再び魔塔へ
呼んでいただきありがとうございます。
ドレス選びから数日後、私はアロと再び魔塔を訪れた。
今回は地下の訓練所に行くため、裏口から中に入った。
中に入ると広い階段があり、降りた広間には分厚い大きな扉があって。
扉の前にガブリエルさんが待っていた。
「お眼にかかれて光栄です。ルシア王女殿下
先日は、お立場をわかっておらず、失礼いたしました」
ガブリエルさんが、恭しく頭を下げた。
「あああの、そんなに畏まらないで下さい」
「ガブリエル、開けてくれ」
話をさえぎり、アロがガブリエルさんに指示すると、ガブリエルさんが扉に手をかざした。
音もなく厚い扉が開く。
そこには広々とした草原が広がっていた。
「わーすごい、訓練場と聞いていたからいろんな器具や装置がいっぱいあるお部屋かと思っていたけど、きれいな草原だ~」
「魔法空間だ、原理はアイテムボックスみたいなもので、空間の中は自由に操作できる。このところあまり外に出てなかったからシリン村の草原をイメージしてみた。
この空間なら、訓練の音も衝撃も吸収して外には漏れない」
「すごい、風も吹いてるね」
私はなんだかピクニックに来てるみたいで、わくわくしてした。
アロもにっこり笑った。
「あちらの東屋に魔道具を準備しています」
ガブリエルさんについて草原を進む。
「封印と浄化の効果継続と監視でいいんですよね?」
「ああ」
少し先にある、東屋に着くと剣と鍵型の魔道具がテーブルに置かれていた。
「対象が古木だと聞いたので、剣で貫く方法か、チェーンと鍵で囲う方法が良いと考えました」
「いい出来だ」
アロは魔道具を手に取り入念に確認している。
「んー。ラミ様とも話してみるが、鍵型がいいかな、実際にレーアが封印に立ち会う事になれば、使いやすいものがいい。あと少しかわいくしろ」
「はい?」
ガブリエルさんがアロに引きずられていく。
「色とかいろいろ工夫できるだろ。」
「はい?ほんとにアロイス様ですか?初めて見る言動に頭が付いてけませんよ~」
「いいから、色は紫と青を基調にしてかわいい形にしろ」
「どうせ調整しますから治せますけど…………」
アロとガブリエルさんが済推し離れたところで、こそこそ何か話しているが良く聞こえない。
「はー風が気持ちいい。村のみんなは元気かな~」
草に腰を下ろし、内緒話が終わるのを待っていると、アロが隣に座った。
「あの魔道具は本番用だ、今日は違う道具に魔力を流す訓練をしよう。
道具にも相性があるし、魔力の量にもよるが、壊れたり弾け飛んだりするから注意が必要だ」
「だからここでやるのね」
「あと、ガブリエルは魔道具作りの天才だからな、魔道具は本来自分で作って魔力を注ぐのが一番安全でスムーズだが、作るには緻密な魔法と道具の知識と作成する技術の習得が必要になる。
短時間には難しい作業だが、ガブリエルは、レーアに合わせて作る技術がある」
「ガブリエルさんすごいんですね!」
私がパチパチと手を叩くと。
ガブリエルさんは、頭を掻いて照れくさそうに笑った。
そしてアロはなんだか、不機嫌になった。
「じゃあ。やってみようレーア。 ガブリエル早くしろ!」
「ハ ハイ」
ガブリエルさんが、手のひらサイズの小さな箱型の魔道具を出した。
これは映像を録画したり、音声を流したりできる道具らしい。
基本は魔石を入れて動かすそうだが、魔力を注入する事でも動かせるようだ。
「ガブリエル。違う魔道具は無いのか?初めて物に魔力を流すが、これは壊れてもいいのか?」
「あー古いものですし、良いですけどね」
アロが突然ガブリエルさんの白衣のポケットに手を入れた。
「まずはこれで試そう」
ポケットからペンが出てきた。
「それはダメですよ、最近作ったばっかりなんです、それに容量もそんなに大きくないんですから」
あわてるガブリエルさんを無視して、アロが私に話しかける。
「さあ。レーア始めよう、これを持て」
「アロ。いいの?ガブリエルさん困らない?」
「大丈夫、最初はなるべく小さなものの方がいいんだ、一度これでどんな感じか試してみよう」
ガブリエルさんに眼を向けると、悲しそうな顔で「ダイジョウブです」と頷いた。
私はペンを手に取る。ブラウンの落ち着いた色合いのペンだ。
ペンで字や図形をなぞると、短い文章や図形なら覚えて別の紙に書き写すことが出来るそうだ。
そんな大切な物 壊せない。
「まずはこのペンの中に、俺に魔力を送る時みたいに、自分の魔力を流す感じ
俺は入る量をコントロールできるけど、物はコントロールできない。
少しずつゆっくりと流してみて」
私は深く深呼吸してから眼を閉じ、ペンに集中した。
水をちょろちょろと注いでいくイメージで。
少しづつ……
流し始めると突然に手の中のペンが柔らかくなり、驚いて眼を開けた時には
砂へと変化したペンが、崩れる様に手の隙間からサラサラと落ちて行った。
「あ! あーー。ガブリエルさんごめんなさい、大切なペンを!
ごめんなさい」
「ダ ダイジョブです。また作れますから」
「最初はしかたない。爆発しなかっただけいい。レーアが少しづつ流せているのは感じられていた。
今の半分くらいの力を流すイメージで」
「ではもう一度」
アロはそう言うと、ガブリエルさんの胸のポケットからもう一本のペンを取り出した。
ちらりとガブリエルさんに眼を向ける。
「ダ。……ダイジョブです、さっきのペンより簡単に作れます。
それは、ペンの機能に暗闇で光をともすことが出来るペンです」
「よし、じゃあもう一度やってみて」
私は頷き、大きく深呼吸。
もっと細く、糸くらい?ちょっとづつペンに魔力を流していく。
「レーア眼を開けて」
アロの声に眼を開けると、ペンはほんのり青白い光を放ち、少しして光は消えた。
「成功だ」
(#^^#)




