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魔物使いの少女  作者: つい
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城内戦

 

 おかしい


 敵発見から五分、未だにゾウゴーレムが撃破されたと思念は届いていない。そのかわり、交戦中が継続されている。


 もしかして、ゴーレム部隊って強い?


 いやいや、困るんだけど?じゃあ私の準備した面白防衛作戦や秘密兵器の出番は?


 何より私は、「アレ? もしかして僕、何かやっちゃいました?」系主人公ではない。


「面白なのか……」


 とある面白防衛作戦の関係で、耳からカギをぶら下げている師匠が言う。


 まあ敵の撃退より時間稼ぎしか考えてないからね。


「多分火力が足りてねぇんだろうな」

「え? ゾウゴーレムってそんなカタイの?」

「破壊は結構苦労すると思います」


 ゴブリンさんと姫ちゃんにも言われる。


「ハナさんは自身の火力が低いのでその辺の感覚が麻痺していますね」

「01さん、ナチュラルに会話に入ってこないでくれる?」

「すいません」


 01さんの後ろで某どこでもなドアが崩れる。


「ハナさんお久しぶりです」

「えーっと、ジオさん……だっけ?」

「はい」


 大丈夫、覚えてた。


「思ったより到着に時間がかかりそうなのでとりあえず私とジオさんだけで来ました」

「そうなんだ。よかった! なら余裕で持ちこたえられるね」


 その時。


 まるで二人の到着を待っていたかのように


「あ、ゾウ死んだ」

「ふむ、かなり大人数の援軍が到着したようだ。……いや、こっちが主力か?」


 よくわかんないけど敵が強くなって私の時間稼ぎ兵器の出番が来たってわけね素晴らしい。


「よし師匠、 早速よろしく! 危なくなったらカギ捨てて逃げてね」

「本当にこの作戦大丈夫か?」


 不安げな声を残して師匠は城の外へと出て行った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……すまない。助かった」

「ハッハッハ! なんのこれくらい! さあここからが本番ですよ!」

「アンタねぇ! 敵陣なんだからもっと静かにしなさいよ!」


 全身真っ黒装備に身を包んだゴンベイと露出の多い魔法服を着ているメサリア。


 ハナの城を潰す()()()()()


 やっぱりダメだったか。


 タケシは二人に気づかれないように落胆する。


 タケシのギルドはゲーム内で最大規模を誇る。



 しかし、今回のイベントではタケシのギルドは主力ではない。



 そもそもギルドメンバーの中でイベントで活躍できるほど戦える高レベルプレイヤーはかなり限られてくるし、一般職の高レベルプレイヤーよりレア職の中堅プレイヤーの方が強い。


 そんなわけでタケシのギルドは他ギルドよりも圧倒的な規模の差がありながら作戦は全て援護、補助役、脇役。


 そんな現状を変えるためにタケシたちは先に戦果をあげたかったのだが。


「結局、無理だったか」


 むしろ助けられる始末。


「ゴンベイ! 掃討終わったぞ!」


 ゴンベイのギルドメンバーが集まってくる。


 手には大きな戦鎚や斧や大剣や、とにかくパワフルな集団だ。


「核がねぇけど全部ぶっ壊せばおんなじことだ」


 メサリアの魔法集団による土魔法で動きを封じ、そこに漢たちが巨大な武器をひたすら叩きつける。


 タケシの近くにはボッコボコになった鋼鉄ゾウゴーレムが横たわっていた。


「さっさと城壁内に入って制圧しちゃいましょう。急がないと魔王軍が到着しちゃうわ」

「そうだな。じゃあ行くか」


 城壁内に入って一本道を三分ほど歩くとすぐに城の入り口へとたどり着く。


「……待て」


 何かいる。


「アレは、ハナのウサギね」

「なにやらカギをぶら下げていますな」

「倒す?」


 そういってアイアが杖を傾けると


「逃げたわ!」

「追いかけたほうがよろしいか?」

「いや、……アレはなんのカギだ?」


 もし今後使うなら追いかけるべきだが、無駄なら追いかける意味はない。……考えてわかるもんじゃないな


「俺たちで追いかける! ゴンベイとメサリアはそのまま場内へ行ってくれ!」


 そういって二手に別れた途端、分断するように今までどこにいたのかと言いたくなるような数のゴーレムがなだれ込んでくる。


「クソ! 囲まれる前に抜けるぞ!」


 ゴーレムをメサリアたちに押し付けることになるが仕方がない。俺たちは少人数の機動力を生かしてウサギを追いかけて行った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやーうまくいったぽいね『ウサギ美味しかの山作戦』」

「ハナさん、それだと師匠さん食べられてますよ?」

「そこじゃねぇ……ツッコミどころはそこじゃねぇだろ!?」


 うん、気にしない。


「もうちょっと半々くらいに別れて欲しかったんだけど」

「成功しただけでも奇跡だぞ。このガバガバ作戦」


 よし、次は城内に侵入した面々だね。っていうかあの黒装備さんどっかで見たことあるような……まあいいか。


「さぁ! 私が久し振りに働くよ!」

「ハナさん! 全力でサポートします!」

「うんうん、ネルちゃんは休んでてね」


 護衛として軍曹たちとゴブリンさん&アルちゃん。


 索敵としてアビちゃん&アブくん。


「ハナ様、お気をつけて」

「うん、姫ちゃんもネルちゃんお願いね」


 私は玉座部屋から出て索敵部隊を走らせる。


 私も戦えるってことを証明してあげよう!


 私はしっかりと斧とワンピースが装備できていることを確認して索敵部隊の情報を待った。



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