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89-3.和食の材料

お待たせしましたー






 *・*・*








(……今のは一体……?)



 同じ鯖の味噌煮を作っただけなのに、PTの付与が少し料理名を変えただけで付与されてしまった。


 これまでは、初回以降同じレシピでPTを付与されることはあっても、多少材料を変えてまで同じ現象にはならなかったのに。


 あの『みりん』に、何か特別なものでも?


 けど、鑑定技能(スキル)がないから、そこはわからない。


 もし見られるとしたら、今度出会う予定のカレリアさんだけど。



「ごちしょーしゃま!」



 ちょっと考えごとにふけっていたら、シアちゃんの元気な声に、はっと我に返った。



「はい、お粗末さま」


「おいちかったのー」


「ふふ。気に入った?」


「毎日食べちゃい!」


「私じゃ、こんなに美味しくは作れないわよシア?」


「にゅー」


「もしよろしければ、レシピ書きましょうか?」


「いいの?」


「はい。シェトラスさん、いいでしょうか?」


「材料を持ってきてくれた御礼も兼ねてだし、いいとも」


「はーい」



 なので、厨房の小部屋から紙と羽根ペンを持ってきて。


 初回の人にも作りやすいようにレシピを書込み。


 渡す時に、昨日思い当たったことを聞いてみることにした。



「少しお伺いしたいことがあるんですが」


「何かしら?」


「昆布……と言う食材をご存知ではないでしょうか?」


「コンブ……?」


「俺も知らないなあ?」


「シアもー」



 残念、シュライゼン様の方で頑張ってもらうことになりそうだ。


 ユリアさんは少し首を傾げられたが、知らないとなれば深入りせずにレシピを渡すことにした。


 そして、ざっと目を通されるとわからない箇所を私に聞いてきた。



「骨は小骨まで取った方がいいのかしら?」


「そうですね。シャケほどではないですけど、喉に刺さるかもしれないですし」


「臭み消し……は、煮るだけで大丈夫なのね?」


「はい。お湯をかける霜降りをせずとも。合わせた調味料と生姜の中に煮るだけで出来ます」


「随分と簡単なのね?」


「ただ、強火で煮ると身が硬くなりやすいので注意してください」


「わかったわ」



 さて、少し眠くなってしまったシアちゃんとお二人は。


 これから、お屋敷の皆さんへのお昼ご飯の提供があるので厨房の小部屋で待機していただくことになり。


 少し休まれてから、帰ることになりました。



「ただいま、チャロナ!」



 そう大声で言いながら食堂に入ってきたのはヌーガスさん。


 手には、何やら大きなバナナに似たエレアルという観葉植物の葉っぱに包まれた何かを持っていた。



「ミソを使ってくれんなら、あたしの故郷のラムダにあるこいつもどうかと思ってね?」


「なんなんですか?」


「まあ、見てくんな?」



 そうして、カウンターの上に広げられたのは……!



「え」



 全体的に黒くて、かなり乾いていて。


 触るとザラザラしそうだが、とても立派な『昆布』。


 それが、エレアルの葉っぱの中に、いくつも鎮座していた!



「ミソのスープには抜群に合う海藻なんだが。あんたも知っているかい?」


「昆布……ですよね?」


「そうさ! やっぱ知ってたのかい?」


「あ、あの……ヌーガスさん」


「ん?」


「鰹節……って、ご存知ですか?」


「カツオブシ……? ああ、知ってるさ。削って酒の肴には使ったりするが」



 すると、肩から下げてた魔法鞄(マジックバック)の中を探って何かを取り出した。



「あ!」


「これも、あんたの料理に使えるのかい?」



 枯れた木の破片に見えなくもない。魚の身を特殊な方法で乾燥させたであろう鰹節!


 まさか、こんな身近にあっただなんて!



「ヌーガスさん、美味しいご飯作りますのでこちらも譲っていただけませんか!?」


「? かまいやしないが、そんな驚くものかい?」


「わ、私の育ったホムラにはなかったので!」


「そうなのかい?」



 と言うわけで、昆布もだけど鰹節も無事にゲット出来まして。


 ユリアさん達にも伝えると、とっても喜んでくださった。



「料理の幅が広がるのは嬉しいことね?」


「今日いただいたみりんも大切に使わせていただきます。今度は何かリクエストありますか?」


「また来ていいの?」


「ええ」



 こうも和食の食材が集まったきっかけは、ユリアさん達のお陰だから。


 けれど、こちらの予定が少し立て込んできてるので、次は定例会の後になることに。



「ちょいと、チャロナ!」


「あ、はーい!」



 大声でヌーガスさんに呼ばれることになったので、ユリアさん達とはここまで。


 彼女達は、ここで転移の魔法を使って帰られました。



「すごいじゃないか、チャロナ!」



 食堂の席に向かうと、到着するなりヌーガスさんからハグされてしまった。



「これがサバかい? 青臭さも全然ないし、ミソだけじゃなくなんか深い味わいのものが混ざっててうんまいよ! 酒の肴にもしたいくらいだね!」


「あ、ありがとうございます!」


「それに、こっちのコメ! 濃い味付けにはパンよりもこっちが合うね〜」


「良かったです。いただいた材料で味噌し……味噌スープ、明日また作りますね?」


「ああ、頼んだよ!」



 材料の提供者にも満足のいく味になったなら何より。


 そして、そのままお昼ご飯タイムは作ったり、作ったりを繰り返し。


 全部終わって、少し休憩してから魔法訓練の前にカイルキア様の執務室に向かうことにした。


 ひとつは、PTの付与。


 ひとつは、昆布と鰹節のゲット。


 それらを報告するのに、満腹でお腹がぽっこり膨らんだロティと一緒に行く。

次は水曜日〜

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