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魔物使いの少女  作者: つい
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01えもんの闇道具

 

 メニューを操作して師匠たちの絶対服従モードを解除する。


「ハナさん無事ですか!? 無事ですね!」

「うん、ごめん心配かけて……」

「ハナが無事ならなんでもいい、本当に心配したぞ」

「師匠もごめん……」


 師匠とネルちゃんに謝罪をして、今後の予定を考える。


「ハナさんを助けに行きたいのですが、アルクさんがいるとなると……」

「姫雪やジオも眠ったままだしな……魔王軍も多少北城に残ってはいるが、やはりネルロがいないのは火力が不安だ」

「あー、それなんだけど2人とも……アルクさん仲間にした」

「「???」」

「なんなら友達になった。親友マブダチズッ友Yo!」

「……ついにゴーレムをイマジナリーフレンドに……ハナも末期だな」

「ハナさんには私たちがいますよ!」


 うーん、この信用の無さよ。


 まあ、たしかに。このまま死のうの勘違い恥ずか死野郎状態の時はアルクさんと仲良くなれるなんて思ってもなかった。


 しかし、会話をするという最難関の関門を突破出来たのだ。コレはもう親友旧友ソウルメイトFoo!と言っても過言じゃないね。


「まあとりあえず01にハナの無事を伝えておくぞ」


 そう言ってしばらくすると師匠がまた念話に戻ってくる。


「まず現状を説明しよう」


 それは助かる。正直色々起こりすぎて現状の自軍の様子が全くわからないからね。


 師匠の話をまとめるとこうだ。


 ジオさん完全体の暴走を見て魔王軍は一時前線から撤退し、軍を立て直すために結局そのまま東西の城まで撤退したようだ。

 東に01さん。西にデラークさんがいる。


 師匠たちは私の命令で現在北城


 私は現在南城近くの森でアルク(イマジナリーフレンドでは無い)と一緒。


 そしてこの話をそっくりそのままアルクに伝える。


「とりあえず私たちは01さんの方に合流しようか? それとも援軍をここで待つ?」


 私がそう聞くと


「一旦引いたほうがいい、()()()()()()()()()()

「え? なんで?」

「多分もうすぐ()()

 メニュー画面に表示されるデジタル時計が15:00になった瞬間


 高らかなラッパの音が響きわたる。何が始まるんです?


 南城の上空から、太い光の柱が降ってくる。何が始まるんです?


「アレは人類側の()()


 援軍?……援軍!?


「ちょ……! 聞いてない!」


「ちゃんとイベント概要に書いてあった……ハナのに書いてあったかは知らないけど」


 結構読みこんだけど書いてなかったよ!?


「アレは城ギルドやギルドに所属していないけど、この戦いに参加したいっていう人たち」


 この勝負、行方が怪しくなってきたな……後は南城を物量で押す作戦だったんだけど……


「ちなみに援軍だけじゃなくて、一般職プレイヤーの中から1人、ランダムに勇者が選ばれる」


 コレはもうダメかも知れん。


「ここは危ない、北城まで退避」

「私素早さのステータス低いんだけど……」

「……がんばって」


 師匠に援軍について連絡をして、地獄のフルマラソンが始まった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「つ……着いた」


 すっかり夜になったころ、ようやく私とアルクは北城に到達した。東城で01さん特性パワードスーツを拾わなかったら今頃プレイヤー軍に追いつかれて殺されていただろう。


「ハナさん!と……まさか本当に」

「本当だって言ったじゃん!」

「どうしたのハナ? 急にドラゴンみたいな叫び声出して?」


 しまった、普段人前で使わないから油断した。言語翻訳はちょっと注意しないと変な人に思われてしまう。


「ハナ、本当に無事で何より、そしてその隣が……」

「ちょっと師匠! 念話に切り替えて!」

「む? 何故だ。念話を使うような距離では……」

「いいから!」

「ふむ……了解した」


 兎語って周りからしたらどう聞こえるのか気になるところだけど、「ウサウサ」とかだったら軽く死ねるので念のためだ。


 01さん、デラークさんにも挨拶をして、とりあえず北城に主要メンバーが集合する。


「で! アルクが私たち側に寝返った理由を教えて欲しいんだけど?」

「簡単に言うと……そっちの方が面白そうだから」


 分かる。その気持ち超絶分かる。って共感してる場合じゃなくて。


 私の役割は通訳だ。アルクは言語翻訳を持っていないので師匠やデラークさんに伝わらない。ネルちゃんも理解できるだけで話す事はできない。


 人化すれば解決するんだけど師匠曰く、まだアルクは完全に信用できるわけでは無いからなるべく手の内を隠すとのことだ。なんかよくわかんないけど。


「何というかハナよ、人間というのは面白そうで仲間を裏切るものなのか?」

「うーん、割と?」

「そういうものか」


 なんか師匠は納得してくれたっぽい?ネルちゃんは……


「ハナさんの初めての! 人間の! お友達! こういう時お赤飯を食べるんですよね! あの赤色は任せてください!」


 私にお友達ができたことに大喜び。赤飯って何か知ってる?

 爪をブンブン牙をガチガチ、何で色付けするつもりをなんだろうか。


 そこに聞こえるデラさんの怒鳴り声。


「そんな理由、信用できるできるか!!」


 デラさんは私のことすら受け入れてないからなぁ。説得は困難を極める。


「ではコレで判断しましょう」


 そう言って01えもんが道具を取り出す。


「なにこれ」

「簡単に言うと嘘発見機です。この機械に手を置いて嘘をつくと死にます」


 さすが闇の01えもん。唐突にガチでえげつない道具出してきやがる……。


「ではアルクさん、手を置いてもらって……はい。では質問します。あなたはこの戦争が終わるまで、私たちを決して裏切りませんか?」


 01さんは外見が人だし、話す言語も言語翻訳的な機械を使っている。多分私の翻訳がなくても大丈夫だろう。


 そしてアルクははっきりと言う。


「絶対に裏切らない」


 沈黙のまま5秒たち、10秒たち、15秒たち、……そして30秒たったところで01さんが声を発する。


「もう大丈夫です。本当に裏切りの意思は無いようですね」


 アルクは顔色を一切変えなかった。変わりに私は安堵から長く深く息を吐く。


 よかった。本当によかった。だってこれでアルクが死んだら私騙されてたってことでしょ?そんなのショックが大きすぎて死ぬわ。確実に友達と言う存在にトラウマを抱えるところだったわ。


「チッ!!」


 デラさんが盛大に舌打ちをする。


 これ使って証明出来れば私のことも受け入れられる?と思ったけど、嘘発見機って心拍数とかで判断するらしい。私の心拍数は他人に注目されるだけで無限に上がっていく。何かまかり間違ってしまうことがないとも限らないのでやめておこう。うん。


 何はともあれ、これでアルクはみんなに信用された。正式に仲間になったわけだ。今頃は東西の城が取り返されてしまっているだろうけど、敵の最大懸念要素をこっちに取り込むことができたのだ。こちらの戦力アップはもちろん。ネルちゃんも自由に動けるようになるし。


 ただ一つ不安なのは、アルクの言う勇者と言う存在だ。


 昔から魔王を倒すのは勇者の仕事だってばっちゃが言ってた。


 イベント残り時間は後1日ちょい。時間もあまり残されていなかった。






受験や引っ越し関係が落ち着いてきたので投稿ペースを上げていきたいと思います

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