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魔物使いの少女  作者: つい
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イベント開始

念話や名称を『』で表すなど、細かいですが表現の変更をしました。過去に投稿したお話も順次変更していきます。


 

 イベント当日。



 今回のイベントは『始まりの町』集合とかないので、私は自室で過ごしていた。


 最後に自分のステータスやらスキルやらを確認する。



 よし、頑張るぞ!


 視界に映る時計が十二時を示し、イベント会場に向けての転送が始まった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 目を開けるとそこは真っ白な空間だった。周りにはアクルやタケシさんなどの今イベントのチームメンバーがいる。


 全員見た目が迷彩服などミリタリーな感じになっており、手や背に選択した銃を装備していた。



 私も自分の体を見下ろすと同じ装備をしており、腰に全長三十センチくらいのコンバットナイフを装備していた。師匠も足元にいて、その体には強引に私と同じナイフが巻きつけられていた。……動きにくそうだから外してあげよう。


 私が師匠の体から取り上げたナイフを腰に装備した時、アルクがこっちに近づきながら『念話』で話しかけてくる。


『ハナ調子はどう?』


 まあ悪くはないかな。といっても今は結構緊張してるけど。


「いったん全員集まってくれ」


 タケシさんがそう言って声を出したので私はアルクと一緒にタケシさんのもとへと歩いて行った。



「まもなくフィールドへの転送が始まるだろう、その前に軽く動きの確認だけしようとおもう」



 事前にどの様に動くかというのは一応聞いている。タケシさんはその最終確認がしたいのだろう。全く、タケシさんは心配性なんだから……その原因は私なんですけどね。てへ。




「……こんなところだな。あとは実際に転送が終わってから臨機応変に対応する」



 最後は便利ワード臨機応変ってことでタケシさんのブリーフィングは終わった。……なんか特殊部隊って感じがして楽しくなってきたな。おもわずサーイエッサーとか言いたくなったわ。



 私がそんなことを思っていると突然機械音声が聞こえ、間もなく転送をするということが伝えられた。



 いよいよ始まる……


 私は深呼吸して気を引き締める。


 私たちの体は光に包まれていった。


 ーーーーーーーーー


 目を開けて周りを見る。


 ……どうやら私は今室内にいるらしい。ただし、荒らされたように机や椅子がひっくり返っている


 窓ガラスも割れており、そこから廃ビル群が見える。さらに窓に近づいて外を見ると茜色の空が見えた。そして下の方には割れたアスファルトやぶっ壊れて横倒しになっている車など、まさに世紀末の廃都市ってかんじだ。


 私は視線を室内に戻す。


 部屋の広さはそこそこ広い。コンビニくらいの広さはある。


 そしてこの部屋には私以外だれもいない。


 とは言っても仲間はみんな近い場所に転送されると書いてあったので、おそらくこの建物内のどこかにはいるだろう。


 開幕はそれぞれのチームがある程度距離が離れるように転移先が決められているので、今すぐ合流しなきゃヤバい!というわけでもない。


 とりあえず部屋の探索から始めようかな。


 横倒しになっていない机の引き出しを開けると中からは銃の弾や手榴弾などが出てくる。


 私は銃の弾とか使わないけど他の仲間たちが使うはずだ。だからしっかりとっておこう。



 その後も探索を続け、最終的にはボロボロのバックパックが一つ。銃の弾がたくさん。手榴弾が二つ。銃のスコープが一つという収穫に終わった。



 さて、そろそろ仲間と合流しようかな……



 そう思って私は本来はドアがあったであろう部屋の出入り口から廊下に出ると、ダンさんとばったり会う。



「ハナ……無事だったか。アルクが連絡が取れないというから探していた」



 そういえば……



 今イベントでは『念話』が使えず、全て耳についている無線機で連絡を取るという話だった。チーム全員に連絡をすることもできるし、個別に連絡もできる。タケシさんがイベントが始まったら全員スイッチを入れろと言っていたけど普通に忘れてたわ。てへ。


「全員屋上に集合だそうだ。……言っている意味わかるか?」



 ……今か?想定とは違うけど今言うべきか?ああだめだ!ダンさんが全力のジェスチャー始めちゃった……ここで人間宣言したら「恥かかせやがって」と言われて絶対に間違いなく確実に殺される。



 とりあえずダンさんのジェスチャーを見ながら、なんとか分かったという風に頷き、後をついていく。


 所々穴の開いている階段を注意しながら登り、屋上に着くと既に他のメンバーは揃っていた。っておい師匠、何ちゃっかりアルクと一緒にいるんだ。


「ハナ……よかった」


 アルク?確かに私は弱いけど流石にイベント開始数分で死んだりはしないよ?


『ハナの姿が近くになかったからな。心配したぞ』


 師匠とは例外として『念話』で話すことができる。ただし私が無線機のスイッチを入れていないと連絡が取れない。


「よし、全員集まったな」


 とりあえず円になる。そこでここからの具体的な行動が話される。


 まとめると


 まずはアイテムを使って最寄りの敵の方角を調べる。


 それから二人一組になってこのビル内のアイテム探索。なおアルクは一人この屋上で敵の警戒をする。


 物資が集まる、もしくはアルクが敵の姿をとらえる等の状況になったら再び屋上に集合ということになった。


 各チームのリーダーにはコンパスが一つ配られている。


 このアイテムは一度だけ使うことができ、その効果は最も近くにいる敵の方角を教えてくれる。というものだ。


 タケシさんはそれを早速使用すると、コンパスは丁度西の方角を指した。


「特に警戒しておく」


 アルクがスコープ(さっき私が拾ったやつ)の付いた狙撃銃を構えながら言う。すごい安心感。


「よし、それじゃあチームを分けるぞ」


 そうタケシさんが言って



 タケシさんとメサリアさん。


 ダンさんと私&師匠。


 このようなチーム分けになった。



「それじゃあ全員気を付けて。何かあったらまずは報告してくれ」


 そう言って各自行動開始となった。



 メサリアさんとタケシさんが廊下を歩いていく。



「ハナ、こっちから見ていくぞ」


 ダンさんがタケシさんたちとは反対方向の廊下を指さしながら私に言う。




 決めた。



 私はこの探索中に、ダンさんに人間宣言する。



 ダンさんの後ろを歩きながら、私はそう決意した。怖いけど、やるしかないんだ。


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