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神子様の誘拐犯  作者: ねりねる
神子様と侍女
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暫く書いためでたいので少しずつ投稿します。


 私はリオン・マグダリセ、ラクナリューディという国の神子様にお仕えする護衛兼侍女だ。何故兼任しているかは知らない。

 私はどんな形であれ神子様のお側に置いて頂けるのなら、全く気にならないからだ。


 ラクナリューディ国の神子様、テオドラン・フォン・オルトロス様は伯爵家のご令息だ。もちろん神の一族の血縁であらせられる。

 このラクナリューディ国では神の一族は貴族や王族といった権力者ではない。神の一族には俗世的な事の多くなる階級から外れさせる事で、その血の神聖性を保とうとしたのだ。

 ただ、神子とはなれない神の一族の方々とある一定以上の階級の貴族、又は王族が婚姻を結ぶ事はままあり、テオドラン様の母君、ユーデリア・セレス・リョースリンダ様はオルトロス家へと嫁がれたのだ。



 そのユーダリア様からお生まれになったテオドラン様は、近年力の衰え始めた神の一族の中でもあり得ない程のお力を有されている。神の一族の力の強さは神からの寵愛の深さによる物だと言われている。

 つまり神子を選ばれるのは人ではなく、神なのだ。


 そして神子が神に選ばれるのを1番よく知っているのが、神の一族。彼等は神に選ばれた神子を否定しない。彼等は神を否定しない。


 テオドラン様が神子である事を否定しようとした貴族達に、今リョースリンダ家で最も力を持つ方が非難されたそうだ。


「神子は神がお決めになる。我らが神、セレスオデット神に間違いがあると仰られるのですか?」


 その言葉で貴族のみならず、平民達もテオドラン様を神子と受け入れる事が出来た様だったそうだ。教会やリョースリンダ家は安心したそうだ。

 教会もリョースリンダ家も神の怒りを受ける事を殊更恐れているから、当然と言えば当然だが。


 そんな訳で今までは神子であるテオドラン様はリョースリンダ、又は教会の神殿等で生活される事がなかったが、来年からはリョースリンダと神殿でお過ごしになられる時間が増える事が決まった。

 当然私もリョースリンダと神殿どちらにも護衛兼侍女として、付き添わせて頂ける。


 今までもテオドラン様のお側に付いてリョースリンダ、神殿共に行きはしているけれど、念入りなマナー等々の指導が入っている。当然戦闘訓練もいつも通りあるので、テオドラン様も私も忙しく過ごしている。


 齢14のテオドラン様は生活がお変わりになる事に、不安も不満も見せられない。どころか緊張すらされている様子もなく、忙しくされていても落ち着かれている。

 いつも思うがこの方は本当に10代前半なのだろうかと疑問を抱いてしまう。


 もしかしたら私と同じなのではないかと、そんなあり得ない事を思ってしまうのだ。




 私と同じ、前世の記憶をお持ちなのではないかなんて事を。


 私には前世と呼べる記憶がある。とは言ってももう朧げになりつつあり、忘れてしまっている事も多いだろう。

 現に前世で関わりのあった人達の顔や名前が出てこないのだ。家族や親しい友人等は思い出せるが、学生時代のクラスメイトや同僚なんかはあまり思い出せない。特別印象に残っている人なら別だが、こんな事あったなと思い出しても顔も名前も出てこないのだ。


 まあ記憶なんてそんなものだろう。特にこの世界で前世を思い出してからも、思い出す前からも様々な事があり過ぎて前世が比較的に平穏な人生だったから。

 当たり前の様に戦える様になり、当たり前の様に命を奪える様になった今の方が濃すぎるのだ。


 でも仕方ない。私にとってテオドラン様が第一なのだ。テオドラン様をお守りする為に殺す事を厭えない。私だって極力痛めつけたくないし、殺したくないけれど。

 全ての者を生かしたまま取り押さえられる程の実力は、私にはまだないのだ。いつかその領域まで達したいとは思っているが。


 テオドラン様も殺す事を出来れば避けて欲しいと仰っておられたから、私はそうならなければいけないのだ。テオドラン様の望みを叶えたい自分の為に。



読んで頂きありがとうございます。

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