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第二話 大迷宮〈ティソーナ〉

 牢獄から、ゆらゆらと揺れる馬車に乗ること30分。

 深い森の中に連れてこられた。


「降りろ」


 執行人の命令で馬車から降り、その姿を確認する。

 迷宮には空に向かって縦に伸びる建物型と、地面の下に続いていく洞穴(ほらあな)型があると聞くが、〈ティソーナ〉は後者、洞穴型だった。


 巨大な穴が目の前にあった。中は真っ暗でなにも見えない。迷宮だと知らなければ、隕石が3つぐらい重ねて落ちたのかと思うだろう。


「けっ! どうやって降りるんだよ、ここから!」


 大柄な男が吠えるように不満を言う。

 ちなみに、今日“迷宮流し”に遭うのは俺だけじゃない。他に9人いる。


 “迷宮流し”は3ヶ月に1度(おこな)われる。その3ヶ月の期間(スパン)で“迷宮流し”の刑を下された全員が一斉に大迷宮へと放り込まれるわけだ。


「全員、穴の前で整列」


 嫌な予感がするものの、断るわけにはいかない。

 俺達囚人一同は穴に沿うように並ぶ。


「手を前に出せ」


 手錠のついた手を前に出す。10人の執行人が1対1で手錠を外していく。


「後ろで手を組め」


 言われた通りにする。ここに来て反発する者はいない。


「全員、わかっていると思うが、これから貴様らは迷宮に入る。迷宮に一度入れば攻略するまで外に出ることはできん。もしも迷宮を攻略できた場合、攻略した者だけでなく、その時点で生きていた全員を無罪放免とすることを約束する」

「質問だ」


 俺は質問を挟む。


「なんだ?」

「迷宮にはどうやって入るんだ? 梯子(はしご)とかあるのか?」

「ない。これからお前らを突き落とす」


 驚きの声が、囚人たちから漏れた。

 いや、いやいやいや! こんな底の見えない穴に落ちたら、落下ダメージでお陀仏だろうが!


「や、やってられるかよぉ!!」


 痩せた40歳ほどの男が執行人の1人を突き飛ばして、逃げようとする。すぐに執行人が剣を抜き、男の腹を貫いて首を撥ねた。

 他の囚人も、俺も、多少反発の心はあっただろう。でも今ので消え去った。なぜなら剣を抜いた執行人の手際があまりにプロだったからだ。丸腰じゃ、勝てる相手じゃ無かった。


「では、健闘を祈る」

「最後に1つ、マハルトに伝言を頼んでもいいか?」


 執行人は「マハルト?」と首を傾げる。


「……ああ、あの博打好きの。いいだろう。聞いてやる」

「じゃあこう伝えてくれ。『もし迷宮を攻略できたら、真っ先にテメェを殺しに行く』」

「わかった。伝えておこう」


 一斉に、俺達は穴へ突き飛ばされた。


「うわあああああああああああああっっ!!!」


 ただひたすらに叫ぶ。意味ないとわかっていても、叫んだ。

 俺だけじゃない。他の囚人も叫んでいる。


 太陽の光が遠くなる。漆黒に包まれていく。


「おわ!? なんだ!?」


 めちょ。と、音がした。背中から、スライムのようなものに着地した。緑色のスライムの膜が穴に敷いてあった。


(気持ちわりぃ!!)


 俺達はスライムに飲み込まれていく。

 スライムが全身を包み、数分経った頃、ボトンと落とされた。


 落とされた部屋は正方形の土の部屋。


 そこら中にロウソクが設置されている。あと、人骨が所々落ちている。

 俺と、他9……じゃなくて、1人いなくなったから8人の囚人、全員揃っている。


「なに、ここが迷宮なの?」

「あー、死んだかと思ったぜ」

「どうせ死ぬんだろ、今からよ」

「見ろ! あそこに階段があるぞ!」


 太った男囚人が指さした先に、さらに地下へと繋がる階段があった。

 こうして始まったのだ。


 無罪を勝ち取るための、戦いが。



 大迷宮〈ティソーナ〉――攻略開始。

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