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魔物使いの少女  作者: つい
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さよならゴブリンさん

 

 ネルちゃんが無事に北城へ到着


 後はゴブリンさん率いるゴブリン部隊に任せよう


 ゴブリン部隊にお土産の串焼きをあげて私たちは城内へ戻る


「師匠ただいまー、これお土産」

「おお、ニンジン! 久しぶりだな」


 そう言えば最近はあげてなかったかも。まあ自由に買い物ができない現状じゃ仕方ないけど。


 ん?自国でニンジンを育てればいいのでは?というか食材とか全部自国でまかなえばいいのでは?......なんで今まで気づかなかったのだろうか。


 野菜の栽培方法とか、家畜の育て方とか、幸い知ってそうなゴブリンがいるし。



 そうと決まればこうしちゃいられねぇ。




「ゴブリンさん! 回せ! 地産地消の善良サイクル!」

「は?」


 えー、ゴブリンさん察してよ......しょうがない説明しようか


「......言いたいことは分かった。やっておく」

「じゃあお城の中庭によろしく!」


 The人任せ!楽していきたい。なにも苦労したくない。......ごめん嘘。ゴブリン様ありがとうございます。



 さて、これで食糧問題は解決した。次は軍事力だな。


 私のつくったゴーレムを一回全て集合させる。


 タスマニアデビルにオカピにミーアキャットその他諸々......すっごい動物園。


 それぞれの隊長格に兵士を与え城の各所に配置。隊長格はこれから鉄で造ったり、既存のゴーレムを補強しよう。私の護衛はどうしよう。アシダカ軍曹と......パラポネラ?いや、やっぱり蜘蛛系でオオジョロウグモにしようかな。


 数匹のゴーレムと城に運ばれた鉄を持って自室にこもる。





「できた......」


 オオジョロウグモとオオハシリグモそれから若干鉄の含有量が増したステゴサウルス隊長と新たに鉄が埋め込まれた隊長格の皆様。


 私の護衛は三大蜘蛛で、お城の護衛はその他の皆様でやってもらう。やっべ楽しい。


 なんかいいわ。こういう迫り来る敵を撃退する感じスッゲェ楽しいわ。


 ウッキウッキで私がゴーレムの配置を決めている時、ゴブリンさんから連絡が入る。


「ハナ、戦車の改良が終わった。ちょっと来てくれないか?」


 ほう、私を呼ぶってことは戦車がセンチュリオンもしくはマウスレベルまで成長したってことでいいのかな?期待しちゃうよ。


 私が移動すると仲良し蜘蛛3匹が両肩、頭の上と登ってくる。うふふ、......どう見ても捕食されてる最中なんですがそれは......


 蜘蛛の多脚が首に当たり、背中がゾゾゾッとなるのを感じながらゴブリンさんの元へ向かう。


「おう、来たか。ハナ」


 ふむ、安定の目隠しがついてるけど、大きさ的にはマウスじゃない。


「ああ、そうだ。戦車の前に、畑と家畜小屋だ」


 さすがゴブリンさん!仕事が、早い!丁寧!......早い!の三拍子!


「じゃあいくぞ......」


 ゴブリンさんがシートを取り払うとそこには......




 10式......え?




「す、すごいよゴブリンさん! まさかあの産廃からここまで発展させるなんて......」

「まあな」

「乗ろう! 早速乗ろう」

「待てハナ、忘れてるぞ」


 そう言ってゴブリンさんが渡してきたのは




 ガスマスク




 なんで?




 まあいいか




 車内に入って唖然とする。




「ねえゴブリンさん、どう見ても外観と中身が合ってないんだけど?」

「ああ、今回の改善点は揺れと毒ガスを直したんだ。そこまで中はいじってない」

「え、だって......だって見た目......え」

「ああ、実は01から面白いものを借りてな」


 ゴブリンさんが10式の皮を被った産廃に手を伸ばし、スイッチを押す。すると見慣れた産廃に早変わり。



 あっアレか。



 01さんは自分に機械を取り付けて姿形を偽ってるという話だ。きっとその装置で私に10式を見せていたのだろう。よし蜘蛛ブラザーズ、Go!!


「これを使えばおいちょっと待て待って下さいお願いします」

「ごめん、私イヌクティトゥット語しか分からないんだ」


 さあ苦しめ!全身を蜘蛛に這い回られるゾワゾワ感!


