76-5.達成感(アイリーン視点)
ちょっと短いです
*・*・*(アイリーン視点)
ああ、ああ。
とっても、とっても楽しかったですわ!
まず手始めに、お姉様から手ほどきを受けましたが。
とても素晴らしく、手際よくお料理を振舞われて。
わたくしのクッキーばかりのお料理力では、霞んでしまうほどでしたわ。
『クッキーよりは、あまり力まずに材料を混ぜてください。入れた重曹が強く混ざり過ぎると、生地を膨らみにくくしてしまうので』
『こ、こうですの?』
『はい。上手ですよ?』
子供達に教えるためとは言え。
わたくしも成人目前の婦女子。
しっかりとしなければいけませんわ!
だからこそ、子供達に聞かれそうな質問みたいなのを、お姉様に聞きながら蒸しパンを作りました。
『! 美味しいですわ! それに、お姉様の作るパンのようにすっごくふわふわで』
『バターじゃ、塩入りのじゃなくてもこうはならないんです。植物の油を入れるとふんわりとした仕上がりになります』
『そうですのね! けど、このふっくらとした仕上がりは……油、だけですの?』
『いいえ。重曹も膨らみに関係していますよ?』
『なるほど』
そうして迎えた、お料理教室。
わたくしは、お姉様とは違う卓を担当しましたが。
子供達は、渡されたレシピとにらめっこしながらも、なんとか頑張りました。
途中、わたくしの付け焼き刃の指導もさせていただきつつも。
子供達は、本当に頑張りましたわ!
『もっと細かくした方がいいのかな?』
『大きくてもいいんじゃない?』
『でも、せっかくだし美味しく作りたいから』
『『『アイリーン様、これで大丈夫ですか?』』』
『ええ。もう少し細かく刻んでみましょうか?』
自分よりいくらか年下の子供達と触れ合う機会は、そう多くありませんので。お父様の資金援助で訪れることは何度かありましたが。
今回のように、近くで接することはありませんでした。
ですから、とても新鮮でしたわ。
『『『わーい、出来た!』』』
『皆さん頑張りましたわね!』
年端もいかない、幼い子供達は。
自分達の手で、2回目とは言え刃物を使いながらもお菓子を作りあげて。
出来上がった時の笑顔は、こちらまで嬉しくなるほどでしたわ!
『『『アイリーン様、ありがとうございました!』』』
『いいえ、どういたしましてですわ!』
そして、お姉様が院長のマザーに蒸しパンのレシピをいくつか渡されてから。
わたくし達は、ユーカお姉様とゆかりのある美麗なるお兄様方と別れてから。
カイルお兄様のお屋敷に戻りましたわ。
「わたくし、今日はとっても楽しかったですわ!」
「それなら良かったです」
「特にヘマもしてないし、補助としては十分だったわよ」
「ユーカお姉様に褒められましたわ!」
それならば、次回もお呼びいただけるのでしょうか?
「それにしても、チーちゃん。あのレシピいつ準備してたの?」
「うん。シュライゼン様に少し相談に乗ってもらってから、急いでメモ書きしたの」
「チャロナも言ったように、毎日同じものだと飽きが出てしまうから。せめて、お菓子のレシピだけならどうかと聞かれてね?」
「なるほどね? 具体的に何のやつ?」
「ペポロンと、じゃがいもにカライモとか?」
「まあ。じゃがいもでも出来るのですか?」
「甘くないのですが、美味しいですよ?」
「わたくしも作り方をご教授していただきたいです!」
「んでもって、レクターに食べさせたいのかしらん?」
「そ、そう言うわけでは」
ほんの少しだけ、なら思いましたけれど。
やはり、ユーカお姉様はあなどれませんわ。
ですが。わたくしの時間もあまりありませんでしたので、カイルお兄様にきちんとご報告をさせていただいてから、お姉様にいただいたレシピを屋敷に持ち帰りました。
「甘くない、蒸しパン」
これは、バジルと言う香草にトマトとチーズが入っている。
型、と言うのは。紙型でも出来なくもない。
ただし、蒸す時に溢れそうになるのが注意点として難しい。その場合、鉄製よりも銀製の円柱の型に紙型を入れてから生地を流し込むのが良い。
「奥深いですわね、明日にでも作ってみましょう!」
翌日に、ライラと一緒に作りましたが。
お姉様にいただいたレシピのお陰もあり。
ほんのり甘くて、でもお腹にたまりやすい美味しい蒸しパンが出来上がりました!
レクター様のところへお持ちしたところ、美味しいとおっしゃってくださいましたわ!
明日は幕間!