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80-1.複合の新技能

新機能搭載?






 *・*・*








 で。


 翌日の朝に、また小豆を炊くことになり。


 ただし、ウルクル様も一緒に見たいとおっしゃったので、説明しながらになった。



時間短縮(クイック)!」



 前日に水につけておけなかったから、時間短縮(クイック)で時短させて。


 そのお陰で、パンパンに膨らんだ小豆をまずは火にかける。



「ここから実践してくよ、ロティ?」


『でふぅ、複合でふううう』



 そう、私が挑戦してみたかったのは。


 複合のレベルの現状が10に上がったことで、ロティのスタミナもどれくらい減ってしまうのか。


 また、同時にどこまで短縮化(ショートニング)以外に利用出来るのか。


 複雑な加減が難しい、この餡子作りで試したかったのだ。



「まずは……重ねがけ、短縮化(ショートニング)!」


『最大短縮ぅううう!』



 繊細な豆の炊き方で、どこまで可能になるのか。


 コロンが貯まるのはともかく、ロティと頑張って活用したい。


 最初の時にあった、スタミナ切れを恐れる気持ちはまだあるけど。


 ロティも、頑張ろうとしてるんだから私も頑張らなくちゃ!


 ひとまず、短縮化(ショートニング)をかけてみると。


 一瞬、光った鍋の中身が……小豆がお湯をパンパンに吸って膨らんでいた。



「ロティ、スタミナは平気?」


『まだまだ大丈夫でふぅ!』


「じゃあ……次は」




 短縮化(ショートニング)ももちろんだけど、豆の煮え具合も調整していきたい。


 複合……は、融合とも似てる事象だから、時間短縮(クイック)以外に何かかけられる方法はないだろうか?



『何を考えておるのじゃ?』


「あの……今かけた技能(スキル)以外でも、二つの技能(スキル)を融合させたように出来るんですが。何がいいのか思い浮かばなくて」


『ほう。今のはなんだったのじゃ?』


時間短縮(クイック)と言う、時間を対象物だけ進めてしまう技能(スキル)です。それを出来るだけ短く済むように、何重にも重ねました」


『それだけでも、すごいがの?』


「そうなんですが。もっと……こう、なんて言えばいいんでしょう?」



 ロティに負荷をかけ過ぎず、かつ便利な技能(スキル)


 料理の場合、経過を時短させるだけでも結構すごいのに、他に何が出来れば……と考えるのも贅沢だろうか?


 けれど、私よりもロティに便利な機能があってほしい。


 何か……何か。



『ふむ。ならば、材料同士を混ぜ合わせる工程を省くのはどうじゃ?』


「材料を……ですか?」


『複雑な加減が必要なのはもちろんじゃが、すぐに手元にあれば良いと言うのもええじゃろうて』


「ってことは……撹拌(ミキサー)



 今の調理では、仕上げだけに必要な箇所でも。いいかもしれない。


 混ぜる時間を短縮するだけでなく、工程そのものを短縮出来るとすれば。




『でっふ。出来まっふ!』


『ほっほ。左様か』


「なら、仕上げの練る工程を省けば……ロティ、今から短縮化(ショートニング)連続でかけるけど、無理はしないでね?」


『あい!』



 そこから、途中茹で加減を見る以外は出来るだけ短縮化(ショートニング)をかけて。


 一回だけ、スタミナが切れかけたけれど。そこをすかさず、レイ君が用意してたサンドイッチで充電?を補い。


 渋抜き、お湯の沸騰などなどを済ませて、ついに新挑戦の撹拌(ミキサー)?へ挑む。



「必要なのは、砂糖に少々の塩。これを……混ぜるだけで、出来るのかしら?」


『にゅ。ふちゅーの錬金術の合成とも似てまふ!』


「なんて言うの?」


合成(ジンテーゼ)と言いまふぅう』


「よし、それで行こう!」



 なんだか、今まで出来なかった錬金術が出来るようになった気分になってきた。


 けど、確か。錬金術は料理にも通ずるとか、日本の創作知識ではあった気がしたけど。同じなのだろうか?


 とりあえず、冷やした小豆、砂糖、塩の小皿をコンロの上にセットして。


 皆さんが見守ってくださる中、初めての挑戦に挑みます!



『まぜまぜ〜でふぅう!』


「…………合わせて、一つに『合成(ジンテーゼ)』!」



 これだと思うような詠唱をつけてみたりして。


 最後に技能(スキル)名を唱えてみると。


 ロティが紫色に光り、同時にコンロの上の材料達も光った。


 ロティがくるくる回り出すと、それぞれ光ってたものが目の前でマーブル状に混ざり合っていき。


 光が消えて、ロティもただ飛ぶだけになったら。


 小皿やボウルに入ってた調味料は無くなってて。


 鍋の中身が、つやつやとした粒あんになってた!



『ご主人様ぁ〜、食べてみてくだちゃい!』


「う、うん!」



 自作と言えど、美味しいか少し不安になったが。


 スプーンで、少しすくって口に運べば。



「〜〜〜〜んんんんんん!!」



 美味しい。


 美味し過ぎる。


 初回のと変わらないくらい美味しい!


 豆の舌触り、砂糖の甘さ、ほんのり感じる塩気。


 どれもが、手作業でやってたのと変わりないくらい遜色ない出来栄え。


 思わず、腕をぶんぶん振ると、シェトラスさん達にくすくすと笑われた。



「いい出来だったんだね?」


「は、はい! 大丈夫でした!」


『妾も食べたい!』


「あ、はい。ひと口なら」



 新しいスプーンで少しすくってから渡そうとしたら、いきなりパクッと餡子を食べてしまい、すぐにぱあっと笑顔になられた。



『なんじゃこの甘みは! 豆を柔らかく煮ただけと、あの技能(スキル)で合わさった砂糖と塩だけでこのような美味になるのかえ? 蕩けるのとはまた違った食感に舌触り……これが、パンと一緒になるのか?』


「さらに揚げちゃいますよ?」


『うむ。ますます楽しみよの!』



 さて、下準備はひとまずここまで。


 次に作るのはお昼後だから。


 それまで、ウルクル様にはラスティさんのところへ行かれるようで。


 待っている間の時間も、楽しむと言ってくださいました。

明日も頑張ります!

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