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53-2.応援したい(アイリーン視点)

お嬢様編






 *・*・*(アイリーン視点)







 まあ、まあまあまあ!


 本当に……本当に生きていらっしゃったのですね、王女殿下(・・・・)


 誠に、姿絵でしか存じ上げていなかった王妃様とそっくり過ぎて。


 ユーカお姉様にご注意されるまでは、お父様からの言いつけを忘れそうになりましたわ。


 この方には、まだ王女殿下であられる事を知られてはいけない。わたくし達の従姉妹であると言うことも。


 そして、カイルお兄様の許嫁(・・)になられたと言うことも。


 ですが、少しでも年上である事は変わりありませんわ。


 だから、お姉様と呼ばせていただきます!



「……ダメですの?」


「うっ」



 ですから、お兄様譲りのこの顔を武器に使いますわ!


 このような神秘的なお顔には遠く及ばずとも、将来のお義姉様には効果がありましたわ!


 ユーカお姉様からも、特にお咎めがないようですので大丈夫ですわ!



「お姉様をお姉様とお呼びしては、ダメですの……?」


「……わ、かり、ました」


「敬称もよろしくてよ!」


「それは譲歩してください!」


「まあ」



 今は王族でなくとも、なんて健気な方なのでしょう。


 ますます、尊敬してしまいますわ!



「その辺にしときなさいな。チーちゃんは一応(・・)使用人なんだし、あんたはあの子の主人の妹なのよ?」


「そうですが、それはそれ。これはこれ」


「あんたとレクターの恋を応援してくれようとしてるのに?」


「まあ!」



 チャロナお姉様にも、レクターお兄様との事が筒抜けでしたの!?


 すると、ユーカお姉様は椅子を持ってきてからわたくしに腰掛けるよう手招きなされた。



「あたしとエイマーがうまく行ったのよ。んで、他にももうひと組いるんだけど、仲立ちしてくれるのが上手いチーちゃんに相談に乗ってもらおうとね?」


「まあまあ、そうでしたの? おめでとうございますわ、お姉様」


「ありがと」



 お姉様(本来はお兄様でも)の長年の想いが成就して、嬉しゅうございますわ!


 しかも、話の流れから言いますと、ご婚約もされたご様子ですわね!


 その現場、おさえておきたかったですわ!



「で、チーちゃんはチーちゃんであんたの兄貴の事が好きなんだけど。そこはちょっと置いといて」


「まあああ! カイルお兄様をですの!?」


「あ、ああああ、アイリーン様、声が大きいです!」


「リーンでよろしくてよ?」


「えっと……リーン様、怒られないんですか?」


「何故ですの? わたくしは大賛成ですわ!」



 身分差など関係ありませんわ!


 おじい様でいらっしゃる先代の陛下もそうでしたもの。


 あれほど美しいおばあ様が孤児だったなどと、未だに信じられませぬが。


 いつもとても睦まじく過ごされていらっしゃいますもの。


 わたくしも、レクターお兄様とそうなりたいですわ!



「この子、自分のじい様達が身分差婚だったから憧れてるのよ」



 そして、チャロナお姉様は本来ならば王女殿下。


 いくら、わたくし達と従姉妹であれど、王族と縁戚の貴族とでは違いがあり過ぎる。


 それを今申し上げられないのが歯がゆいですわ!



「そ、そう……なんだ? けど、私じゃなんの取り柄もないし」


「まあ、そんな事はありませんわ! 聞きましてよ、パンが苦手なお兄様のお口に合うパンを作られていらっしゃると」



 わたくしもパンは苦手な方ですが、あれだけ毛嫌いされていたお兄様が進んで口にされるなんて。魔法鳥で伺った時は目が飛び出ると思いましたわ。



(わたくしも、是非とも食べてみたいですわ!)



 来る機会をもう少しズラせばよかったかもしれませんが、どうしてもレクターお兄様にお会いしたくて我慢出来ませんでしたもの。



「そ、そんな……注意していれば、ふつうに出来ますよ?」


「わたくしでも……?」


「? リーン様もお料理を?」


「はい。嗜む程度ですけれど、いつかレクターお兄様に召し上がっていただければと」



 もっぱら、お菓子ばかりですが。


 今日もお持ちしたので、ドレスのポケットに忍ばせてたそれを見せれば、ユーカお姉様に頭を撫でていただきましたわ。



「なら、さっさと渡しに行った方がいいけど。チーちゃんにひと口味見してもらったら?」


「え」


「まあ、お料理のお上手なお姉様に?」



 自分では大丈夫と思ってましたが、他の方のご意見も参考にしたいですわ。


 包みを開けて、クッキーを一枚手渡すと、チャロナお姉様は急に真剣な表情になられてわたくしはドキッとしましたわ。


 やはり、従姉妹だからか、カイルキアお兄様の真剣な表情と似ていらっしゃって。


 もし、お二人が想いを交わせば……ご結婚式のお姿は国一番になられますわ!


 そう考えていると、チャロナお姉様が召し上がられる音が聴こえてきたので、意識をお姉様に向けました。



「……うん。甘さも食感も悪くはないと思いますよ。レクター先生の好みは、少し存じ上げていませんが」


「それで十分よ。けど、もう遅いのによくお袋さんが許してくれたわね?」


「転移の魔法で来ましたの!」


「『「はあ!?」』」


「えっへん!」



 シュラお兄様やフィーお兄様に、密かに教わっておりましたのよ!


 ただ、着地点がまだまだズレてしまうのが問題点ではあったけれど。近くまでは来られたのだから及第点ですわ。


 が、そう言うと、加減はなされてもユーカお姉様に頭を殴られてしまいました。



「入れ違いで帰った親父さんが知ったら、雷落とされるだけで済まないわよ!?」


「……ですが。ですが、クッキーが出来たのがこんな時間なので」


「せめて明日になさい! 今ならまだ間に合うわ。明日なら、あたしも時間作ってやれるから」


「ですが!」


「親父さんの冷徹の微笑み見たいの?」


「! 帰りますわ!」



 お父様のいないうちに……と思ってましたが、もうここから帰られたのだと言うことは、計画が失敗したのと同じ。


 ユーカお姉様がこれほどおっしゃるのであれば、それと同じですもの。


 なので、もう一度チャロナお姉様に一礼してから、指を鳴らして転移はしたものの。



「……おかえり、アイリーン?」


「!…………戻り、ました。お父様(・・・)



 時すでに遅しと言いますか。


 自室に転移したものの、部屋では目の笑っていないお父様が出迎えてくださいました。

明日には、チャロナも回復?


だと思いますよー

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