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魔物使いの少女  作者: つい
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精神崩壊

 

 それはゴブリンさんが引きこもってから丸一週間のことだった。


 私はいつものように自室でゴーレム製作に熱中していた。


 うわーい、ねんどあそびたのちい。


 すると突然。


『ハナ、俺はもう大丈夫だ。色々すまなかった』

『え!? ゴブリンさん!?』


 音信不通のゴブリンさんから突如念話が入ったのだ。さすがの私も粘土遊び……ゴーレム製作の手が止まる。


『今からゴブリンさんの部屋行くね!』


 作りかけのステゴサウルスをそのままに、私は部屋を飛び出してゴブリンさんの部屋に向かう。




 開かずの扉となっていたゴブリンさんの自室が開かれる。



「ようハナ、久しぶりだな」

「ゴブリンさん!」




 感動の再会。



 と思いきや




「バ、バカ! これは違う! そういうのじゃない! 俺の主人だ! お前の製作者だぞ!」

「ワシャワシャ」

「はぁ!? お前! こんなところでそんなこと言えるわけないだろ!」

「ワシャワシャ」

「ちがっ……! そういう意味じゃねぇ!」

「ワシャワシャ」

「チッ! ああもう分かった! 分かった!……たく、一度しか言わないからな…………()()()()






 いやぁぁぁぁぁ!!ゴブリンさんが!ゴブリンさんがぁぁぁ!!



「誰か! 誰かお客様の中にお医者様は! お医者様はいらっしゃいませんか!」

「あ? 急にどうしたハナ?」

「どれ、私に任せなさい」

「師匠!!」

「…………万策尽きたか」

「じゃあ……ゴブリンさんは……もう……」

「おいお前ら、さっきから何やってる」


 もうおしまいだゴブリンさんもは変わってしまった。


「話は聞かせていただきました」

「ネルちゃん!」

「申し訳ありませんハナさん。ここまで追い込むつもりはなかったのですが……」

「おいお前ら! さっきから俺がおかしいみたいなこと言ってやがるが、俺は普通だ! どこもおかしくない!」

「……」

「……」

「……」

「……え? 俺おかしくない……よな? 誰か! 誰か何か言ってくれ!」

「「「おかしい」」」

「クッ……!」

「ハナ様01さんを連れてきました」

「ナイス姫ちゃん!」

「あー、これはもう復活は不可能ですね。万策尽きました」

「おい! もっとよく診察してくれ!」

「まあ、普段の生活には何も支障はないので大丈夫です。むしろゴブリンさんにとっては恋人ができたようなものですから。むしろプラスと言えるかもしれませんね」

「じゃあ放置の方向で」

「ふむ、とりあえず一安心だな」

「よかったです」

「おい! 勝手に終わらせるな! せめて俺の何がおかしいのか教えてくれ! いや、ください!」


 各々解散で各自の部屋に戻る。


 さぁーて!ステゴサウルスの続きやろっと。




 まあ、アルちゃんとそういう関係になってしまうというビックリなハプニングもあったが、一応ゴブリンさんは復活ってことで。よかったよかった。うん。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ハナさん、私は一度魔王城に戻るのですが何か魔王城にご用心はありますか?」

「……あ、一応復興終了の報告に行こうかな。でもなんで?」

「使い切りですが転移門を使うので」

「なにそれ?」

「ここから魔王城まで転移できるのです」


 そう言いながら01さんは白衣のポケットからピンク色のどこでもいけそうなドアを出す。


「おお、危ないやつだこれ!」

「いえ、特に危険はないですよ」


 別の意味で危ない。


 帰り用にネルちゃんを、魔王対策に姫ちゃんを連れて、この一週間で造りまくったゴーレムたちに城の警護を命じる。


 警護隊長はステゴサウルス君。


 副隊長はコモドドラゴン君。


 そして私たちの護衛にはアシダカ軍曹を連れて行こう。


「では行きますよ」



 目を開けるとそこは、01さんの実験室だった。


「おお、すごい!」

「ですがまだ使い捨てなんですよ。製作コストも非常に高いですし」


 そういうと扉にヒビが入り、崩れる。


 まあ、01さんのことだから完成するのは時間の問題だろうね。


 私たちは01さんの実験室を足早に離れて、魔王様に会いに行く。


「おお、ハナ。久しぶりだな。おお、復興は無事に終わったか! よかった! よかった!」


 はい安定の心読み。


「連れているのはゴーレムだな? 随分と楽しんでおるな」

「魔王様、そろそろ材料がなくなるから粘土の材料になりそうなもの頂戴」

「遠慮がなくなったな……まあいいが」


 やったぜ。


 さて、材料も貰って魔王に挨拶も済んで、あとは帰るだけなんだけど……


「ねえ二人とも、ちょっと魔王城の城下町みていかない? 私しっかりみたことなくて」

「はい! もちろんいいですよ」

「案内は私に任せてください!」


 自信満々に姫ちゃんが言う。頼れる。


「おい、人間がいるぞ」

「馬鹿ヤロウ! お前それだけ目があって赤竜王の娘が見えねぇのか! 手を出してみろ、殺されるぞ」


 ネルちゃんがいるからめんどくさいやつらに絡まれることもない。頼れる。



 あれ?もしかして私の仲間は女性陣の方が優秀?優秀だな。


 かわいそうだから留守番組にお土産を買っていこう。

 ん?お金って人間のでいいのかな?


「ハナ様任せてください」


 そう言って姫ちゃんが店に行き、たくさんの串焼きと野菜を抱えて戻ってくる。


「お金の請求は魔王城にってことで」


 顔が効く姫ちゃんさんマジカッケー。





 そんな感じで適度に買い食いをしながら門へと到着。


「ったく、こんなに大量の鉄なにに使うんだ?」


 そう門番さんに言われる。


 魔王様が門のところに粘土の材料を送ってくれるとは言ったけど……まさか鉄をくれるとは。


 ゴーレムは材料によって強度が変わる。


 私の製作したゴーレムは大体が土で、隊長格が瓦礫。

 そしてお気に入りが鉄で造られている。


 ちなみにお気に入りはアルちゃんアビちゃんアブ君、それからこのアシダカ軍曹。ちなみにステゴサウルスも一部鉄だったりする。


 鉄の入手経路はゴブリンさん率いるゴブリンチームが手に入れたものだ。ゴブリンたちは日々ゴブリンさんのつくった訓練メニューをこなし、ルールを守って城下町で暮らしている。

 契約自体はしていないけど私の言うことも聞いてくれるいい子たちだ。


「ネルちゃんこの鉄持って飛べる?」

「飛べますが……多分半分くらい落としそうですね」


 うーん、私のストレージに入れようにもこういう素材系のアイテムは運搬に筋力値が関係してるから鉄なんてほとんど入らないし。……あ、そうだ





「では行きますよ」


 そう言って飛び立つはほぼ全身鉄の鎧を着込んだネルちゃん


 私の粘土化スプレーで鉄を粘土化してそれを巻きつけて固めた。


 ネルちゃん的にはめちゃくちゃ動きにくいだろうから飛べるか不安だったけどなんとかなったみたいで良かった。


 ただし、ネルちゃんは隠してるつもりでもネルちゃんの若干苦しいって気持ちが伝わってくる。


 さりげなく休憩を入れたり、ネルちゃんに強化魔法をかけたりでしっかり労わる。


 ゴブリンさんみたいに壊れちゃったら困るからね。



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