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魔物使いの少女  作者: つい
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勇者絶コロマン

 

 アルクの意思確認を終わってまもなくすると魔王様から連絡が入った。


「ハナ! 調子はどうだ? 元気か?」

「調子良くない元気ない」

「そうかそうか元気か! よかったよかった!」


 話を聞いてください筋肉さん


「どうやら人類側に新しく援軍と勇者が誕生したと聞いてな、その勇者に対抗できる武器を送っておこうと思ってな」


 勇者に対抗できる武器?なにそれ欲しい。


「今から送るぞ……ぬんッッッッッ!!!」


 気合たっぷりな魔王様のお声が聞こえた数秒後、私の隣に何かが刺さる。


 それは良く見ると真っ黒な剣だった。月明かりを反射せず大変見にくい。ってそうじゃなくて、この魔王様城からここまで投げたの?


「なぁーに、大した距離ではないからな!」


 いろいろ言いたいことはあるけど多分都合よくミュートされるので言わないでおこう。


「それを使えば勇者を楽に倒すことができるだろう。では、検討を祈る!」


 魔王様との通話が終わって、さあ残されたこの剣


「この剣はハナさんが持っていてください」

「え……私よりデラークさんが持った方が……」

「いいから黙って持ってろ!」


 ハァイ!スイヤァセェン!


 黒い剣を持ち上げると普通に持ち上がり、特に振り回すのに不自由はし無さそうだった。


 アイテム名は<魔王の(つるぎ)>で、効果は職業勇者のプレイヤーを一撃で倒すことができる。ただし、それ以外のプレイヤーにダメージを与えることができないという。


 つまりは勇者絶コロ武器だコレ。


「ハナさんカッコいいです!」

「ふむ、わるくないな」


 マジ?今私イケメン?陽キャ?よっしゃテンアゲしてきた。


 私が調子に乗って剣を振り回していると、ボソッとこんな言葉が聞こえる。


「ひでぇ……」


 声の主はデラさん。あのデラさんが怒鳴らず、ボソッとそう言う。


 ええハイ、分かってますよ。でも仕方がないんだ!今まで剣を振り回した経験なんてないし、そもそも私は剣関係のスキルを一切持っていない。対するデラさんは魔王軍近接戦闘軍隊長。そんなお方の前で素人丸出しの剣舞を披露した私の勇気を誰か褒めて。


 そんなこんなで三時間、デラさんと仲良しこよしの猛特訓。地獄をみた。


 その甲斐あって、三時間経った頃には剣の基本的な使い方をマスターすることができた。


「チッ、やればできるじゃねえか」


 コレにはデラさんも思わずニッコリ!私はグッタリ!


「もうあまり時間が残されていませんので、早速作戦に移りたいのですが、よろしいでしょうか?」


 そう01さんが私に言ってくる


「作戦ってなに?」


 ぶっちゃけ疲れたので今すぐ横になって半日くらい寝たいのだが、今回のイベントではあまりに仕事をしていないのでここは踏ん張る。


「ハナさんが剣の訓練をしている間に話し合いをしまして、簡単に伝えますと……」


 作戦内容をまとめると


 先程同様、私たちは東城、デラさんたちは西城に攻め込み再び取り返す。


 その際勇者がもし西にいたなら即ネルちゃんに乗って西に移動、東ならそのまま戦いの中で勇者キルを狙う。


 そしてまた南城をサンドイッチする作戦だ


「アルクさんは北城から東西両城の援護をお願いします」

「任せて」


 アルクさんの弓の射程は一体どこまで届くのか……


「ハナよ、姫雪とジオはどうする? 一応2人とも回復はしたが……」

「うーん」


 できれば休んでいて欲しいけどきっとこの2人は食い下がる。……あ、そうだ。


「ジオさんと姫ちゃんにはアルクさんを守ってもらおう! ただし、無理はしないで逃げてって、特にジオさんには強く言っておいて!」

「了解した」


 そう言って師匠が北城の中に消えていく。


 師匠が戻ってくるのを待ってから私たちはネルちゃんに乗り、魔王軍の皆さんは東城に歩き始める。


 ネルちゃんの背中がすごく広く感じる


 ゴブリンさんも姫ちゃんも決して大柄ではない。けど2人いないだけでこれだけ変わるのか


 思えば初めは私と師匠とネルちゃんの3人で色々頑張っていた。そこにゴブリンさんや姫ちゃんはもちろん、01さんや魔王様、ジオさんなど


 とにかく色んな人と関わりができてとっても賑やかになってきた。


 そしてこれからもきっと多くの(魔物の)お友達が増えていくのだろう。え?ニンゲンのお友達?それはどうかなぁ……

 アルクさん経由で仲良くなる機会はあるかもしれないけどできれば遠慮したい。


 ってまずい、戦地に赴く前にこの思考はやばい。完全に死亡フラグだしそれに


「帰ったらみんなでパーティーをしましょう!」

「ふむ、それはいい提案だ。敵も大したことはない。早く終わらせてしまおう」


 なんということでしょう!匠の手によって死亡フラグがオリハルコン製の強固なものになりました!このフラグをクラッシュできる気がしない……


「大丈夫ですよハナさん」

「ふむ、問題ないぞハナ」


 そしてこういうのだ


「私はフラグクラッシャーですから!」

「私はフラグクラッシャーだからな」


 だから私は自称フラグクラッシャーが(ry









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