「ったく、何だよその言語......」

「なっ......」


 バカなっ!!まるで効いていないだと!?



 そ、そうか!ゴブリンさんはアルちゃん(ヒヨケムシ)と仲睦(なかむつ)まじい、(ねんご)ろな関係というガチでヤバい人だった!全身を這い回るなんてキャッキャウフフな日常茶飯事(にちじょうさはんじ)だった!


「負けたよゴブリンさん......アンタの勝ちだ」

「今日のお前どうした?」


 敗者が言葉を重ねるとより見苦しい。私は黙ってクールに去るぜぇ。


 蜘蛛ーズが定位置に着く。私ももう慣れたからゾワゾワはあまりしない。それにしても......


 振り返り、ゴブリンさんを見つめる



「キミは......もう」


 照りつける日差し(幻覚)に目を細めると、彼の姿は(おぼろ)げになり、伸ばした手は空を掴む。


 万物は流転する


 さよなら。ゴブリンさん。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 もう第何回かも分からない、次回イべ攻略会議。今回ハナの席に座るのは城主ギルドの次に強いと言われている


 ギルド“アニキの集い”のギルドマスター、ゴンベイという漢だ


「いやはやまさか! このような席にお呼びいただけるとは光栄です!いつもメサリアがお世話になっております!」


 とにかく元気でゲームとは無縁の体育会系(偏見)。メサリアとはリアルで知り合いらしい。


 メサリアはこの男が来てからずっと不機嫌だ。


 ギルドの特徴はみんな戦士型というところだろうか。ゴンベイ自身、元々は別のギルドに所属する、ただのギルドメンバーだったようだがそこから城ギルド争奪戦後に独立し、この短期間で同士を集めてここまで上り詰めた実力者だ。


「タケシ、早く会議を終わらせてお開きにしましょう」

「あ、ああ」


 よっぽどこの男が嫌いらしい


「えーじゃあまずイベントについて再確認するぞ。敵は北から現れ、城の玉座を破壊されるとその時点でその城がある大陸にいるプレイヤー全てが強制排除される。そして4つの城......ハナが裏切ったから3つだな。城を落とされると人類側の負け。逆に敵を倒し、魔王城まで追い返すと人類の勝利だ」


 ここまではすでに公開されていた情報だ。


「そしてここからは新情報なのだが、人類が勝利した場合、魔王城の宝物庫からアイテムが貰えるようだ。逆に人類側が敗北した場合のデメリットは特にないが、まあ城の修理費とか結構かかると思うから負けないようにした方がいいな」


「魔王城の宝物庫か......例を見る限りなかなかに強力だな」


 ダンが運営のメッセージを読みながら呟く。


「さて、ここで勝利後のことを考えても仕方がない。とある馬鹿問題児のせいで今回のイベントはかなり厳しいからな」


 メサリアがあからさまに嫌そうな顔をする。


 魔王軍は城を落とすとそこを拠点とするのだ。当然、そこを取り返さないと人類の勝利はあり得ないが城なんて守る側が有利にできているのだからそうそう取り返せるものではない。さらにハナの城は北なので魔王軍は一切の犠牲を払わずに拠点を取れてしまうのだ。


「俺たちは勝つにはやはり魔王軍に取られる前に北城を奪うしかない。イベ開始後直ぐに北城に進軍してハナから奪い取る。魔王軍はあくまでも北にあるらしい魔王城からやってくる。どこにあるかはわからないが、いくらなんでも歩いて5分なんてところにはないはずだ。つまり魔王軍が到着するまでハナは一人で北城を守らなければいけない。そこを叩く」

「なるほど、先に攻めてやろうというわけですな」


 何度も言うが北城を無傷で抑えられると本当に勝ち目がない。最悪ここで北城を抑えられなくてもハナへダメージを与えられるし、城を多少破壊できれば敵の有利が消える


「ハナは何してくるか分からないわ。なにせ全く情報がないんですもの」


 そうハナは一切全く情報がない。多くの人はハナが強いのは100%ドラゴンのおかげだと言うやつもいるが俺は違うとみている。もちろんドラゴンがいなければここまで脅威に感じることはないが、ドラゴンを使役していると言うことはドラゴンを服従させるだけの何かがあると言うことだ。


 タケシは改めて今回のイベント難易度の高さを確認し、頭を抱えた。



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