63-1.ナポリタンドックと焼きそばパン
やっと作れる!
*・*・*
いよいよ祝賀会。
の前に、シュライゼン様とお約束した焼きそばパンとナポリタンドックの試作だ。
「まずはベースになるコッペパン作り!」
生地はささっと作り、まずは成形。
「コッペパンと言うのは、単体でも色々加工出来るんですが。サンドイッチタイプのパンとして使われることも多いんです。少し横長のパンに切り込みを入れて、そこに具を挟むんです」
「「ほ〜〜」」
『作ってみないと想像がつきやせんぜ』
「成形は少し難しいので、私がやりますね?」
麺棒でまず小判型に軽く伸ばして。
両サイドを折って、軽く叩き。
綴じ目を下にするようにして、指で整えて仕上げに軽く伸ばして。
これで原型の完成。
「これを発酵させて、ドリュールを塗って焼いたら出来上がりです」
「ふむ。確かに細長いが……かなり、大きく発酵するのかい?」
「そうですね。結構膨らむので一個で十分お腹にたまると思います」
「それは興味深いねー」
発酵はロティにお願いして、次に具材の麺料理だ。
一つは、パスタだからナポリタン。
もう一つは、カイルキア様に取り寄せていただいた、見た目、丸麺の細長い中華そばだ。
「しかし、主食同士を合わせるとは。異世界の文化も色々と奥深いんだな?」
「他にも色々とあるんですが、今回はこれで」
麺は蒸しておいて、軽く植物油で馴染ませておいて。
ナポリタン用のパスタは、半分に割ってから茹でて。
「ところでチャロナちゃん。今作っては、せっかくのパスタが伸びてしまうんじゃないかな?」
「いい質問です、シェトラスさん。このパスタは炒めるので多少は伸びますがそれもまた美味しいんです」
「「ほぉ!」」
作り方は色々あるだろうけど、まず私の作り方。
ナポリタンは、青ピーマン、玉ねぎ、ベーコンの細切りを用意してバターで炒めてから濃いめにケチャップを絡ませて。
味付けに胡椒以外にさらにバターを加えて。
味付けを確認したら、トングでコッペパンに挟みやすいように皿に盛り付けて冷ましておく。
『これだけでも、充分に美味そうでやんすけど』
「まだまだ。次は焼きそば!」
「パスタより少し細いパスタみたいだけど、かなり柔らかい」
「ホムラでは、スープに入れて食べるんです。今回はさっきのナポリタンのように炒めちゃうんですが」
焼きそばの麺以外に、せっかくなので豚こま肉とキャベツを少々加えて炒めることにした。
「フライパンに油を少し入れて熱したら、豚こま肉を入れて色が変わるまで炒めて、キャベツを入れて」
キャベツはシャキシャキもいいけど、しんなりさせるイメージでしっかり火を通す。
いい具合に火が通ったら、麺を入れて塩胡椒して油が回るくらいにしっかり炒めて。
そこに、ウスターじゃなく仕込んでおいた中濃ソースを入れてまたしっかりと炒める。
味を確認してから、また仕上げに胡椒を加えて。
これも、トングで細長く盛り付けたら、少しだけ皆さんで味見することに。
「ん! 初めて食べるが、あのソースが麺にしっかりと絡んでて美味しい!」
「このままでも充分に美味しいのに、更にパンと……か」
『美味いでやんす!』
『美味ちーでふぅ、ご主人様ぁ!』
「良かった」
オーブン発酵器状態のロティにも喜んでもらえたなら何より。
そして、その後にコッペパンを焼いたら冷却と乾燥を使ってしっかりと水分と熱気を抜けさせたら。
「波刃の包丁で、真ん中に少し切り込みを入れて……マヨネーズを塗ってから具材を挟めば!」
ナポリタンドックと焼きそばパンの完成!
仕上げに、ナポリタンの方には乾燥パセリを振ってあるが、焼きそばには少しマヨネーズをかけた程度。
青のりとか、紅生姜は流石にないので。
「チーちゃ〜ん。シュラとカイザーのじい様が来たわよん!」
「あ、ほんと?」
カイザークさんも来ていただけたんだ。
もちろん、試食には十分余裕があるし大丈夫。
せっかくだからと、カイルキア様やレクター先生にも来ていただきました。
「ほう。赤と茶色。対照的ですが、美しいですな?」
カイザークさんは、目の前に並べられたナポリタンドックと焼きそばパンに興味津々のご様子。
けど、男の人でもご年配枠に入りそうなカイザークさんだと、二つも食べれるか心配。
「チャロナ〜チャロナ〜。これが一昨日言ってた差し入れの候補かい?」
わんぱく食べるの大好きなシュライゼン様のお腹なら余裕そうだけど。
「はい。赤い方がパスタを使ったナポリタンドックと言いまして。黒いのが、例のソースと麺を使った焼きそばパンです」
さあ、どちらのパンに決まるかは皆さんに食べていただかないとわからない。
私とエイマーさんが紅茶の準備をして、いざ試食会!
おかしい、短く終わってしまった……