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45-3.熱々とろとろグラタン風スープ

お待たせしましたぁあああああ






 *・*・*








 まず取り揃えます材料は?




 パンの耳

 玉ねぎ

 砂糖

 コンソメ

 水

 チーズ

 塩胡椒



 以上です。


 超お手軽な、パンの耳消費し放題の簡単グラタンスープ。


 最初は試食も兼ねて、四人前くらいに。



「まずは、玉ねぎを繊維に沿って薄くスライスします。これを、小鍋に砂糖と一緒に入れて炒めると割りとすぐに飴色……茶色っぽくなります」


「! それはコンソメのスープだけでも時々使う方法だね?」


「はい。バターも油も使わずに、砂糖と玉ねぎの水分だけで炒めていきます」



 焦げ付きやすいけど、テフロン加工じゃない鍋でも、丁寧に炒めていけば大丈夫。


 しなっと、琥珀以上に茶色い飴色になったら下準備の完了。



「ここに、四本のパンの耳をちぎって入れて。水をひたひたになるまで入れたら、コンソメを2キューブ入れて」



 コンソメが溶けて、パンがふやけるまで煮るだけ。



『あとこれに、削ったチーズを入れるでやんすか?』


「そうなの。ただ、ここに溶かして入れるのも美味しいけど……とりあえず、塩胡椒で味を整えて」



 せっかく魔法が使える世界だから、ちょっとだけアレンジする予定。


 出来上がったトロトロのグラタン風スープを人数分のカップスープに注ぎ。


 チーズをたっぷり加えてから!



「わずかに焦がせ、【炙る(スコーチ)】!」



 ガスバーナーも驚くくらいの、物の表面を焦がすだけの生活魔法。


 この世界だと、子供でも使いやすい火魔法として重宝されてるだけだが。前世の記憶を持つ私なら、それだけで終わらせない。


 指に種火のような火がともったのを見てから、くーるくるとチーズの表面に当てて。


 あぶくが立ったところから、重点的に焦げ目をつければ。


 スープも熱々の、グラタン風スープの完成だ!



「「『おおおお!』」」」


「熱々が美味しいので、どうぞ!」


「「『いただきます!』」」


『いちゃだきまふぅ!』



 本当にあっついので、全員(ロティは食べさせてあげる)スプーンですくったスープを少し冷ましてから一口。



「「んん!?」」


『チーズが香ばしいのに、よくのびて……スープはとろっとろでやんすぅ』


『あむ……あむ、おいちーでふぅうう!』


「いくらでも食べられるよ、チャロナくん!」


「これは……コンソメスープにパンとチーズを加えただけなのに」








【PTを付与します。



『熱々とろとろパンの耳でグラタン風スープ』



 ・製造約1ℓ=1000PT

 ・食事1杯=100PT


 →合計1100PT獲得




 レシピ集にデータ化されました!




 次のレベルUPまであと4791137PT




 】






 パンを加工しただけだけど、なかなかに悪くないPT数を稼げた。


 これだと、夕飯で仕込む分を考えたらかなりのPT数になるはず。



「こう言うパンでもいいんですが、バゲット……あのパンの方が主流なんです」


「ソースにつけるだけの?」


「あれがかい??」


「はい」



 柔らかいパンも悪くはないけれど。


 水分量が多い生地で有名なあれの方が、香ばしさも増して美味しいのが一般的。


 この世界に来てからはまだ作っていないが、近いうちにやってみようとも思う。


 ただ一点。


 道具が足りない。



「作ってみたいんですけど……道具がないんですよね」


『ふつーに焼くだけじゃあかんのです?』


「うん。キャンバス地に似た布の上に乗せて、あと仕上げに特殊な紙の上に乗せてから焼くのがいいの。私だと、あれくらいしかやった事が無くて」


「「『んん??』」」


「紙の部分は、シリコンシートでもいいんですけど……」



 パンマット……手に入らないかなぁ?


 あれがあると、フランス生地のパン作りにはとても助かるのに。


 すると、ロティがくいくいと私の袖を引っ張ってきた。



『ご主人様ぁ、銀製器具(シルバーアイテム)、全部たしかめてにゃいでふぅ』


「え? もしかして、あるの?」


『見にゃいとわかりまちぇん』



 たしかに、全部は見てないけど……と、一度器具のステータスを確認してみれば。


 ものすごっく、端の方にあった!




『パンマット(2枚)……主に、フランス生地のパン作りに使われるキャンバス地に似たマット。長さなどは使用者の魔力量により、いかようにも変えられる』




 新アイテムが前半に追加されていくから、後ろの方にあったって事は、はじめからあったのかもしれない。


 危うくお蔵入りさせるところだったなと、思わずほっと出来た。



「これがあるからには、明日以降にバケットに挑戦出来ます!」


『チーズ入り作ってくだちゃい!』


「あ、そうね。エピアちゃんとかもチーズ好きだし、いいかも」


「幸い、チーズが嫌いな人間もいないしね?」



 となれば、クッペを作るのもいい。


 材料に必要な、フランスパン用の強力粉も一応あるようなので、これもお蔵入りになる前に使っちゃおう!


