再会 ①
読んでいただきありがとうございます。
「ねーラミばあさま。 この人たちなんでさっきから、ぐるぐる家の周りを歩いているの?」
「きゅる~」
ルークも首をかしげる。
「その三人は、まあレイラに会いに来たんだろうさ。私が迷いの術をかけているからね。」
「そうなの。解いてあげて、悪い人ではなさそうだけど」
ラミばあさまは、薬の調合の手を止めない。
「ラミばあさま!」
「仕方がないね。
話さなければならないか……」
そう言うと、ラミばあさまは歩き続ける三人に向けて、右手の人差し指でくるりとまわし円を描いた。
円を描いた空間がぐにゃりと揺れた後、三人のすがたが歩いていた時と違う人になって表れた。
「わあ!変身した」
慌ててルークの後ろに隠れる。
キラキラ金髪の王子様みたいな人と、騎士団の青い制服を着たがっちりした伯父さん。あと一人、黒髪で私より濃い紫の瞳で綺麗なお兄さん。
「ぎゅるー」
ルークも驚いて威嚇するように鳴く。
ルイ 視点
アロイスが何度か解術を試したが、空間はゆがむだけで、なかなか術が解けない。
すると突然、空間のゆがみが直り術が解けた。
目の前には、苔むした小さな小屋と、鳩羽色で左目に古傷のあるグリフィン、紺色のフードを目深にかぶった老婆、そして薄紫色の瞳をまん丸にした、かわいい少女が立っていた。
迷いの術が解けると自分達にかけていた変身の魔法も解け、3人とも元の姿に戻っていた。
「あの、ルナ・ミラエル様でしょうか?私はジェム王国第一王子、ルイと申します」
「ダイアの息子がなんの用だい」
「両親が婚姻する際にとてもお世話になったと聞きました、心より感謝申し上げます。そして、私は15年前に行方が分からなくなった妹を探しています」
話しながら、少女の方に眼を向けた。
私達の変身に驚き、グリフィンに隠れた少女がぴょこりと顔を出した。
「おにいさん、妹を探しているの?」
「そうなんだ、ルシアと言う君の様にきれいな紫の瞳をした妹を探しているんだ」
少女に歩み寄ろうとすると、ラミばあさまに止められた。
「その子は何も知らない。名前はレイラだ……
私の子だよ」
ラミばあさまの瞳が鋭さを増し、空気が張り詰めた。
「ルナ・ラミエル様。どうか気持ちを沈めてください。無理に暴こうとはしません。しかし私たち家族もこの15年、ルシアを思わない日はありませんでした。
襲撃を受けたあの日、母上はルシアをかばい、背中に大きな傷を負いました。今も傷の痛みに苦しんでいます。
父も母も、ルシアが生きて戻ってくると信じています。
どうか。お互いが納得いくまで、話をさせていただく事はできないでしょうか?」
「…………」
「ルシアにも自分の事を知り、未来を選ぶ権利があるはずです」
ラミばあさまはため息とともに、肩の力を抜いた。
「あの小娘が、娘のために命を張ったんだね。頑張ったじゃないか」
そして悲し気に笑い。レイラを呼んだ。
「レイラ。こっちにおいで」
少女は不安げに、ラミばあさまの隣に歩み出てきた。
「きゅる~」
グリフィンも小さな声で鳴く。
ラミばあさまは、レイラを一度抱きしめると、眼を合わせた。
「レイラ。この金髪サラサラが、お前の兄さんだよ。15年前のもうすぐ夜が明ける頃、ルークが血だらけになりながらお前を連れてきた。
一目見て、ダイアの末娘だと気がついた。
ペンダントに施された封印を見て、レイラを守るためのものだとわかったよ。
レイラを守りたい強い思いに、私も少しの間だけ手を貸すことにしたんだが。
レイラと過ごす時間が楽しくなってしまってな。
つい独り占めしたくなった。
これからゆっくり今までの事、話をしよう」
「ラミばあさま。 あの兄ちゃんが、私のお兄ちゃんなの?」
ルナ・ラミエル様は、ルシアにひとつひとつ大切に、今までの事、ジェム王国のこと、本当の家族の事を話して聞かせていった。
(@_@。 ラミばあさま。
やさしい人なのです。




