90-2.テリヤキチキン
お待たせしましたー
テリヤキチキン。
日本の定食などには、欠かせない料理……よりは、バーガーショップなどのファストフード店でアレンジされてるのが多い。
私も、前世で日本人だった頃は時々食べていたし、好きなハンバーガーの一つでもあった。
「ふむ。ミソシルに合う肉料理なんだね?」
「はい。今日いただいたみりんも使った、美味しい肉料理なんです」
復活した悠花さんと魔法訓練を終えて、少し休憩してから。試作も兼ねて早いうちに準備することになった。
『チャロナ〜〜!』
とここで、ウルクル様がいきなりのご登場と同時に私にハグしてきた。
『遅れたが、例のサバを使った料理を馳走してほしい!』
「あ」
せっかくお米を用意していただいのに、すっかり忘れていた。
幸い、鯖の切り身はまだたくさんあったので、急いで作ってセットメニューをお出しすると、恍惚の笑みを浮かべながら召し上がられた。
『この蕩けるような脂の旨味! 美味い……実に美味いぞ、チャロナ!』
「ありがとうございます!」
で、テリヤキチキンの方にも興味があるようなので、手伝いをするから食べさせてくれと言われましたので。
と言っても、大掛かりな作業はないので、ウルクル様には菜園の方でお米の追加を作ってもらうことになった。
「ロティはお米ね?」
『でっふぅ! 変換、炊飯器!』
パンの作業じゃないので、ロティの出来ることは限られているが、お米も大事。
テリヤキチキンには、パンもいいけどお米にだってすっごく合うんだから!
「まずは。フォークで鶏肉に穴を開けます」
肉叩きでやってもいいけど、肉の厚みが薄くなるので今回はフォークで。
お肉も、鶏肉は鶏肉でもコカトリスのお肉が結構あったから、それを使うことに。
全部に穴を開けてから、それを米粉でまぶして。
余分な粉をはたいたら、フライパンで皮面から焼く。
「その間に、醤油、みりん、酒でタレを作って」
焼きの具合を確認したら、酒を入れて蒸し焼き。
少し経ってから、ひっくり返して焼き目をつける。
「チャロナくん、なんだかステーキに似てるね?」
「ここからが違います。焼き目がついてきたら合わせた調味料を入れて」
入れた途端、ジュワッと音が上がるが気にせずに火を強火にして煮詰めていく。
「調味料にとろみがついてきたら、全体に絡めて……完成です!」
試作の一枚が出来たら、まな板の上に載せてひと口大にスライスしてから全員でフォークに刺す。
ロティは、ご飯を出してから元に戻った。
『めっちゃいい匂いでやんすね〜?』
「さあ、どうぞ」
「「いただきます!」」
『いただきまふでふぅうう!』
『いただくでやんす!』
熱々の出来立てを口に入れると……!
【PTを付与します。
『皮パリパリのテリヤキチキン』
・製造1人前=2000PT
・食事1切れ=150PT
→合計2150PT獲得
レシピ集にデータ化されました!
次のレベルまで、あと280450PT
】
料理名通り、皮パリパリで。
肉は柔らかく、臭みもなくてふっくらジューシーで。
皮からは程よい脂が、肉からは肉汁と甘辛のタレが!
これは良い出来だと自画自賛したい!
皆さんの方を見ると、予想以上に恍惚の笑みを浮かべちゃって。
「『「お、美味しい……!」』」
『でゅふぅうう!』
ロティもだけど、皆さん顔がいいから目の毒だ!
そんなにも、美味しいって思ってくれたんだろう。
嬉しいけど、これがもしカイルキア様もだとしたら……。
(鼻血案件ものだわ! 私、顔に出ないか心配!)
結構顔に出やすいと今の人生でも言われまくっているけど、大丈夫だろうか?
『こ、米が……米が美味いでやんす! サバの時のようにクセになるでやんすよ!』
『お米とお肉は正義でふぅう!』
『でやんす、ロティ!』
『でっふぅう!』
そう言えば、こっちの恋愛事情もあったけれど。
レイ君は、時々アピールしてもロティにはスルーされまくっているし。
今は仲の良い兄妹のようにしか見えないし。
まあ、見守っていくしかない。
『ほっほ。美味なる馳走の匂いがするのぉ〜!』
ウルクル様も戻っていらっしゃったので、まだ残ってたひと切れをお出しすると。
『む、むむむ! これはコカトリスの肉か。しかし、臭みもなく柔らかで美味じゃ! この甘辛いソースと皮が抜群に美味い!』
「そこにお米をどうぞ!」
『もぐもぐ……むむむ! 淡く甘みを帯びた米の旨さとも合うのぉ!』
神様にも高評価をいただけたので、次はいよいよお味噌汁作りだ!
次は木曜日〜