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魔物使いの少女  作者: つい
79/129

決闘

 

 狼さんが処される前に何とかネルちゃんを説得して私たちは解放された。


「私と師匠さんはまた見回りに行ってきますが、絶対にこの城から出ないでくださいね?」

「イエスマム!!」


 敬礼して(ネルちゃん)を見送り、見えなくなったところで息を吐く。


「お前が強くなったのはあのドラゴンのおかげか」


 ヤバいばれた


 怒られると思って少し身構えるが、狼さんが声を荒げることはなかった。


「えっと……ごめんなさい」

「別に怒ってはねぇよ、むしろ安心した。つまりお前は一切強くなってないってことだろ?」


 そうだよ。そうなんだけど……面と向かってはっきり言われるとなんだか反抗したくなる。


「いやまあ? 私も全く強くなってないわけじゃあないけど?」

「ハッ! あんなに雑魚だったんだ。大した事ねぇに決まってる」

「どうかな? 結構強いかも?」

「んなわけねぇな、どうせ雑魚のままだろ?」

「ンダテメェヤッカ!?」

「ジョウトウダコラ!!」


 ヤンキーの様な言葉の売り買いで私たちはオモテに出る。


 といってもホントにオモテに出ると姉御(ネルちゃん)に何されるかわっかたもんじゃないので中庭に出る。


「ん? ハナなんかようか? ていうかそいつは誰だ?」


 ゴブリンさんに色々聞かれるけど質問には答えず。こっちが言いたいことだけ言う。


「手ぇだすな、コレは私の喧嘩だ」

「は?」


 よし伝わった。


 あとはゴブリンさんを無視して狼さん……敵と向き合う。


「ハナ、お前がどんだけ強くなったかなんて知らねぇ。でもな、こっちは毎日毎日生きるか死ぬかの戦いを生き抜いているんだよ! こんな城でぬくぬく過ごすお前と違ってな!」

「私だって戦争も含めて、色々な死地を生き抜いてきたから! 過酷さで言ったら負けないから!」


 ギリギリとお互いににらみ合い、刹那、同時に駆け出す。


 勝負は一瞬で決着した。





 そう、私の完敗である。





 狼さんのタックルを受けて倒れて、再び首をガブリとされる。


 うん、再放送かな?まるで成長していない……


 そもそも武器が違いすぎる。向こうは爪も牙もあるのにこっちは素手だ。私、人間が素手で狼と格闘して以下略。


 自室のベット上でリスポーンして、心の中で叫ぶ。


 ノーカウントだ!!!!!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 屈辱にまみれた気持ちで中庭に向かうと、丁度狼さんがネルちゃんに処刑されるところだった。……いやちょっと待って!?


「ネルちゃんストップ!!」

「ハナサン? ナンデトメルンデスカ?」


 ヤバい!ハイライトオフだ!


「違うのネルちゃん! 決闘は合意の上だから!」

「そうだ、ハナが雑魚すぎただけだ」


 おいこの狼こっちが庇ってやってるのに言いたい放題だな。


「まあ、合意の上ってのは本当ぽいぞ。オレもハナに手を出すなって言われたしな」


 そう言ってゴブリンさんが助け舟を出してくれる。


「しかし……」

「まあネルロよ、ハナもこう言っているし許してやったらどうだ?」


 最後に師匠がそう言ってネルちゃんは渋々といった感じで矛を収めた。


「ところでハナよ、この狼は前に私たちを倒した狼だろう? 仲間にでもするのか?」

「誰がこんな狼!!!」

「誰がこんなヤツの!!!」

「……そうか」


 こんな生意気な狼仲間にするはずがない!


「わざわざこんな弱い奴の配下になんてなりたくねぇよ!」


 お互いにフンッ!とそっぽを向いて、やがて狼さんが帰るといって歩いて行った。


「もう二度と来るな! バーカバーカ!」

「ウルセェ! 頼まれたって来ねぇよバーカ!」

「もう顔もみたくない! 早く帰れバーカバーカ!」

「は? なら見送りに来てんじゃねぇよバーカ!」



 小学校低学年レベルの語彙力で叫びながら狼さんを見送る。


「ふむ、なかなかハナと相性がいい気がするが?」

「「どこがっ!!!」」

「……息ぴったりだと思うが……」


 




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