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57-3.不老の農耕男

今日は短め






 *・*・*









 サリーちゃんにも大好評だった三色ジャムパン。


 結構な数を作ったし、PTも一個につき製造が300となかなか高め。食事も150だったし。


 レベル上げにはあまり貢献出来なくとも、皆さんが喜んでくれたから、それでいい。


 この異能(ギフト)にカンストはとりあえずないみたいだし、のんびりで行こう。



「チーちゃぁん。おやつもらいに来たわよ〜!」


「僕も〜」


「わ、私も」


「はーい、持ってきますねー」



 マックス(悠花)さん、ラスティさん、エピアちゃんがやって来たので、一つずつ出すとここでもジャムパンの大きさに驚かれたが、悠花(ゆうか)さんには来い来いと手招きされた。



「ラスティ達があんたに知らせたい事があるって言うのよ。お茶の時間くらいならいいでしょ?」


「あ、うん。ちょっとシェトラスさん達に聞いてくる!」



 農園の方で何かあったのかな?


 シェトラスさんからは、ちょうど休憩に入っていいと言われたので皆さんの分も合わせてハーブティーを用意し。


 ちょっとおねむだったロティと一緒に運んで、ティータイムに突入。



「ん〜〜、あんぱんもいいけど。種類の違うジャムが入ったパンもいけるわ〜。これ、ジャムがあんまり溢れて来ないけど、何か秘策でもあるの?」


「とろみづけに、コーンスターチ使ったの。米粉や小麦粉だと、味が変わっちゃうから」


「そうね。たしかに、しっかりしたジャムの味だわ」


「三箇所とも味が違うって面白いね〜。パンもいつも以上に甘いし、ジャムも美味しいし〜」


「はい。すっごく、美味しい……です」



 ラスティさんもエピアちゃんもぱくぱく食べてくれるから、嬉しい。


 知らせたい事は、どの味も堪能してお茶を軽く飲んでからラスティさんから告げられた。



「あのね〜。あの農園全体には、僕の持ってる加護のスキルが影響されてるんだ」


「あ、少しエイマーさんに聞きました」


「うん。聞いてるならよかった〜。それでなんだけど、君が植えたジャガイモが実は明日くらいに収穫出来そうなんだよ」


「え゛!?」



 そんなまさか?と思いかけた時、思い当たることに行き着いた。


 どうして気づかなかったのか。


 日本のように品種改良されたり、ビニールハウス栽培などで年中旬を問わずほとんどの野菜が手に入るわけじゃないのに。


 このお屋敷で使わせてもらってる材料のほとんどが、そんな感じでいつでも新鮮な物が手に入っていた。


 卵やお肉はともかく、質の良い野菜が大量に手に入るのに疑問に思わなかったのは、最初にラスティさんのチートスキルを聞いてたからなのに。


 そのスキルが、まさか収穫時期まで高速になってたとは。




「……ラスティさんの、加護スキルはいろんな意味で影響力が凄いの。収穫もだけど、ランダムで大豊作とか収穫物の大きさが凄いのになるとか」


「そ、そうなんだ」



 療養中のお世話はエピアちゃんにお願いしてたんだけど、すくすくと育ち過ぎて、もう明日の朝には収穫が出来るそうな。


 株は三つしか植えてないんだけど、どれくらい採れるんだろう?



「僕の加護の凄いうちのひとつはね〜? 熟成が必要な作物も、僕の触れたものは収穫と同時に完了してるとこなんだ〜」


「え」


「あんたに与えた神からのオプション、だったわね?」


「うん。最近はお会い出来てないけど〜」



 どうやら、農耕の神様に気に入られてるらしく、先天性で備わったスキルでも直接会いに来られるんだとか。



「寂しいんじゃなぁい? 恋人なんだから」


「ええ゛!?」


「全然教えてないから、面白い顔になってるわよ?」


「だ、だってだって。神様が恋人!?」


「うん、そうだよ〜? あと数年で神席の末端に入るから今は不老だけど〜」


「20歳からそのまま、でしたよね?」


「そうだね〜」


「い、いいい、今おいくつですか?」


「32歳〜」


『でふぅうう!』



 もう、もう、もう。


 驚きの連続過ぎる。


 ファンタジー満載の世界だから、なくもないとは言え。


 まさか、人間から神様のお婿さん?になる事実が目の前にあるだなんて。


 たしかに、エピアちゃんの叔父さんにしては若過ぎるなと思ってたら。若作りじゃなく体の成長を止められてるだなんて。


 思うわけないでしょう!



「で、明日の朝か昼には収穫出来るけど。自分でやる〜?」


「や、やりたい、です!」



 せっかく自分で育てた作物。


 それをパンにすべく育てたし、錬金術の効果も知りたいから、出来るだけ自分でやりたい。


 なら、と。ラスティさんは昼のお休み時間を利用して収穫しようと言ってくださった。


 なので、すぐにシェトラスさん達に知らせて大丈夫だと許可をいただきました。



「じゃ、明日はよろしくね〜」


「ま、またね」


「あたしもちょっとギルドに用があるから、抜けるわ〜」



 三人を見送ってから、まだ休憩時間はあるので小部屋を使わせてもらい、ロティとあることを確認することにした。



「ねえ、ロティ」


『でふ?』


「自分が作った野菜とかを使うと、相手に『口福』を与えるって、具体的にどんな感じ?」


『にゅ〜〜……とっちぇも、ちあわせ〜になって、コロンがいっぱいもらえりゅんでふ!』


「え、コロンが?」



 多幸感を得る表情はすぐに浮かんでも、コロンが経験値とは別にもらえるとは……凄いかも。


 収穫量によるけど、出来れば以前エピアちゃんの前でロティが言った『ポテサラチーズのパン』を明日のおやつに作ろうと考えてたので。



『どれくりゃいかは、ロティもわかんないでふ。けど、次はトマトがオススメでふ』


「夏だから?」


『んちょ、どりゃいのトマトにしゅりゅと……』


「わかった。フランスパンに混ぜ込む用とかにね?」


『でっふ! チーズと混ぜたら美味ちーでふぅう』


「うんうん。食事向きだし」



 なるほどなるほど。


 ラスティさんの加護スキルを活かして大量に手に入っても、使い道をソースだけにするのはもったいない。


 乾き物なら、多少は保つし、オイル漬けにするのもいい。


 うん、パンの記憶を検索してみれば意外と引っかかるのが多い。


 なら、次の目標も出来た!



「よし。今日はまず、メンチカツね!」


『でっふ! じゅわじゅわサクサク〜!』



 ただ、このメンチカツでとんでもない事が起きるとはこの時思わず。


 夕飯に出して、配膳する度に食べ方を教えてしばらくすると。


 カイルキア様も含めて、全員が争奪戦になってしまったのだった。

裏話)実は勢いでとってつけた設定多し……今回で言うと、ラスティの年齢不詳が


明日も頑張るでふ!

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