表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/55

六月七日

本日は2話更新です。

<日記>

 六月七日(金)


 今日はなんと、皆月くんから呼び出しを受けてしまいました。明日、初めて二人でお話しした公園まで来てくれるそうです。


 きっと皆月くんは、助けたい人がいるから治癒能力を借りたい、と言うのだと思います。そういう話に違いありません。その光景を想像すると、最近の浮かれていた自分に呆れてしまいます。


 元より、わたしには皆月くんと付き合う資格なんてなかったのです。

 わたしは魔女で、救った数よりも多くの人を不幸にしてきました。こんなわたしが好きな人と付き合うなんて、自分だけ幸せになろうとするなんて、神様は許してくれないはずです。


 それに、仮にわたしが魔女じゃなくて普通の女の子だったとしても、皆月くんには釣り合わないことも分かっています。

 好きなものもはっきりしなくて、俯いてばかりいて、まともに顔を見て話すこともできないのです。皆月くんも面白くないでしょうし、怒らせることだってあると思います。幻滅されて振られるくらいなら、最初から結ばれない方がいいのかもしれません。


 ……そんな妄想をして勝手に落ち込んでみましたが、お付き合いを考えること自体余計な心配ですね。皆月くんには、背が高くて、美人で、明るくて、おっぱいも大きい素敵な彼女さんがいるのです。ちゃんと分かっています。皆月くんはわたしのことなんて何とも思っていないのですから、いい加減、変な期待をするのはやめようと思います。


 話は変わりますが、夜遅くに異能科の職員さんがやって来ました。以前にお会いしたことがある、園道さんという男性です。何かと思ったら、交通事故によって寝たきりになった恋人を治してほしいと頭を下げてきます。仕事とは関係のない個人的なお願いで、後で懲戒処分を受けることも、彼女と別れることになるかもしれないことも覚悟している、と言っていました。


 正直、気は進みませんでしたが、病院からこっそり連れ出したと聞かされてしまっては断るわけにもいきません。その場で能力を使って治療をしました。


 園道さんは泣いていましたが、嬉しくてなのか、悲しくてなのか、それともその両方なのか、わたしには分かりませんでした。どういう気持ちでその決断をしたのかすら、わたしにはうまく想像ができません。


 少し卑怯な気もしましたが、今なら教えてくれるのではないかと思い、記憶の魔女について訊ねてみました。


 園道さんの答えは、「いるとは思うけど、本当にいるのか分からない」という曖昧なものでした。

 というのも、魔女のデータベースには『記憶の魔女』の表記があるようなのですが、職員さんの誰も記憶の魔女を知らないため、誤入力なのか、会って記憶を消されたのか、判別がつかないそうです。何も好転はしていませんが、少しだけ希望が見えてきたような気がします。早く記憶の魔女が見つかると嬉しいです。


 明日は皆月くんに会いに公園に行ってきます。用件が何であれ、皆月くんに会えるのは嬉しいです。気が早いですが、既にドキドキしていて眠れそうにありません。


 そんなわけで、明日はいつも以上に頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