8話 無限
「……なんなんだこれ」
流季さんが吐き捨てるようにそういった。
異世界ではドローンは喋るものなのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
全く同意見の私が激しく首を縦に振ると、千留さんからものすごい心配をされた。…彼らには、私が相当な変人に見えているのだろうか。
少し悲しくなりつつ、階段を登り始める。さっき一回敵と接触してしまった以上、これからの戦闘も避けられないだろう。
怪我することには慣れたが、いまだに血を吐く感覚には慣れない。
なんだろう、妙にさらっと吐血するから気持ち悪いのだ。痛みより、感覚的な不快感が勝つ。
多分、近いうちにまた血を吐くんだろうな……と思い、大きめのため息をついた。憂鬱だ。相応の金は貰えるのだろうか。
そんなことを考えているうちに、階段を登り終えてしまった。今度は先ほどと違い、周りに飲食店のようなものがある。
空気が張り詰める。ほろろさんがナイフをもって押しかけに行ったが、誰もいなかったらしくつまらなそうな顔をして戻ってきた。
「……なんか奪ってく?」
温厚そうな見た目に反し、犯罪者のようなことを言ってのける千留さん。彼らにとってみればそれは日常なのか、他二人も賛同して店内を漁り始めた。
「ちょ、これじゃまるで盗賊じゃないですか……」
まあ、罪の重さでいえば大量殺人の方が重いけど…と見当違いのことを考える。
でも、なんだろう。強盗はなんだかちょっとプライド的に許せなかった。今になってもその理由はわからない。
「……ねえこれ」
私が店の外でぶらぶらしていると、千留さんの張り詰めた声が聞こえてきた。
なんだなんだと、大変穏やかな声で駆け寄っていく二人の声も聞こえてくる。
千留さんが二人に小声で何かを説明した後、三人が扉を蹴破って外に出てきた。
そして、ほろろさんと流季さんが何も言わずに廊下を走り、その先にある階段を駆け上がっていく。
混乱して固まってしまった私を、千留さんが手を繋いで引っ張っていった。
さっきとは別の意味で固まる私。
だが、「ねえ、急がなくちゃやばいよ!」と言う千留さんの声でなんとな復活することができた。
「多分だけど、兵士たちは無限湧き!」
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