四月四日
<日記>
四月四日(金)
夜に春香ちゃんから電話が来ました。やっぱり、優真くんと白崎さんは付き合っているそうです。
優真くんのためにも諦めなきゃいけない。そう自分に言い聞かせているのに、心が言うことを聞いてくれません。
もう手は繋いだのかな。
キスもしたのかな。
エッチも……しちゃったのかな。
想像すると頭がぐちゃぐちゃに搔き回されて、吐きそうになります。
わたしは、あのとき優真くんを治したことを後悔していました。
わたしも一緒に死んでいれば、優真くんはわたしを好きなままで、あっちの世界でずっと一緒にいられたのに。
誰にも優真くんを取られずに済んで、こんな気持ちになることもなくて、ずっとずっと、幸せなままでいられたのに。
つい、そんなことを考えてしまいます。
けれど、何もかもが手遅れです。
もしかしたら、わたしが生まれてきたことが間違いだったのかもしれません。
わたしが魔女で、こんな能力を持っていたからいけないんだ。
こんな思いをするくらいなら、生まれてこなければよかった。
もう嫌だ。
死にたい。
死んで楽になりたい。
自分の心の呟きに、天啓のようなものを感じました。そっか、死ねばいいんだ、とわたしは本気で思いました。
そんなわたしの心境を察したのか、春香ちゃんが諭すように言いました。
「紗代、記憶の魔女を探そう。記憶の魔女に、皆月のことを忘れさせてもらえばいいんだよ。だから、死のうなんて考えないで。そんなの、わたしが許さないから」
何年も探しつづけて見つからなかった記憶の魔女が簡単に見つかるとは思えません。そもそも本当にいるのかも分かりません。
けれど、もしわたしが生きるのなら、それしかないのも事実でした。
月曜日から新学期で、クラス替えもあります。優真くんと同じクラスにならず、優真くんと関わらないようにすれば、見たくないものを見ずに済んで、記憶の魔女が見つかるまでなんとかやっていけるかもしれません。
それでも、もしも堪えられなかったときは……、
優真くんが好きという気持ちを抱えたまま、死んじゃおうと思います。




