第十四話 瞬殺
試合の時間がきた。
俺とヴィッツは岩板の上で対峙する。岩板のすぐ側にはバケツ教師がいる。このバケツ教師が審判を務めるそうだ。
「まず決闘の前に、互いの守護神を披露しろ」
ヴィッツは指を鳴らす。
「来い。ガルーダ!!」
ヴィッツの頭上に、カラフルな羽色をもった怪鳥が出現した。
(式神か……)
それを見たギャラリーにいる教団関係者はざわめきだす。
「ふぅむ。飛行型の式神だねぇ」
「腐ることはないな……」
「問題は強度だろ。人を引っ張り上げられるだけのパワー、それに悪魔の攻撃を避けられるだけの速度がなきゃ使えん」
どうやら好感触のようだ。
「次、エル」
バケツ教師が急かしてくる。
俺は1本のロウソクを前に出した。
「ロウソク?」
と、ほとんどの人間が口をそろえた。
俺はロウソクに付喪神を憑かせる。
「憑神ッ!!!」
ロウソクにティソーナが憑依した。
ギャラリーたちは、ガッカリ半分、驚き半分の声をあげる。
「ロウソクの付喪神!?」
「はじめて見るな。記録にもない」
「しかし、ロウソクとは……」
「たまに面妖な守護神が信じられない力を発揮することもある。ま、たまにだがな」
俺は右手にロウソクを持ち、腰の左側に当て、構える。
「【エル、なんだその構えは……】」
「サムライが使っていた構えだ。たしか、“居合い”とか言ってたっけな」
バケツ教師が「双方準備はいいか?」と聞いてくる。
「いつでも大丈夫ですよ」
「こっちもだ」
俺は腰を落とし、呼吸を整える。
「……いいかティソーナ。俺の振りに合わせて、全火力を刃に変えろ」
小声で俺は言う。
「【ぜ、全火力!? 蝋を全部使う勢いでいいのか!?】」
「そうだ。一瞬で全部使いきれ。一太刀に、全てを懸けろ」
「【……へへっ! おもしれぇじゃねぇかよ!!】」
まだだ、まだ集中力が足りない。
一切無駄なく、洗練された半月を描く。斬撃が弛んだらこの技は失敗する。
集中……集中……。
「では、これより……」
集中力が深まる。海の中に沈んでいくみたいだ。
呼吸と、心臓の音が、大きく聞こえる。
「試合開始ッ!」
バケツ教師の合図と同時に、怪鳥は動き出した。
「飛翔せよ、ガルーダ! あのふざけた連中を轢き飛ばせ!!」
怪鳥がいっそう高く飛んだ。
――ここだ。
(ティソーナ、モード“蛇腹剣”)
怪鳥はまだ20メートル先にいるが、俺は構わず居合い斬りを放った。
斬ッ!!!!!
蝋から飛び出た炎の刃は、30メートルを超える刃となり、美しい朱き半月を描く。
――一瞬。
一瞬で、怪鳥は斜めに真っ二つに斬り裂かれ、消滅した。
決闘場の壁にまで刃は届き、長い焼き斬り傷を作った。
手にあった蝋は溶けきり、白くべたつく液体だけが右手に残る。
「…………は…………?」
ヴィッツは理解まで時間がかかった。20秒はなにもわかっていなかった。
「これは、異例だな」
と、バケツ教師は呟く。
ヴィッツは他に守護神はもってない様子で、俺はまだロウソクを持っている。勝負は決まった。
「試合終了! 勝者、エル!!」
会場はいまだ、静まり返ったままだ。
活動報告で言っていた勝負回




