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魔物使いの少女  作者: つい
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私は人間です

 

 やあ


 色々ありましたが私は元気です。


 いやまあ、たしかに一回死んだんだけどね?こういう時のために準備していたことをすっかり忘れていたよ。


 北城でメサさん達とバトル前に、私は現在装備している黒いワンピース<死神のドレス>にMPを注ぎ込んだ。


 この装備には二つの効果があって、一つは地中から骨集団を呼び出すこと。


 そしてもう一つはゲーム内時間で1日に一回、死んでも体力満タンで復活できる。


 例えば私のHPが10だとしたら、この装備に10MPを注ぎ込んでおけばHP10で復活できるのだ。注意点は、注ぎ込むなら満タンまでやらなきゃいけないってことだ。8注ぎ込んだらHP8で復活できるとかはない。


 持続ダメージならあんまり意味ないけど一撃必殺みたいなのには強いね。まあ、私ステの場合低すぎて通常攻撃が一撃必殺みたいなもんだから……

 言ってて悲しくなってきた。


 まあそんなわけで




 このまま死のう。らしくないなと思いながら、私は抵抗せずに落ちていった。

 ⬆︎

 は?数秒前の私何言ってんの?


 うわー恥ずかしい!恥ずかしすぎる!恥ずか死するわこんなの!


 何が!「このまま死のう」だ!元気だよ!ピンピンだよ!


 よし落ち着こう。戦場では落ち着きを欠いた者から死んでいくのだ。まずは冷静に、現状の把握だ。


 現在私の居場所は南城からそう離れていない森の中。


 状態は木の枝に引っかかって逆さま宙ぶらりんで、動けない。



 このまま死のう



 いやだって、アルクさん目がいいから絶対私がこの森に落ちたの見えてるし。このまま進軍してきた南城ギルドの人に見つかって、写メられて〇イッターにあげられて、#マヌケとかつけられて、全世界の人に笑われるんでしょ!?


 そんな生き恥晒すくらいならこのまま死のうだよ!あっ、クソ!なかなかしっかり引っかかってやがる!


 私がブンブン体を振って、生き恥全世界発信ルート脱却に足掻いているその時だった。


「……何してるの?」



 突然投げ掛かられた声に驚いて、ピタリと動きを止める。


 恐る恐る声のした方に目を向けると、そこアルクさんがいた。


 あ、オワタ。


 アルクさんは近づいてくる。


 うんうん、近い方がマヌケな私の顔がよく撮れるもんね。


 近くの木を素早く登ると慎重に、さらに私に近づく。


 ちょっと!?そんなに近づいたら顔大きくうつちゃうでしょ!?ちゃんとス〇ー使ってよ!?


 カメラの代わりにアルクさんはナイフを取り出す。


 お?写メらない?刺すなら心臓にしてね。女の子なんだから顔はやめて!……なんつって


 アルクさんは私の心臓も顔も刺す事はなく、ナイフを上、つまり私の足の方へと持っていき。


 あっ


 引っかかっていた色々を切ったのだろうか、私は頭から地面に落ちた。


 危なかった、もう少しで死ぬところだった。


 ミリ残りのHPを見ながら、とりあえず生きてたことに安心。って、忘れてた。アルクさんいるんだった。オワタ。


 ……あれ?攻撃してこない?というかこれってもしかしてもしかしなくても助けてくれた?


 ヌコのようにシュタッと着地するアルクさん。そして無様に頭から落ちた私に近づいてきて


「あ……えっと……」


 口をパクパク


 お?もしや?


「だ……だいじょうぶ?」


 視線、声の震え、身振り手振り、呼吸その他諸々、間違いない!これは私と同じ匂いが!せいむすめるがプンップンッするぜっ!


 いやでもこうして私に話しかけている時点で私よりはコミュ力あるな。つまり陽キャ。怖い。


 私が応答できずにブルブル震えていると


「あ、ご……ごめん」


 うん?何がだい?


「でも私魔物の言葉は話せないから……」

「おいどういう事だ」

「っ!!?」


「何?アルクさんの中で私はどういうイメージなの?」

「しゃ、喋った……」


 あっ


 待ってこれもしかして人間とお話しするの初めて?第一声ミスったわ。ってそうじゃない。どうした私?急にコミュ力成長期?革命起きちゃったよ。


「人間の言葉、話せるの?」


 あれ私すごい馬鹿にされてる?


「私たちの間では、ハナは魔物と話しすぎて人間の言葉を忘れt」

「コミュ障なだけ!」

「……」

「……」


 流れる沈黙



「ハナが想像とだいぶ違う」

「知るか!」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「本当にいいの?」

「いい」


 どうやらアルクさんがダンさんの情報をくれるらしい。


「ダンは......」


 アルクさんの話をまとめると


 ダンさんの圧倒的防御力と攻撃力にはHPが関係しているらしい。


 HPが満タンの時は化け物クラス


 HPが5割以上満タン未満だと小破状態になって、多少攻防ともに下がるけどまだまだ化け物クラス


 HPが2割以上5割未満の時は中破状態になって、攻防ともにさらに下がるけどまだまだ一般ピーポーよりは遥かに強い。


 2割未満になるとようやく職業によるボーナスが消失する。なおダンさんはボーナスが消えても攻防ともにゲーム内最高クラス。


 結論、つよい


 ただしデメリットも強くて、素早さのステが最低値固定&常時×0.5されている。


 まあ、今回はお城を守ってれば負ける事はないからね。デメリットなしみたいなもんだよ。



「あの巨人、ハナが使役してるの?」

「いや、してないけど」

「そう……強かった。ダンのHPが赤くなるの初めてみた」


 マジか、ジオさんもうちょっとで勝てたのか。


「あの、戦車?が放った毒も防御無視の固定ダメージで、ダンのHP満タンブースト外されたし」


 よかった!戦車も役に立ってた!ってそうじゃない。いやよかったんだけどそうじゃなくて。


「アルクさんは」

「アルクでいい」

「……アルクの目的は何?私を助けたり、ダンさんの情報くれたり、なんで?」


 結構長い沈黙、そしてアルクが口を開く。


「……私を、ハナのチームに加えてほしい!」


 …………拝啓、魔王様、よくわからないけど強力な助っ人を手に入れました。かしこ







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