヒツジはナイでしょう。


 そこはチキンです。

 ヒツジはお呼びじゃねえんですよ、と例のおしゃれなオープンカフェ(パピヨン亭のライバル店)のお品書きを見て、メニュー表を投げたわたしでした。


 そんなわけで、自由がない悲しさを知ったわたしはサラさんから聞いた『お子様ランチ』の話からこのメニューを考案し、大人が頼むランチ。

 つまり、『大人様ランチ』と名付けたのでした。


「あとは、クチコミ……は、セリカさんがこ友人方にウチ(店)のことを宣伝しておくと仰ってくれましたから、大丈夫そうですかね」


 わたしは玄関にかかった札を『オープン』に変えて店内なかに入ったのでした。

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