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97-3.オムライス完成

お待たせ致しましたー




 ピピーピピー!




 ロティの炊飯器が鳴ったら、蓋を開けて付属のしゃもじでさっくりと天地を混ぜてから少し蒸らして。


 今回は一升以上炊いたけど、先にシュライゼン様やアイリーン様には召し上がっていただきたい食べ物にしよう。



「この米をせっかくですので、シュライゼン様とリーン様には少し味見していただきます」


「おお!」


「まあ!」



 よく洗った手に塩を適量まぶして、まだ熱い米を載せてギュッギュと握る。


 三角だと大きいので、小さな俵型に。


 海苔の方はまだ発見されてないか、未確認なのでこのままいただいてもらおう。



「お米を握った、おにぎりというものです」


「お……に?」


「ぎり?」


「塩だけで味付けしてるので、塩むすびとも言いますが」


「おお。マックスが以前、君が体調を崩した時に作ってたのと似たのかな?」


「はい、種類はあれと同じです」


「フライパンで炊くの難しいけどよ」


「塩だけで美味しいのかい?」


「はい、是非」



 主食を手掴みで食べるのは、パンくらいしかないこの国だけど。


 せっかくのお米があるのだから、是非とも試してもらいたい。


 アイリーン様はお皿の上にある塩むすびをじーっと見つめてから、そっと手を伸ばした。



「お姉様の作られたお料理ですもの! 美味しくないはずがないですわ!」


「む、じゃあ俺も!」



 という感じに、勢いよく手で掴んで、お二人とも口の中にパクッと入れてしまわれた。



「「〜〜〜〜っ!」」



 そして、噛んで味わってる瞬間に、声ならぬ声が響いた気がした。



「リーン様、シュライゼン様……?」


「「……しい」」


「え?」


「コメも初めて食べるのに、塩だけですんごく美味しいんだぞ!」


「お米と言いますこのつぶつぶとしたのが、淡い甘味でとても美味しゅうございますわ! チャロナお姉様、ホムラではこんなにも美味しいものが主食でしたの!?」


「えっと……ホムラではここまで美味しくありませんでした」


「まあ!」



 あそこの国では、水のつけ置きや炊き方の諸々がそもそも間違っていた。


 記憶が戻る前は、それが当たり前だと思ってたから疑問すら浮かばなかったが。今なら、わかる。


 つけ置き以外にも、米を洗い過ぎとか色々。


 いつか再会出来るマザー・リリアンにも伝えてあげたいけども。



「ロティが今なってる炊飯器(ライス・クッカー)とやらのお陰もあるだろうが、チャロナの持つ技術のお陰もあると思うんだぞ。チャロナ、この調理器具がなくとも、この状態にすることは可能かい?」


「あ、はい。可能です」



 せっかくだし、まだ夕飯前まで時間があるからフライパンでの方法を教えると。


 同じ塩むすびを作って召し上がられたシュライゼン様はガッツポーズを握り出した。



「ふむ! 向こうの皇子と俺は友達だから、是非ともこれを教えてあげたいんだぞ!」


「おうじ……様、にですか?」


「うむ。コメは不味くて食えるものじゃないと言っていたんだが、これを知ればきっと考え方も変わるかもしれない!」


「国交の中に、お米が加わるかもしれませんわ!」


「ええ!」



 私……と言うか、前世での記憶の中にあった方法が革命を起こすかもしれない?


 そりゃ、パン作りで既に起こしてはいたけど、知っているのはこの屋敷を除いてもごくわずか。


 だから、そんな国を挙げてまでの大事態になると思わなくて……いや、アインズさんにお願いされてることもあるから今更かな?



「この方法だけでも、明日以降にホムラに伝えたい。チャロナ、ダメかい?」


「ダメ……ではないですけど。でしたら、ホムラには土鍋という焼き物で作った鍋があります。その方が美味しく炊けますよ?」


「ふむ。その鍋の方が美味しい上に大量に炊けると?」


「はい。リン……シュィリンさんなら、多分解ると思います」


「なら、明日辺りにリュシアに行こうじゃないか!」


「あ、すみません。明日は私用事がありまして」


「だな」


「なんだい?」


「カレリアさんに、錬金術を教わりに……」


「そうかい。それは残念なんだぞ」



 とうとう明日だから、出来ればそれは避けたい。


 久しぶりにリンお兄ちゃんには会いたいけど、約束は約束だから。


 なら、その翌日にしようと、シュライゼン様は言ってくださった。まだまだ未経験者に近い自分だと、その土鍋でも失敗するからだと。


 私もそれなら大丈夫だと思い、シェトラスさんに許可はいただけた。


 なので、オムライス作りを再開することにした!



「大ぶりのフライパンに油を引いて温めて……お肉を火が通るまで炒めたら、次に玉ねぎ。少し透き通るようになってきたら、ピーマンを加えます」



 そこに、砕いたコンソメに塩胡椒。


 馴染んできたら、ここにケチャップを大量に。


 さらにさらに!



「コクと風味づけにバターを少量加えて」



 溶けてきたら、蒸らしたご飯を入れて絡める!



「くううう! 味見したいんだぞ、チャロナ!」


「いい匂いですわ〜」


「チーちゃん味見させてくれ!」


「せっかくですけど、これで味見用のオムライス作っちゃいますね?」


「「「おおお!!」」」



 せっかく熱々のチキンライスが出来たら、熱々に食べたいと思う。


 ここに、別のフライパンをよく温めて、バターと油を同量に引いて。


 その中に、コカトリスの卵の液をたっぷり入れて……半熟になったら削ったチーズを入れて少し溶かしたら。


 チキンライスを適量載せて、フライ返しで形を整えてお皿に載せる!



「「「おおお!!」」」


「見た目はオムレツとほとんど同じなんだぞ!」


「あとは、卵にはバターの塩気しかありませんのであしらい程度にケチャップをかけて」



 これで、コカトリスのチーズ入りオムライスの完成だ。


 ロティも戻ってから、試食会となりました。

次回は金曜日〜

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