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無人島に放り出された転生おっさん、スキル【AI】でサバイバルも気付けば快適な理想郷!  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第22話 罠


「ふあ~あ……」


『おはようございます、マスター』


「っ!? そうか、拠点ができたんだっけ」


 目が覚めると、そこは薄暗い小屋の中だった。割った竹を交互に組み合わせて作った屋根と壁のため光をほとんど通さなかったが、上部と入り口の付近から光が漏れていて朝になっていることがわかる。


 昨日は筋肉痛によって大声を出してしまい、ルナを起こしてしまったからな。


「か~か~」


 今日はなんとか大声を出さずにすんだため、横にいるルナはまだ寝息を立てながら寝ている。さすがのルナも昨日は俺の何倍も働いていたから、ぐっすりと眠っているようだ。ルナを起こさないようにアイと一緒に小屋の外に出る。


「う~ん、いい景色だな」


 森の木々から眩しい光が差し込んでくる。少し離れた場所にある川がキラキラと輝いて見えた。自然豊かな森の中で目覚めるのは思ったよりも気持ちがいいかもしれない。


「いてて……。筋肉痛はまだ酷い……」


『筋肉痛を緩和するには十分な休息が必要なのですが、残念ながら今はやらなければいけないことが多いです』


「そうだな。今は無理をしてでも頑張らないと」


『そのまま筋肉痛に慣れていくという手段で頑張るしかありませんね。ファイトです、マスター』


「……頑張るよ」


 うん、それしかないということはわかっているが、さすがのアイでも筋肉痛を魔法のように治す方法はないか。それに多少はアイなりに気を遣ってくれたみたいでありがたい。これまでの3日間で早くもいろいろと学んでくれているようだ。


『昨日のように軽いマッサージやストレッチなどは今後も推奨されます。また、筋肉の修復を促すたんぱく質を摂取するのも良いですね』


「了解だ。いろいろとアドバイスしてくれて助かるよ」


『お役に立ててなによりです』


 昨日の夜はアイのアドバイスに従って、寝る前にマッサージとストレッチをおこなった。血行をよくして筋肉をほぐすことにより多少は筋肉痛を軽減してくれるらしい。


 ……もちろん自分でやったからな。おっさんはさすがにこの状況でルナにマッサージをさせるようなセクハラ行為はしないのである。




 川で顔を洗っていると、ルナも起きてきた。ベリーの軽い朝食をとってから、今日どのように動くのかを2人と話し合う。


『今日は川に罠を張り、魚を捕らえることを進言します』


「罠か。釣りとかじゃあないんだな」


『釣りよりも一度作ってしまえば長期間何度も使用できる罠の方が便利で効率的です。そして一度仕掛けておけばその間に別の作業も可能となります』


「なるほど。ルナ、それでいいかな?」


「ああ、もちろんだ。さすがアイだな、頭いいぜ!」


『ありがとうございます』


 そういうわけでまずは罠を作ることになった。


 アイによると、これは狩りについても言えることであって、罠は一度作ってしまえば何度も利用でき、狩りをする際のように怪我をする可能性がない。とはいえ、動物――こちらの世界だと魔物を捕まえるための罠は大型なものになってしまうので、まずは簡単に作れる川用の罠に決まった。


『これくらいの太さの竹がちょうどよさそうです』


「よっしゃ、任せておけ!」


 魚を獲るための罠を作るため、まずは竹の生えている場所へとやってきた。罠のメインに使う素材はまたしても竹となる。拠点も作れて食料にもなり、罠の材料にもなってしまうすごい素材だ。竹があればを文明レベルを一気に上げられるという話も納得だ。




「こんな感じで竹を削いでいくわけか」


『こちらが竹ひごとなります。こちらを編みこむようにして罠を作っていきます』


 アイの指示により、それほど分厚くない細めの竹を選んでそれを4等分に割り、さらにその竹を外側の緑色が濃い部分を残すように割っていく。竹はとても柔軟性があるので、薄く割って削った竹を編みこむことも可能らしい。


 その状態を竹ひごと言うらしく、日本の昔の時代はこれを編みこんで籠などを作っていたようだ。


「……ちぇっ、ちまちましていて面倒だな。おっさんはよくこんな同じような作業を長時間できるな?」


「俺は慣れているから、こういった単調作業は嫌いじゃないぞ」


 ルナはこういった単調で何度も繰り返さなければならない作業が苦手らしい。俺はというと、前世ではブラック企業で鍛えられていたこともあって、こういった単調作業が嫌いではない。


 ルナと出会って、初めて俺の方がうまくできる作業を発見した。普段はルナの力に頼りっぱなしだし、その分こういうところで頑張るとしよう。


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