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34-1.おそるべし、ピザのPT

久しぶりに、幸福の錬金術が活用されます(天の声が


(19/8/8ジェノベーゼ除去)






 *・*・*









 自覚した事については、一旦横に置いておき。


 厨房に戻ってからは、やるべき事をやるのみ。


 と言っても、この世界に生まれ落ちてから初めて作るジャンクフードの数々を披露するので、少し大変。


 一部の人達には、私や悠花(マックス)さんが異世界の出身であることを知らないから。


 ホムラとも、ここセルディアスとも違う国の料理と思わせなくっちゃ。


 幸い、私達は冒険者だったって理由があるけれど。ボロが出ないようにしないとね。



「俺もパン作り手伝っていーい?」



 厨房に戻ってすぐ、フィルドさんがやりたいと挙手してきた。


 他はと思ったら、シェトラスさんもエイマーさんのお手伝いもだいたいが終わってるらしく。レイ君もちょうどよく補助に入ってる感じだし。


 たしかに、暇になってしまったなら仕方がないかとロティの方に向かう。



「私とロティの錬金術で、今生地を育ててる段階にしています。これを今から切り分けたり丸めたりするんですが」


「そっか。じゃ、俺切り分けよっか?」



 技術を教えてなくとも、やっぱり要領はいいらしい。


 私が言う前に理解してたのか、すぐに出来る仕事を口にされた。


 と言っても、銀製器具(シルバーアイテム)だったり、ロティの変換(チェンジ)を見てもちょっと驚いたくらいで。


 まるで、私達の異能(ギフト)を知ってるような気がしたけれど。


 何故か、疑問に思う前に彼の言ってた『適材適所』のような言葉が浮かび。すぐに、疑問を消してしまったのだ。


 だからか、バターロール達の焼きまでほんとスムーズに終わっちゃった。



「うっわ、ほんとい〜い匂い!」


「せっかくですから、一つずつ食べます?」


「いいの〜?」



 まあ、給料代わりのパンは渡したけれど、これくらいなら別に大丈夫。


 シェトラスさんに目配せしても、にっこり笑われたからOKサインはいただけた。


 焼き立てあちちだけど、フィルドさんはせっかくなので取り置きにしてたジャムと一緒に食べたら、すぐにほっぺを赤くしました。



「すっっっごい、美味しい! 焼きたてだからもあるけど、ふっわふわで少し甘くて香ばしくて。ジャムとバターとよく合う!」


「ありがとうございます」



 二個とも食べ終わっても、まだ物足りなさげではいたが。これは、また夜にも出すからと言えば了承してくださり。


 それからは、パーティーメニューの下ごしらえや夕飯のお手伝いをしながら過ごし。


 夕飯の波が片付く頃に、何故かパーティーに参加するはずのメイミーさんがやってきて。



「チャロナちゃん、授賞式が近いから。ちょっとだけマナーのレッスン入れましょうか?」


「…………はい?」



 言っている意味はわかるけど、何故今更?と疑問が尽きない。


 返事をしても、彼女はにこにこされるだけ。



「行儀作法については、いくら転生前の知識と経験があっても……この世界とはまた違うもの。ほんの少しアドバイスするだけだから、明日と明後日。少しだけお時間いただけるかしら?」


「は、はぁ……?」


「なら、お昼以降の休憩を多めにとる形で行っておいで? ひとまず、大きな仕事はこちらもないから」


「わかり、ました」



 シェトラスさんにそう言われてしまうと、なんとも言えない。


 たしかに、社会人としてのマナーはうろ覚えでいたから試験の時は役立てたけど。


 今度は、お城からの感謝状を受け取る側だから失礼があってはいけない。


 苦手と思って、避けちゃうのはよそう。



「それと、夜は楽しみにしてるわ! すっごく美味しいパンの料理を振る舞ってくれるの?」


「はい! 楽しみにしててください」


「うふふ。あ……夜は少し夜更かししましょう? 女だけでおしゃべりするの……エイマーさんに聞いたけど、パジャマパーティー?とか」


「え、パジャマパーティーするんですか?」



 結構遅くまでどんちゃん騒ぎはするだろうけど……どうやら、メイミーさんはこの間混ざりたかったらしく。


 無理なら違う日がいいとも言ってくれたので、とりあえずそれは保留になった。


 彼女とのおしゃべりが終わってからは、いよいよ本番のピザ成形に取り掛かります!



