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七月十五日

~(中略)~


<日記>

 七月十五日(月)


 今日は海の日で、祝日で、わたしと優真くんが付き合ってちょうど一ヶ月の記念日です。自分でもびっくりしているのですが、なんと、わたしから優真くんをデートに誘いました。


 一ヶ月だね、と切り出すと、優真くんはそうだな、早いもんだな、と普段と変わらない調子で答えました。記念日は一年に一回祝うから記念日たり得るんだ、と優真くんは言います。毎月祝っていたらすぐに特別感が薄れるし、そのうち義務感が生まれて記念日も交際自体も面倒くさくなってくる。そういうものだと、お師匠さん?から教わっているそうです。わたしは一人で浮かれていたことに恥ずかしくなりました。


「でもまあ、せっかく紗代が誘ってくれたんだし、紗代のしたいことをしよう」と優真くんが言ってくれたので、想い出巡りに付き合ってもらうことにしました。サッカースタジアムの広場を散歩して、カラオケで歌って、キスをして、オムライスを食べに行きました。初めて優真くんとお出かけした、想い出のオムライス屋さんです。世界一美味しいオムライスだもんね、とわたしが言うと、優真くんは大慌てで、あれはジョークだ、『オムの樹』はたしかに美味いけどたぶん世界一ってほどじゃない、誰かに言って恥を搔いてないか、ごめんな、とぺこぺこ頭を下げていました。優真くんが可愛かったので許してあげました。


 優真くんとご飯を食べるのがわたしは大好きです。優真くんは人前でイチャイチャするということに抵抗があるようで、外でのキスは海辺のベンチでしたあの一回だけですし、人混みでもないと手も繋いでくれません。映画館でも肘置きに手を乗せていたのに握ってくれませんでした。でも、ご飯を食べ終えたときには誰が見ていようと必ず口を拭いてくれます。赤ん坊みたいにそれを待っているわたしもわたしなのですが、こうでもしないと甘えさせてくれない優真くんも悪いと思います。優真くんに怒られるまで続けるつもりです。


 今週で一学期が終わるので、夏休みの予定を話し合いました。特に重要なのが八月八日、優真くんの誕生日です。わたしばかりがたくさんのものを貰っているので、めいっぱいお祝いしようと決めていました。


 その日はわたしが全部お金を出すよ、優真くんの行きたいところに行こうよ、どこでもいいよ、と宣言したところ、「じゃあ俺の家でもいい?」と訊かれてしまいました。


 優真くんと付き合ってから、カラオケも、ボウリングも、ゲームセンターも行って、数え切れないほどキスもしました。ということは、たしかに、そろそろなのかもしれません。


 念のため確認すると、ご両親もお姉さんも夕方まで不在だそうです。やっぱり、そういうことみたいです。恐さと恥ずかしさで変な顔になりながら、わたしは頷きました。


 帰ってから、プレゼントはわたしって言っているみたいだなあと気づいて、一人でじたばたしてしまいました。本当に言ってみたら優真くんは驚くでしょうか。絶対に言いませんし、言えないのですけれど。


 八月八日はまだまだ先なのに、緊張で心臓がばくばくいっています。いっそのこと今すぐ来てほしいような気もしますし、もう少し待ってほしいような気もします。


 優真くんの誕生日が、二人にとって掛け替えのない日になることを祈っています。

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