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18-2.カレーパン作り①

やっとパン作り!






 *・*・*








 そんなハプニングが起きてしまったのは、昨日の朝だったので。


 新機能を使おうにも、慣れないうちはまだまだ慎重になってしまうのもしょうがない。


 一回一回気合を入れてしまうが、ロティはあの時以降スタミナの消費が激しくなることも、倒れることもなかった。


 天の声も天の声で、デメリットがあるのなら言って欲しいと思うけど……返事ないんだよね、こっちはロティ以上に機械的な感じだからか。



「うん。生地のはりもいいし……バターを入れて混ぜて」



 今度は短縮はせずによく混ぜてから、生地を少し持ち上げて、薄く伸びた部分が膜状になる前に破けたら大丈夫。


 これを、いつものようにボウルに入れて、ロティの発酵器に仕舞って一次発酵だ。



「チャロナくーん。言われた材料、なんとか集めたけど」


「ありがとうございます」



 さあ、ここからがメインの一つ。カレーのフィリング作りだ。


 フィリングとは、簡単に言えば生地の中に入れる具材の総称。パイなんかのお菓子でも同じ呼び方をする事が多い。



「香辛料数種が大量。甘めの野菜や果物、挽いた肉に……かなり使うんだね?」


「これでもだいぶ簡略化してるんですよね……」



 せめて、自分の自信がある材料でカレーを作ろうと思う。


 ジャガイモのない、キーマカレーに近いもの。


 そして、りんごで甘みを足そうとこれはすりおろしを使うが……うまくいくかは、私の腕次第。


 とりあえず、これは作ったら冷まさなきゃダメなのでエイマーさんと手分けして下ごしらえしていく。



「りんご以外の野菜は、全部みじん切りです」



 出来上がってから、私が大きめのフライパンでにんにくとしょうがを炒め、香りが立つ前に豚ひき肉を入れてさらに炒める。肉に火が通ったら、これは皿に移しておく。


 この後に、玉ねぎとにんじんを肉の油で炒めて、そこに湯むきしたトマトを投入。ここに、すりおろしたりんごも入れます。



「トマトを潰しながら炒めて……野菜に火が通ったら、肉を戻して味付け」



 本当は市販のカレールーが安心なんだけど、ないものはないから、集めた香辛料でカレー粉を作り。


 ケチャップや塩コショウに、カレー粉。


 味を何回も確認して水気をかなり飛ばしてから、米粉を水でといたのを加えてよく煮詰める。


 少しとろみが出てきてから、火を止めてエイマーさんに用意してもらった深皿に移しておく。



「エイマーさん、一度味見お願いします」


「うん」



 彼女はなんの迷いもなく、味見用のスプーンでフィリングをすくうが、私はドキドキしてしまう。


 なにせ、この世界でおそらく初めてカレーを作ってしまったからだ。


 未知の物体にはなってないけど、緊張しないわけがない。


 シェトラスさんは、端でにこにこしながら見守ってくれてるけど、余計緊張しちゃうよ!