 とりあえずは、夕飯も近くなったので、全員で夕飯作りを再開して、時間になったら私とエイマーさんメインでスープを提供してたんですが。



「「「「『おかわり!』」」」」


「( 'ω')ふぁっ」


『( 'ω')ふぁっ』


「……美味いのはわかるが、全員が全員持ってくるか……」



 いつものようにパンとメインも食べてくださったようだけど。


 少し冷える今晩は、余計に体に沁みたのか男女問わずカップスープを持って来られて。


 悠花(ゆうか)さんももちろんいたけれど、一緒に食べてたらしいカイルキア様まで!


 そんなにも美味しかった!?


 思わず、心臓がドキドキしちゃったけども。



「えっと……追加分も作りますが、ひとまず順番に並んでください」


『はーい!』



 ここは旦那様とか関係なく、来た順に並ばれて。


 カイルキア様が来られた時に『多めで頼む』とお願いして来られた表情がなんだか可愛くて!


 ピザトーストを作った時のデジャヴが!


 カッコ可愛い!



「チャロナ、俺もおかわり!」



 少ししてから、サイラ君も来て。


 今日はやけに怪我が多いけど、大丈夫なんだろうか?



「怪我多いけど、どうしたの?」


「あー。産卵期のコカトリス達が暴れたから全員で押さえた」


「うっわ……全員?」


「エスメラルダさんは別担当だったけど。先輩達も一緒」


「そっかー」



 それと、傷が深いものは一応レクター先生に診ていただいたんだって。毎年の事だから、この時期は大変みたい。



「今日のも無茶苦茶美味いよ! エピアもチーズ好きだからおかわりしまくりだろ?」


「そ、そうだね……」



 実は彼以上に食べてて3回も、と言うと更に笑い出した。



「大好物だもんな? なあ、今度三人……あ、マックスさんもいるから、四人でリュシアに遊びに行かね?」


「遊び……に?」


「うん。休み合う日でいいから出掛けね? この間は仕入れ以外ほとんど遊んでねーんだろ?」


「あー」



 孤児院訪問以外も、たしかに遊ぶ事はしてなかった。


 あの事件もあったし、エピアちゃんはすぐに帰っちゃったから。



「ちょーっと、後ろ詰まってるわよ。私語はいいけど、なーに話してんの?」



 悠花さんが注意にやって来ると、たしかに後ろが詰まってたので急いでサイラ君の分を作って配膳に戻った。


 ただ、終わりがけに今度はエピアちゃんと悠花さんを連れてサイラ君が戻ってきた。



「全部話してきた! マックスさんも一緒ならいーいって!」


「あんたら、先にデートの方がいいんじゃなぁいの?」


「それ言うなら、マックスさんだって」


「あたしは結婚も決定してるから焦ってなーいわ」


「なーる?」


「チャ、チャロナちゃん……行く?」


「うん、お邪魔じゃなきゃ」


『ロティもでふぅ!』


「あ、ロティ。ごめん」


『でっふぅうう!』


「うわ!」



 そう言えば、一人だけ忘れられてたロティは。


 言い出しっぺのサイラ君に突撃して髪をわちゃわちゃしまくった。



(友達と買い物……孤児院以来かも)



 あのパーティーにいた頃は、単独で食材の買い出しとか多かったから。


 シミットやミッシュのように、武器とかお洒落な装いを……誘われても、なんとなくかわしてたっけ?



(……あれ、私?)



 そうすんなりと思い出せるくらいに、ここでの生活で落ち着きを取り戻せたのか。


 気まずくさせたのは、自分にもあったかもしれないと思えてきたのだ。


 夕方前の魔法特訓で、シミットを思い出せるように、あの頃の記憶も、それほど辛かったとは思わなくなっていたから。




「チャロナ、それでいい?」


「へ?」



 考え込んでたせいか、サイラ君の言葉にも変な声で返してしまった。



「チーちゃん、なんか考えてたの?」


「あ、あはは……パンの事」


「チャロナらしいっちゃ、らしいけど。あのさ、マックスさんの店でチャロナもあった男に、俺の友達もいるんだよ。そいつにも会いに行かね?」


「? 友達?」


「ビビりのレイリア」


「ああ!」


「あれ、俺とタメなんだよ」


「そうなんだ?」



 年上は年上でも、私と一個違いだったんだ、なるほど?



「前にあんたからクッキーのコツ教わってたでしょ? 進歩見に行くついでに教えてあげたらって?」


「それはいいけど?」


「あそこの飯も結構うんまいし、昼飯はそこにしね?」


「へー」



 前はお茶だけだったけど、ちゃんとしたご飯も食べてみたいかも。


 そんな感じで、お休みを合わせるのにいつがいいか四人で話し合い。


 一週間後に取れるかどうか、シェトラスさんに聞く前に悠花さんに呼び止められた。



「さっき考え込んでた話。あたしでよきゃ聞くわよ」



 本当に。


 この人は、鋭いなあと感心するしかなかった。

明日はレシピ回ですん

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