真冬のショート・ホラー小説劇場 第5話 「不思議少女、きみちゃんの思い出」
short short horer story of mid winter
思いだせばきりもない幼少時の思い出。
私がたぶん7歳くらいの時すごい親しく遊んでいたキミちゃんという子供(女の子)がいた。
ただしくは君江ちゃんって言います。
その子のことだけなぜかハッキリと覚えているのです。
あれから20年、、、、私はいま、28才になりましたが、、ほかの子のことなんかほとんど忘れてしまったというのに、、
というのは、、、とても、トラウマな思い出があるからです。
その子はとても奇妙な女の子で、ある日遠くの町から引っ越してきたんです。
いつもこぎれいな服装をしていて、
髪の毛をキレイにゆっていました。こんな村にはいないタイプの都会的な女の子でしたね。
でも確か1年ちょっとくらいでまたすぐ引っ越していってしまった、
あっという間に来て、、、また、あっという間に消え去っていってしまった。
でも今でも鮮烈に覚えているのです。きみちゃんのことだけは、、。
それほど変わった子でした、
今の言葉でいえば、、そうです、、
いわゆる「不思議ちゃん」ですね。
彼女一家は村のはずれの公務員宿舎?見たいのに住んでいました。
遠くから見ただけで、私は彼女の自宅には行ったことはありません。
小学校が終わり、卒業して、、その後、、、私が中学3年になったころ、、ふと同級生たちの
世間話のついでに小学校の時の話題が出たんですよ。
そこで私は思わず、
「ああ、そうそう、そういえば小学校2年のころキミちゃんていう不思議なおんなのこがいたよねえ」
というと
みんな怪訝な顔で「そんな子いなかったよ」と口をそろえて言うのです。
いくら聞いても。私がこうこうこうだったよねって、説明しても、誰もそんな子知らないっていうんです。
そんな子いなかったって言うんです。全員が、、。
そう、、、、私以外、、だれもその子のことを覚えていない。
わたしはそれ以来決してきみちゃんのことを誰にも話さないようにしました。
だって私がおかしい、変な子だと思われるからです。
ひなびた村の中学校ですから出身は皆、村の小学校の全員が持ち上がりなんですよ。
でも私以外、、誰もそんな女の子を知らない、、。
でも、、、、、今日はどうしてもここであの奇妙な子について話したいのです。
だって無理に黙ってるって辛いじゃないですか?
小学校2年生の時の、、それは、、こんな奇妙な女の子でした、、、、。
キミちゃんといえば私が小学2年生の時転校してきた一見?かわいい子で、いつも珍しい話でクラスの子をひきつけていましたね。
こんな村では誰も、まだ、行ったこともないようなよその町の話とか
一見するとかわいい女の子なんですが。
でもきみちゃんは、、ふっとした、表情に、、一瞬すごい悪意に満ちた?怖い顔をすることがあるのを私は見逃さなかった。
わたしはなんかこの子に、妙に好かれていて?
私もまた知らない遠い町から転校してきたこの少女が憎めなくって?と、、いうか、、けっこう仲良しになったのです。
休み時間は校庭のシーソーやブランコでよく遊んだものでした。
そしてかの女が話す見知らぬ街のことが私は好きでしたね。
彼女の話すことはなんというのか今の言葉でいえば「ぶっ飛んでいて」突拍子もないのです。
水溜まりに落っこちたら、、底が抜けて?気が付いたら、すごいきれいなお花畑にいたりしたとか、
私のお父さんは実は、誰にも言えない秘密のお仕事をしてる、言ったら殺される、とか、、、
今の言葉でいえば 完全に「逝っちゃってる」んですよ。
そして予言めいたこともよく言ってましたね。
たとえばある日、村の大きなため池の近くを通ったときです。
「あら。この池の底から声がするわ。うーん、なんだか出してくれだしてくれーって言ってるみたい」
また例の彼女の突拍子もない話と思って聞き流したのですが、
しばらくしたあるひ、、、、池に警察官がいっぱい来ていてクレーン車も来ていて
見てると池の底から自動車が引き上げられているところでした。
なかには一家心中した家族5人がのっていて既に死んでいたそうです、
そんなきみちゃんのことを思い出すたびぞっとすることがある
今でも強烈に覚えていて、、
都会から来たきみちゃんを快く思わなかった、のでしょう、
