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7話 追尾

眼前で炎が散った。

敵の能力かと思い身をよじるも、それが自分を攻撃してくることはない。


あれ、と思った次の瞬間、私の体は階段の凹凸に叩きつけられ、何者かが近づいてきている危機的状況になのも関わらず悶え苦しむ羽目になった。


涙目で前を見ると、手に炎を纏ってる流季さんと、誰かを探している二人が見える。

…あ、あの炎流季さんのなんだ。青い目してたから勝手に水系なのかと思ってた。


そんなことを思いながら立ち上がると、頭が硬い何かに当たった。

天井こんなに近かったっけ、と思いつつ上を見ると、ドローンみたいなものが浮いているところだった。


『爆弾飛んできたから正面突破かと思ったら……あんたらネズミ?なんであんな小さな扉入れんの??』


そのドローンから声がする。

喋った。唖然としてその物体を見ていた私は、ほろろさんに無理矢理立たされた。


後ろ、という妙に落ち着いたほろろさんの声に振り返ると、刀のようなものが私の腹を貫いた。


「ぐえっ」と女気のない悲鳴をあげる。

大量の血を流す私を、容赦なく他の刃が突き始める。


だが、敵の姿は見えない。血を吐きながら私が混乱していると、流季さんがさっきの炎をともなって敵がいるであろう場所に突っ込んでいった。


「……えちょ、危な_____」


彼は、そんな私の心配をよそに、そこにいるであろう敵を圧倒していた。


流季さんが炎を掲げると、政府軍に伝っていっているであろう火が点々と見えた。


見えない刃も向けられているのだろうが、長身のわりには素早い動きで刃を交わしている。もしかして、予測だけで動いているのだろうか?だとしたらものすごい戦闘力である。


炎に焼かれた人々の臨場感の凄い悲鳴が聞こえる。ほろろさんは「焼死じゃ可哀想だから」と言って、その人だかりにナイフを投げ込んでいた。


ほろろさんの投げた数本のナイフが、政府軍の頭と思しき場所に刺さる。


そして、おおかた片付いた時に一回投げたナイフは、綺麗に流季さんの首に直撃した。


「……あー、すみませんすみません」


ほろろさんは事務的にそう言うと、いささか嬉しそうに笑った。


流季さんは何も言わなかったが、不機嫌なのは一目でわかる。

ほろろさんを睨みながら帰ってきた流季さんの服には、黒い墨のようなものが大量に付着していた。


『えー、うっそだあ!異能持ちは僕だけのはずなのに……』


ドローンから声がする。

……そういえば、こいつは何者なんだろう?


千留さんが素手でドローンを掴むと、そいつは『ぐえっ』と女気のない悲鳴をあげた。情けない声に、ちょっとした親近感を覚える。


「……異能持ちがあんただけ?」


ほろろさんはそう言うと、千留さんの掴んだドローンを奪い取り、そして握りつぶした。


機械音に似た悲鳴が聞こえる。今度は、親近感は覚えなかった。


「じゃ、あんたが噂の………」


ほろろさんが試すようにそう言ったが、ドローンは既に動きを止めてしまっていた。

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