二人の女神と人間不信
暇潰し程度の感覚で呼んでもらっても構いません。
「はろはろー!元気かな?元気だよね?元気じゃなくても元気だって言ってもらうよー!うぉーーー!元気だぁーーーー!!今の私は!輝いてるぅーーーー!!」
「は?」
状況が上手く理解出来ない。いや、理解を拒否しているのだろうか。目の前にいる銀髪の幼女が大声で叫びながら、ぴょんぴょんとジャンプしているという事実を。
(何がどうなってんだ?)
テンションの高い幼女を無視して、雪村 快斗は座り込むと頭を抱え込んだ。数分経ったはずなのに、未だハイテンションモードの幼女に快斗は声をかけようとした。
「ちょっと!何やってるのよ、ラミー!?」
だがそれは、周りに響き渡った声に遮られた。それと同時に、上から白ローブを着た金髪の女性が降りてきた。その女性に気付いた幼女は叫ぶのを止めるとニコニコと笑って駆け寄っていった。
「んー?何って、挨拶だよ?挨拶ってこういう事でしょ?」
「違うに決まってるでしょ!ほら、見なさい!彼、混乱してるじゃない!」
ラミーと呼ばれた幼女は、当たり前でしょ?と付け足して言うが、女性は快斗を指差しながら、幼女に説教をしている。
「あの………まず、詳しく説明してくれない?」
二人は快斗を見て硬直していたが、状況を理解をしたらしく、女性はペコリと頭を下げた。
「……待たせてしまい申し訳ありませんでした、私はエミリスといいます。そして、今もはしゃいでるのが、ラミリスです。」
「私はラミー、エミーはエミーって呼んでねー!」
テンションの高い幼女、ラミリスとは裏腹に、落ち着いてる女性、エミリスは困っていた快斗にとある事実を突きつけた。
「えーと、私とラミリスは………女神なんですよね」
「ふーん」
「驚かないんですね………」
「まぁ、現実は見るタイプだからな」
現実逃避は好きじゃない、と呟く快斗を見て、エミリスは苦笑いを浮かべていたが、話を進めようとコホンと咳き込んだ。
「雪村 快斗さん、貴方は死にました。死因は───」
「……事故死………に見せかけた殺人だろ?」
「ッ!その通りです……」
死んだという事実に驚かない所か、自分が殺されたとまで言い当てた事にエミリスは心のなかで戦慄した。
「んー?どうして分かったのー?」
「……まあ、色々とな」
嫌そうな顔をしている快斗に、ラミリスは、元気出せよーー!と笑いながらバシバシと肩を叩いた。
「それで?女神様は俺をどうするつもりだ?」
快斗の言葉にエミリスとアハハと笑っていたラミリスは真剣な顔になった。その事に快斗はある種の不安を感じた直後、エミリスは快斗に詰め寄った。
「雪村 快斗さん。どうか、異世界に行ってもらえませんか?」
エミリスの真剣な物言いに、快斗は胸元に手を当てた。数分の間深呼吸をして、覚悟したような顔つきで答えた。
「嫌です」