無視してかげ口を聴く女の子でみよちゃんという子がいたのですが
ある日私に向かって「あんな子死んじゃえばいいのよ」と憎たらしそうに言うのです。
その時、ああ怖いなあと思ったのでした
それはほかの子は知りませんがわたしはきみちゃんのコワさを知ってたからです。
実は飼育小屋のウサギが死んでいたのは、、きみちゃんがトリカブト?を食わせたからだったのです。
怖くって誰にも今まで誰にもしゃべっていませんでしたが、、。
私は知れば知るほど、きみちゃんは
そういう無慈悲な?というか悪魔的な怖い子だったのです。
案の定、しばらくして、みよちゃんが崖から落ちて大けがしたと知りました、
それっきり美代ちゃんは私たちの前からぷっつり姿を消したのです。
というのも聴くところによると下半身まひになってしまって遠くの養護学校へ転校したからだそうです。
きみちゃんはどこ吹く風で、、「あら。そうなの?」って言っただけでした。
先ほどのあの思い出話の時も、美代ちゃんの事故の件も言ってみたんですが
もちろん美代ちゃんが事故で養護学校に行ったことは知ってましたがそれはあくまでも事故であり、
そこに「きみちゃん」の介在などは誰も知りません、
というか、、、抑々、、、きみちゃんの存在を、、私しか覚えていないんですから。
先ほどもお話ししたように、
わたしはなんというのか変に?きみちゃんから好かれていて?
避けたい気持ちももちろんあったわけですが怖いので、
それからもどうということなく遊んだものでしたが、
ある日きみちゃんが私をまじまじと見つめて
「あんた、アブナイかもしれない」というのでした
「あぶないって?」って私が聴いてもそれ以上頑として言わないのです。
それからしばらくしてきみちゃんが「あんたの後ろにもう一人いるんだよ」っていうんです
「なんのこと?」って聞いても
「ううん、いいのよ気にしないでね」
「でも、これあげるよ、親友だから」って言って小さな薄汚れた木彫りのこけし?みたいのをくれたんです。
「これいつも持ってて。危ない時はこれが「身代わり」になるよ」
っていうんです。
「へー、、そう、お守りだね」って言うと
「そうだよ最強のね」って言ってました。
小さな10センチもないような木の人形でした、特に気にもしませんでした。
そんなことがあってから、、
それから、、、しばらくして学校へ行くときみちゃんがいませんでした。
先生が「えー、君枝さんですがお父さんが急に転勤されたそうで、昨日引っ越ししました、急なことですので挨拶はありません」
と言いました。
急な話でお別れのあいさつもなしでした。急にいなくなったのです。
こうしてきみちゃんはあっという間に私の前から消え去ったのです。
それからしばらくして私は何を思ったのか一人で魚釣りに森の奥の渕に行ったのです。
そこで釣ってるといきなり何かが淵の中から私を呼んでるのです、
得体のしれない黒い影が
「おまえを呼びに来たよ、お前の番だよ」っていうんです。
逃げようとしたんですが体が動かない。
怖くて私はとっさにポケットに手を突っ込んでいました、
すると手に当るものが、、
出してみるとあのこけし人形でした。
ふっときみちゃんのことがが思い出されて
わたしはその人形を沼に向かって投げたのです。
すると、、
「なんだ、、もう一人いたのか」
という声がして不気味な影がスーッと消えたのです。
と同時に体も動くようになり、
わたしは慌てて逃げかえったのです。
もちろん両親にも決して言いませんでした。
あれからだいぶたちましたが
おかげさまで魔的な災難もなく、普通に過ごしてきましたが、、
きみちゃんて一体誰だったんでしょうか?
それとも幼年時の妄想、、幻影(イマジナリー・フレンド?)だったのでしょうか?
ああそれと、、
私、、、、おかげさまで、最近恋人ができたんですよ。
私が良くゆく喫茶店兼ブックストアの店員さんで
それまでのおばちゃん店員がやめて、、その代わりに二か月後くらいから務めるようになった女性なんですが
とても明るくてさわやかな女性なんですよ。
足しげく通っている私と自然に交友ができて
親しく話すようになりました。
すごく昔からの幼馴染みたいに?妙に気が合うんですよね。
その人の名前ですか?
君江さんって言います、、、。
終わり