「…………うん。りんごの甘味とトマトの酸味がちょうどいい。辛さも後から来るが、美味しい!」


「…………良かった」



 合格点をいただけたら何より。


 シェトラスさんにも味見していただくと、エイマーさんとほとんど同じ評価だった。


 このフィリングは、魔法で冷ますよりも粗熱を取ってから自然に冷ました方がいいので。平たい金属のバットに移してから冷蔵庫にしまった。


 その間は、ロティのアラームが鳴るまでお片づけ。


 フィンガーテスト、分割にベンチタイム。それが終わってから、フィリングの状態を見に行くと。



「うっわ! やっぱり、冷蔵庫の中に匂いが!」



 ラップがない世界だからしょうがないけども、バットに薄いガーゼをかけてても意味がなかったようで。


 冷蔵庫を開けたら、カレー臭がすっごい押し寄せてきたのだ。



「何、匂いが移りにくい食材しか入れてないはずだから。少しの間は大丈夫だよ」


「すみません、次はこっちの収納棚に入れておきますね!」



 しっかり冷やしておかなきゃいけないものだから、と思ったのが仇になった。


 ロティに確認してから、無限♾収納棚に入れておけばよかったと反省。時間停止になるらしいから、冷えないと思ったんだよね。


 気を取り直して、スプーンでフィリングの粘り気を確認してから、成形に取り掛かる。



「チャロナくん、この薄っぺらいが両端の幅がバラバラなのは……?」


「アンベラと言います」



 銀製器具(シルバーアイテム)から、既に取り出しておいた、この成形に必要な大事な道具。


 平たい金属製のヘラで、持ち手側が細く、使うヘラの部分が少し大きい。


 あんぱんやカレーパンを作るのには、欠かせない道具なんです。



「アン……? と言うのは、さっき作ったカレーを?」


「今から生地に包み込む作業が、『包餡(ほうあん)』と言うもので。ホムラでも、おまんじゅうと言うお菓子作りの時に同じ作業をするんです」


「マンジュウ……ああ、あの甘ったるいのか」



 そう、中華文化に近いホムラには一応おまんじゅう……飲茶のような食文化が存在している。


 ただ、結構くどい甘さで慣れないと美味しくない。


 私は、記憶が戻る前は好きだったけど、今の日本人の感覚を思い出すと改良しまくった方がいいと思ってる。


 そのためにも、あんぱんは挑戦予定だ。


 今は、カレーパンだからまずは生地の伸ばしから。



「麺棒で何回かに分けて丸くなるように伸ばして……計りでフィリングを分けて乗せます。ここに、スプーンやナイフじゃなくてアンベラがあるとくっつきにくいんですよ」


「たしかに……」



 持ちやすいサイズのヘラは重宝出来る。


 このヘラは、サンドイッチ作りや前世では餃子作りにも使ってたので、一人暮らしの家でもよく使ってたっけ。


 実家に帰省するときも、よく餃子を……少し、悲しくなるから思い出すのはやめよう。


 もう会えないから悲しいのは、私だけでなく悠花(ゆうか)さんもだから。


 今日は、カレーパン以外にバターロールも作り終わったら、悠花さんに突撃するつもりでいる。


 だもんで、朝ごはんのうちに約束は取り付けています。内容はもちろん、エイマーさんのお見合いについてだ。



「包む前に、少し確認する事があります。生地の状態ですね」



 そっと持ち上げて、縁を少し触ってみる。


 冷やしていないから結構ふにふにしているが、伸ばしても膜が出来ないから大丈夫のサインだ。



「場合によっては、生地を冷やして発酵止めさせてから成形するのと……温度、湿度……季節によって生地の状態も変わるので、必ずしもすぐに取りかかれる訳ではありません」


「勉強になるよ」



 この工程は、ベテランでも見極めが難しいのでエイマーさんが覚え切れないのも無理はない。


 今の私も、思い出しながらだから、結構慎重になっています。



「利き手にアンベラ。反対に成形するものを乗せて……押し付け過ぎず、かつ、はみ出して来ないように入れます」



 久しぶり以上に、この体だと初体験だったから心配してたけど。


 わりかしスムーズに詰める事は出来た。縁が出来たら引っ張り過ぎないように閉じ目を作り、鉄板の上にすぐ乗せずに台の上に転がしておく。



「チャロナくん、一個だけ挑戦してみてもいいかな?」


「溢れそうになったら、すぐ止めてくださいね?」



 そして、その言葉は当たってしまい。


 エイマーさんがものの数秒で、カレーのフィリングを押し出そうとしてしまったのだった。


 彼女はショック過ぎて、私が苦笑いしながら成形してる横でしょげてしまいました。


 ずっと見てたロティにぽんぽんと頭を撫でられてはいたけれど。

カレーパンは作者も成形だけは仕事でずっと作ってますノ


一時期は焼きカレーパンでしたが、ここはやはり(゜ゞ゜)…クククッ


夜をお待ちください!

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