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86-4.練乳、つまりコンデンスミルク(シュライゼン視点)

お待たせしましたー







 *・*・*(シュライゼン視点)









 コンデンスミルクに必要な材料はなんともシンプルなものだった。


 グラニュー糖、牛乳、生クリーム。


 これだけで、美味しい調味料を作れるそうだ。



「まず、鍋に牛乳と砂糖を入れてかき混ぜてから、生クリームを入れます」



 そして、弱火でコトコト煮るのではなく、焦げ付かないように木べらで混ぜながら様子見するらしい。



「これがどうなるんだい?」


「半分くらい量が減って、とろみが出るまで混ぜるんです」


「ほう。その状態が調味料になるのですかな?」


「練乳は美味いぜー? いちごにかけてもよし、もっと夏真っ盛りになったら、昔俺が話したかき氷にかけてもいいしな!」


「あ、いいね。悠花(ゆうか)さん。真夏になったらかき氷したい!」


「たーしか、氷を雪のように削った食べ物だっけ?」


「はい。それに果物の味をつけたシロップをかけて食べるんです」


「へー?」



 興味深い。


 マックスが昔話してくれた時は、暑いから冷たいもんが食いたいとぼやいてた程度だったけど。我が妹の説明から改めて聞くと、美味しそうに思えた。


 そうして、鍋の中身が少しトロトロしてきたら火を止めて冷却(コールド)とかで冷ますと思ってたんだが。


 先に、きめの細かいざるでこすらしく、丁寧に扱っていた。



「これを、冷却(コールド)で冷ましてから使います。まずは、味見してみてください」



 ということで、全員ティースプーンにひと匙程度渡されたら。



「「「『「ん、んん!?」』」」」



 口に含んだ途端、全員がほぼ同時に声を上げた。


 けど、その理由がわかるくらい、これは美味し過ぎたんだぞ!


 少しとろっとしてて、生クリームと牛乳の風味はきちんとするのに、砂糖の甘さが際立っていて。


 もっともっと味わいたいと思えるくらい、甘いもの好きには我慢出来ない調味料だったが。


 マンシェリー(チャロナ)は、何故か冷蔵庫からいちごを取り出して軽く水洗いし出した。



「次は、このいちごに少量つけますね?」



 と言って、今度はその白くてトロトロしたコンデンスミルクにいちごの先端を浸して。


 小皿に乗せたそれをまた全員に配ると。



「これこれこれ! いちご狩りを思い出すぜ!」


「甘酸っぱくて……美味しい!」


「これだけで、十分なデザートになりますな?」


「ええ、カイザーク卿。皿にソースとして乗せるだけでも美しいと思います」


『うんまいでやんす!』


「本当に美味いんだぞ!」



 これを使ったパンって本当にどんななんだろう。


 マックスはこってりって言ってたし、マンシェリーはバターを使うと言ってたし。


 楽しみで楽しみで仕方ないんだぞ!



「では、次に。牛乳パンの中身に使うクリームを作りますね?」



 で、用意された材料なんだが。



 大量の無塩バター

 粗塩

 グラニュー糖

 牛乳

 コンデンスミルク



 疑問に思ったのは、何故クリームを作るのに塩が必要になるかってところだ。


 これには質問しよう。



「チャロナ、せっかく甘いのに塩を入れたら塩っぱくないかい?」


「入れるのは、比率としてはほんの少量です。例えば、シュライゼン様。甘いものをたくさん食べた後などに、塩っぱいものを食べたくなりませんか?」


「? ならなく、もないけど?」


「それを少し利用してるんです。ほんの少し塩気を感じると、舌が休まる効果もあります」


「へー?」


「シュラ。肉ばっか食った後に甘いもん食いたくなるのも似た感じだ」


「おー」



 面白い話なんだぞ。


 とりあえず、マンシェリーが一度手本を見せてくれることになり、大量のバターをボウルに入れてから加熱(ヒート)でバターを少し温めて。


 一部が溶け出して、見た目からも柔らかくなったバターを、泡立て器で混ぜていく。



「あまり混ぜすぎると、バターの風味も失ってしまいますので。だいたいクリーム状になれば大丈夫です」



 その後に、砂糖、コンデンスミルク、粗塩少々を加えて混ぜていき。


 牛乳は、少量を数回に分けて加えていった。


 そうして出来上がったのは、少しカナリア色に近い淡い黄色のクリームだったんだぞ!



「ねーねー、これは味見しちゃダメかい?」


「ダメではないですけど、メインがバターなので少し重たいですよ?」


「うー。じゃあ、出来てから食べる」



 なので、全員でおやつ用にそのクリームを作り。


 出来上がったものを、マンシェリーの収納棚に入れて保管することになった。


 泡立て器は使い慣れてるから、そんなにも難しくなかったんだぞ。



「さて。焼く前のこの段階も重要です」



 仕上がってきた、メインのパンを見ると。


 艶っとしてて、予想以上に膨らんでて、張りもあって。


 このまま食べても十分美味しいんじゃないかと思えたが、まだだと踏みとどまる。


 この後が、俺と爺やが求めてる結果があるのだから。



「発酵にも特に問題はないですね。仕上げに、打粉をこの小さな網に入れて化粧をします」



 本当に、うっすらとおしろいのように化粧をされたパンは、ペポロンの方がわかりやすいくらい美しかった。



「では、シュライゼン様とカイザークさんも」



 と交代を言われたから、ゆっくりとやってみて。


 かけ過ぎないように注意されてから、全部化粧を施し。


 いよいよ、焼く時が来た!



「ロティの窯ではなく、厨房の窯を使います。温度表示というものがこの世界にはないので、本当に火加減との勝負です」


「焦げさせてはいけないからかい?」


「もちろんそれもありますが、温度を越え過ぎるとパンの中の水気が飛んでしまってふわふわ感とかがなくなってしまうからです」


「それは重要なんだぞ!」



 とりあえず、鉄板を全部ではなく。白とペポロンを一枚ずつ、魔石管理の窯に入れて。


 ここで、マンシェリーは自分の技能(スキル)を召喚したんだぞ。


 なんか、薄い板に、00:00:00とか書かれてるのが。



「これは、私の技能(スキル)でタイマーと言います。時間を測る時計と似た道具です。今回はこれを使いますが、普段でしたら時計を使ってください」


「それはどうするんだい?」


「こう操作するんです」


「お!」



 俺にも見える技能(スキル)であるその板の、▼の部分をなぞっただけで。数字の部分がクルクル動き出して別の数字が出てきたんだぞ!



「今日は、前半10分と設定して」



 次に、OKという部分を軽く押したら。何も触っていないのに、数字達が動き出したんだぞ!



「この技能(スキル)は、正確に時間を測ってくれます。測り終えると自動的にアラームが鳴りますので、忘れる心配もありません」


「……それは、便利過ぎるんだぞ」


「これを、例えば会議に活用出来ましたら……無駄に時間をかける必要もありませんな」


「私の今のレベルと技能(スキル)のレベルですと、同時に5個まで出来ます」


「「なっ!」」



 こんな便利な技能(スキル)を同時に複数も可能に出来る?


 まったく、とんでもない異能(ギフト)なんだぞ!

次は月曜日ー

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