1 弱者
web小説らしく、サクッと読める感じにします。
ゲームの知識がなくても、割と読めるようにがんばる。
あと、区切りまで毎日投稿します。
「おい。てめーのせいで負けたじゃねぇかよ!」
通話越しに飛んでくる暴言、目の前に広がる”敗北”の二文字。
順位は12位。
「なんでそんなに弾が当たんねぇかなぁ…」
ゲームの画面に映し出される、自分と仲間の死体。
「あっ。ごめん」
それは、いわゆるバトロワ。
カイトが瀕死の敵との1v1に負けたせいでの敗北であった。
「もう二度とお前とはやらねーよ」
通話のグループから一人抜けた。
「俺もさ、カイトとやるとマジ、ランク下がるから」
そうして、また一人抜けた。
残ったのはカイトと、敗北のリザルト。
降格したランクは、ゴールドのどべ、全体だと下から35%ぐらい。
「…わかってるよ。僕が雑魚だったことぐらいさ」
ゲームから、スワイプで切り替えた空間。
そこは教室だった。
教室の男女は誰しも、ジャンルは違ってもゲームをしている。
黒板に書かれているのは基本的なFPSゲームの勝ち方と、マップの説明。
「マジ、僕って才能ないんだな……」
時は2681年。
もはや義務教育と同じように、ゲームは生きる原動力として当然に受け入れられる時代だった。
「はぁ…」
しかし、そんな世の中ですら現実というのは上手くいかないものだ。
特にカイトはそうだった。
ゲームのランクという、絶対的な実力主義。
実力が平均以下のカイトにとって、これほど難しい世もなかった。
「でも、好きなもんは好きなんだよ」
デジタル空間である教室の壁に掲示された、バトロワの大会、その告知。
一か月後に行われる学校での対抗戦だった。
その上位チームは県大会に進み、名を轟かせる。
カイトにとっての憧れだった。
「…」
けれど、下手くそのカイトと組んでくれるメンバーなど、そもそも存在する訳もなく…
ドンッ!
突如、カイトの机が叩かれた。
「ねぇ、なにみてんの?」
クラスの女子、アマネだった。
見た目は主に、ロングヘアのアニメキャラ風のアバターを愛用している。
いい奴だけど、口調が男勝りなのもあり、クラスじゃ若干の変わり者。
「あぁ、いや。なんでもないよ」
「ぼさっとしてるから、雑魚なのよ。アタシみたいに、もっとシャキッとしなさいよ!」
…雑魚。何度も言われているが、改めて言われるとムカつく。
しかし、彼女はそれだけの実力を持っていた。
「頑張れば、カイトもトップ500ぐらいにはなれるわよ」
アマネは強かった。
高みであるトップ500が通過点でしかないぐらいには。
「はは。無理ですよ…僕には、何百万人がプレイしてると思うんですか」
「無理っていうから無理なのよ」
傲慢な考え方だと思った。
そう言い切る様子が、やけに眩しくて、少しだけ腹が立った。
「…アタシ、見てたの知ってるわよ。大会でしょ。勝てるわよ」
「無理だよ」
僕には無理だろう…少なくとも今は。
「一緒にやろう」
「……?」
今の一瞬、僕は理解が追い付かなかった。
「……アタシもこんなだから、一緒にやるやつがいないわけなのよ」
「え。本当に?」
「そうよ」
こんな、何気ないこれが。僕の運命の、そして『最強』への始まりだった―――




