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32.神の仕業(それぞれの視点)

大変お待たせして申し訳ありませんぅうううう








 *・*・*(マックス《悠花(ゆうか)》視点)









 何か。


 とてもとても、大事な事を聞き出したはずなのに。


 レイに起こされてからは、一切覚えていなかった。



(絶対知っておきたかった感覚は覚えてるのに……封じられた(・・・・・)?)



 もしくは抜き取られたかもしれないが、どちらにしても高位の精霊か神の仕業。


 それらに、今は干渉するなとの警告かもしれない。


 あの、フィルドって野郎は只者でないのはもちろんだが、干渉も追及もやめろと警告してきたのだろうか。


 今は、とりあえず素知らぬふりをしなくてはいけなかった。


 なので、確認も兼ねてカイルのとこに向かうことにした。









 *・*・*(シェトラス視点)








 一瞬だけ、目の前が虹色に包まれたような気がしたが。


 消えたと同時に、それまで覚えていた『何か』を綺麗さっぱりと忘れてしまった。


 その『何か』は畏れ多いモノである事だけは覚えているのものの。


 何であったかを、完璧なまでに忘れてしまっていた。


 だが、これは逆に今は干渉するなと言う警告なのは察せられた。



(あの青年の仕業であるのならば、やはり……神)



 どの地位であらせられるかは、忘れさせられた今となっては分からないが。


 今は、必要以上に介入してはならないのだなと、理解は出来た。








 *・*・*(エスメラルダ視点)







 してやられた。


 このあたいに、一部とは言え記憶を消してしまうなどと言う大技をやらかしてくれたってことは。


 あの、フィルドって見た目は旦那様と変わらないくらいの青年でも、高位の精霊か神の類か。


 どちらにしても、あたいが苦労して得た知識の一部を消し去るなんて只者じゃない。



「エスメラルダさん、どうかしたんすか?」


「なんでもないよっ」



 適当に返事をしたつもりだったが、ドスを含んでしまったのか心配してくれたサイラをビビらせてしまった。


 今晩、こいつを含めてあたいの後輩達との祝いの宴会があるって言うのに。あたいも大人気ない。


 が、それだけあの男に関しては、警戒しなくちゃならなかった。



(こっちの眼の呪いを弾いてまで……やっぱ、神だろうねぇ)



 なんで若い姿で、チャロナ……もとい、姫様のところにいるかって言うと。


 何か訳ありかもしれないねぇ。


 あの方は、契約精霊がいる以外だと。かなりの腕前を持つ料理人ってだけだが。


 いや、そこか。



(【枯渇の悪食】で途絶えたはず、もしくはそれ以上の食に関する知識を持つ少女)



 何かしらの加護を与え、様子見しにくるのは普通だ。


 一度、属性は違うが加護持ちのラスティに確認しに行こうかねぇ。あれも、一度か二度は神と会ったと言ってたから。









 *・*・*(シュライゼン視点)








 なんでだ。


 なんでなんだぞ!


 俺は、今の今まで覚えていたし、カイルからもらった魔法鳥の手紙にも書いてあった。


 なのに、綺麗さっぱり『何の神であったか?』の事実を忘れてしまった。


 加えて、手紙も一部改竄されていたんだぞ!



「父上、今爺やが言った神の御名を覚えてるかい!?」



 一瞬、部屋の中が虹色に光った気がした直後。


 俺は父上にそう聞いたが、父上も爺やも強く首を横に振った。



「ダメだ。思い出せん」


「私もですな。つい今しがた口にしたはずなのですが……」


「これは警告か。おそらく、俺達以外……下手すると司祭達まで覚えていないのだろう」



 と言うことは、カイル達までも。


 接触してきたのは、あの神自身であらせられるのに。何かあったのか?


 考えても考えても、お会いしていない俺には分からないので、ひとまずここを離れる事にした。



(きっと、マンシェリーの異能(ギフト)に関わりがあるに違いないが……)



 ただ、様子見に来られただけ。


 それだけであって欲しかった。








 *・*・*(カイルキア視点)







 おかしい。


 シェトラスから伝え聞いた神の名が、虹のような光を見た途端に頭から抜け落ちてしまってた。



「ねぇ、カイル。カイルも思い出せない?」


「レクターもか」



 やはり、今の光は神ご自身のお力。


 俺達もだが、おそらく今日関わった人間だけでも最低あの方の名を封印もしくは、抜き取られたのだろう。


 シュライゼンに伝えた紙の方も、おそらく書き換えられてる可能性が高い。


 なら、覚えていられるのは本当に神々だけか。



「おい、カイル。レクター!」



 どうしようかと思った矢先に、壁をすり抜けてきたのはレイバルスの背に乗ったマックス。


 奴も、おそらく同じ状況なのかもしれないな。



「…………その様子、お前もか?」


「レイは黙秘してやがんだが、俺はさっぱり思い出せねぇ。もし、あのフィルドにそう言う意味で接触したら記憶そのものをもろに書き換えられんぞ」


「……レイバルス?」


『ダメでやんす』



 マックスが降りてから聞いても、人型になると両手で口元を隠した。


 精霊に改竄はされていなくとも、禁止事項としては付け加えられたと言うことか。


 この様子だと、いくら主人のマックスが言っても言えない。


 元パーティーメンバーの俺達が言っても無駄な事だろうな。



「では、言葉を変えよう。あの、フィルドと言う青年は姫に危害を加えない神か?」


『それは、精霊として言えやす。あのお方については、そのような御人じゃごぜぇやせん』


「……そうか」



 それならば、俺達もひと安心出来る。



「絶対、絶対でしょうねぇ?」


『絶対絶対絶対でやんす!』



 んじゃ、と何故かレイバルスはまた壁をすり抜けてどこかへ行ってしまった。








 *・*・*(ロティ視点)








 大変でふ。


 ロティは大丈夫でふが、ご主人様達が大変でふ。


 神様(かみちゃま)のお名前を、ちゃんとしたのを全部忘れちゃったんでふ。


 ご主人様はまだ知らにゃいんでふが、エイマーのお姉しゃん達がちょっと動かなくなったんでふ。



(神ちゃまの仕業でふ)



 ナビゲーターシステムとしてのロティは、直接はお会いしてなかった神ちゃま。


 パンを仕舞ってから、ちょっとだけ試食会になった時に虹色の光が、ちゅーぼーを包んだんでふ。



【今は慌てるな、*ΔΣΩの契約精霊。今は封じたのみ、時がくれば儂の名は蘇る】


【でっふ?】



 ご主人様達には、おそらく聞こえない声。


 だから、同じように返しぇば、くすくすと笑われたでふ。



【知られ過ぎでは、儂も妻も来にくい。そちら精霊だけは除外だが、黙秘しておくれ? 時々様子は見にくる故に、困った時はいつでも心の声を飛ばしてこい。そろそろ、次の段階に移るだろうて】


【あいでふ!】



 もう少しで、ご主人様のレベルも20。


 ロティのナビレベルではわからない次の段階(ステージ)


 その後のフォローのためにも、神ちゃまと心を交わせれば頼もしいでふ。


 なので、それ以降はお互いに話しかけまちぇんでふた。

明日も頑張りますぅう

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