「冷やしてた生地を、焼く分だけ取り出して」



 打ち粉を調理台の上によく振り、生地をまずは平らに均す。


 そこから、長めの麺棒(銀製器具(シルバーアイテム)の中の)で均一の薄さと、大きさはLサイズをイメージするくらい広げて。


 ロティの天板にシリコンシートを敷き、その上に生地を乗せて。



「うーん。最初だから、何のピザにしようかなぁ……?」


『ご主人様ぁ、悩むでふぅ』


「うんうん。最初のピザだし、久しぶりに作るし」



 パン屋と言うよりか、専門学校時代の企画で作っただけだが。


 具材も色々取り揃えてはみたけど、やっぱり悩みはする。


 でも、今日のメインゲストの人達には喜んでもらいたいし。



最初(さいちょ)は、シンプルにマルゲリータちょか?』


「やっぱ、そうかもね」



 ここはやはりシンプルイズベスト。


 シェトラスさんのトマトソースを薄く塗り、生バジルの葉を散らし、チーズをたっぷり。


 これを、オーブンで10分弱焼けば完成!



「何何何!? このいい匂い!」



 焼ける頃には、厨房全体を包み込むくらいに匂いが行き渡ってしまい。


 あ、これはもうダメだ、と諦めた。


 何故かって、エイマーさんやシェトラスさん、レイ君まで試食したいって顔に出ちゃってたから。



(1枚目だし、いっかな?)



 生地はまだまだ余裕があるし、メインの一人に先に食べてもらうのもこの場合が仕方ない。


 ミトンをつけて、オーブンから取り出したマルゲリータピザは……私も我慢出来ないくらい、暴力的な魅力で実に美味しそうだった。



「ピザカッターで切り分けて」



 これも、銀製器具(シルバーアイテム)の中にあったカッターでとりあえず六等分に切り分けて。


 食べ方を教えてから、戻ったロティも加わって全員で食べる事に。



「うっわ、チーズがとろとろ……緑っぽいとこもハーブだからいい香り! ソース美味しい!」


「「これは素晴らしい!」」


『美味いでやんすぅ!』


『でっふぅ、でっふ!』


「うん、美味しい!」



 生地は端以外もちもちで食べ応えがあり。


 シンプルに仕上げたお陰で、チーズ、トマト、バジルの味とかが程よく主張し合ってて。


 自画自賛したいくらいの美味しさだった。


 これなら、悠花さんやエピアちゃん達もきっと喜んでもらえる!


 ただ、食べた後少し問題が起きたのだ。




【PTを付与します。




『シンプルなマルゲリータピザ』



 ・製造1枚=5000PT

 ・食事1/6枚=500PT





 レシピ集にデータ化されました!





 次のレベルUPまであと4596PT




 】





 そう、ただ(・・)ピザを作っただけなのに。


 味見でも製造でもPTの数値が半端なくて。


 後少しで、レベルアップになりそうだった!


 これはマズイ、とシェトラスさんに耳打ちしてから、ロティも抱っこして個室に移動した。



「あとどれくらいで、レベルアップするのかな?」


「おそらく、あと一枚でも味見したら……」


「ふむ。フィルド君には見せてはいけないだろうしね? なら、次はここでこっそりロティちゃんと食べなさい。君の収納棚?なら、仕舞っておけるだろう?」


「そうします」


『でっふ』



 二枚目はすぐに焼かなかったが、もう一枚焼く頃合いは見計らって。


 一枚はまたマルゲリータ。


 もう一枚、トマトソースでソーセージピザを焼いた後。


 ロティの方で収納棚に二ピース分仕舞い込み。


 ちょっとトイレと嘘をついて、個室に移動して食べる事にした。



「う〜〜〜〜ん。美味しい!」


『でっふでふぅ! はふはふ』



 そして、食べ終えてから意識が少しずつ遠退いてきた!




【PTを付与します。




『やみつきソーセージとトマトソースのピザ』



 ・製造1枚=5000PT

 ・食事1/6枚=500PT



 レベルUP!

 →5500PT獲得により、レベル20に!





 レシピ集にデータ化されました!





 新機能が追加されました!


 →ナビ変換(チェンジ)に、炊飯器(ライス・クッカー)並びに揚げ物フライヤー搭載




 次のレベルUPまであと12300PT




 】





「うっわ、うっわぁああ!」



 天の声が聞こえなくなり、意識が戻ってきた瞬間。


 私は嬉しくなって、ロティの両手を掴んでぶんぶん振った。



「炊飯器だって! あと揚げ物とかも!」


『でっふ! お鍋じゃなくても炊けるでふぅう!』


「そうだね! 醤油もあれば炊き込みご飯作りたいとこだけど」



 結局作れていない、お米の炊飯が錬金術で出来るのはすっごく嬉しい。


 炊飯器なら、他にもいろんな活用方法があるからだ。



「ロティ、デザートそれで作っちゃおうか?」


『でふ? おかちのパンじゃダメでふ?』


「ふっふっふ。夏だけど、お屋敷にはりんごがあるじゃない? だーかーらー」


『わきゃったでふ! タルトタタンでふね!』


「そうそう」



 パーティーの締めに出すにもちょうどいい。


 と言うわけで、料理の仕上げをしながら作る事にした。

では、また明日ー


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