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無人島に放り出された転生おっさん、スキル【AI】でサバイバルも気付けば快適な理想郷!  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第14話 ろ過装置


 川の水で濡れた足を乾かしながら今後のことを話し合う。


 もちろんタオルなんかはないので自然乾燥だ。とはいえ暖かいからすぐに乾くだろう。


「拠点を作る前にまずはろ過装置を作ろう」


「ろ過装置?」


『液体に含まれる不純物や固形物などの特定の物質を取り除くための装置です。綺麗に見える川の水の中にも様々な物が含まれています』


 まずはこれまで通り飲み水の確保からである。


 川の水をそのまま大量に飲むとお腹を壊してしまう可能性が高い。そのため、川の水をろ過して綺麗にするろ過装置を作る。


「こんなもんでいいのか?」


「ああ、バッチリだ。竹がなかったら、ビニール袋かペットボトルを切って使わないところだったな」


 ここで先ほど入手した竹の筒を早速使う。力のあるルナが竹を割って加工する。石斧は横に振るよりも縦に撃ち下ろした方が力は入るので、先ほどよりは早く割ることができた。


 竹の節の部分がろ過装置に丁度いい筒となるようだ。竹がなければ貴重なビニール袋かペットボトルを加工して使わないといけないところだった。元の世界の無人島のように漂流物がないから大変だ。


 竹の節に穴を少しだけ開けて水が流れるようにし、川の水で洗った小石、砂利、砂のように大きな物から順番に筒の中に入れる。あとは炭なんかも不純物を取り除く性能があるらしいので、今後炭ができたら中に入れてもいいだろう。


「竹筒の入り口にはハンカチを使う。ろ過装置が足りなかったら、ワイシャツを切って使うか」


 アイに確認したところ、ろ過装置の一番上の部分にはハンカチや服などの布が優れているようだ。


 ハンカチを竹筒にかぶせ、その上から川のできるだけ澄んでいる部分から汲んだ水を別の竹筒で汲んでゆっくりと注いでいく。


「おっ、ゆっくりと出てきたぜ。これで水が飲めるんだな」


「いや、あとは熱湯で沸かしてようやく飲めるようになるんだよ」


「マジかよ、面倒だな。井戸の水は普通に飲めるんだがな」


『井戸は地面が広大なフィルターとなって不純物を取り除いております。あるいは川のもっと上流であれば比較的安全に飲めますが、現状ではここまでしておいた方がよいです』


 地下に溜まった水が比較的安全に飲めるのはそういうことである。地面はこのろ過装置を遥かに大きくしたようなものだからな。


 燃料の問題もあるし、このろ過装置を通した水は竹筒に溜めてから一気に沸かしたいところだな。




「それじゃあ荷物を置いて下流に向けて歩いてみようか。少し高い場所や洞窟なんかがあればそこに雨風を防げる拠点を作る方向でいこう」


「おう、了解だぜ」


『問題ありません』


 アイが教えてくれた情報と提案をもとに今後の指針を決めていく。水の確保ができたので次は拠点だ。


 上流の方が川の水は澄んでいるが、海は近い方が食料確保の面からも優れているため、このあたりの位置に拠点を作りたい。とりあえず海までの道が安全かを確認しながら、食料や拠点の材料になる物も探していく。


『洪水や増水のリスクを回避しつつ、川の水を利用しやすい5~6メートル離れた場所がよいです。洞窟などの四方を外敵から防げる場所が理想ですが、この付近には岩壁がなさそうなので、片側が大きな岩や木で防げる場所などがよいでしょう』


「なるほど」


 昨日丘の上から見た限りではこの辺りに同じような岩壁はなかった。ああいった場所を掘って洞窟を作り拠点にするのが一番良いらしいが、さすがにこの辺りにはなさそうだ。


「このツルは紐代わりに使えそうだな」


『ツル科の植物はそのまま使用が可能です。より丈夫な紐が必要な場合には繊維質の強い草などを乾燥させてねじり合わせることによってより強固な紐やロープになります』


 これまでも木に絡まるように生えているツタを見てきたが、拠点を作る際に必要ということで回収しつつ川岸の方へ置いておく。あとで荷物を置いた場所まで戻る時に回収する。他にも非を起こす時に使えそうな木の枝なども見つけたら川岸の方へ置いておいた。


「おっ、海が見えてきたぜ」


「本当だ。問題なく歩いて海まで出られそうだな」


 川横の森の中を探索しつつ歩き、特に通れないような障害物もなく海まで到達した。


 そしてルナとアイに相談し、海にも近く水がある程度綺麗な中流くらいに拠点を作ることに決めた。




「むっ! おっさんそこで待ってろ!」


「えっ、ルナ!?」


 森で得た物を回収しながら荷物を置いた場所へ戻っている途中にいきなりルナが荷物を置いて森の中へ走っていく。


 その動きはとても速く、俺が止める間もなく一瞬で森の中へと消えてしまった。


「ア、アイ、どうしたらいい……?」


『おそらく何かを見つけたのだと思います。マスターがひとりで森へ入ると余計に危険になる可能性が高いため、ルナを信じて待つ方がよいでしょう』


「あ、ああ……」


 その通りなのだが、自分が少し情けなくなってくる。種族の差があるのかもしれないが、もう少し体を鍛えておけばよかった。


「ふう、待たせたな」


「ルナ、よかった……って怪我をしたの!?」


 森から出てきたルナの右腕には真っ赤な血がついていた。


「いや、俺の血じゃねえよ。すばしっこかったけれど、何とか狩ることができたぜ」


 そう言いながら反対の左手を上に掲げると、そこには頭に角を生やしたウサギがいた。


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