混ぜるな危険
少し休憩してから私は再びゲームにログインする
目を開けると私は玉座に座っていて、目の前にはシモベたちが跪いている。
「……この茶番毎回やらなきゃいけないの?」
「王の帰還であるぞ!」
「「「「ハハァー!」」」」
聞いちゃいねぇや。まあ、みんなが楽しいなら何でもいいけど。
恒例の茶番が終わると、みんな何事もなかったかのようにスッと立ち上がる。
「それでハナ、これからどうするのだ?」
「……これから一回魔王城に行って、魔王様と相談しようかなって」
「なるほどな」
「魔王様って……ハナは魔王様と一体どんな関係なんだよ」
気のおけない仲だよ。距離をおきたい。
早速ゴブリンさんも連れて全員で北城を出発。
「え!? 師匠アルクさんも倒したの!?」
「ああ、それと憶測なのだが、アルクは近づいてしまえば無力化できるかもしれん」
なぬ?
「正確な距離は分からないがアルクに近い時は矢が全く痛くなくてな。ダメージも受けていなかった」
なるほど。つまりそれが『狙撃手』のデメリットってわけね。
「この情報は魔王軍と共有しといた方がいいね」
そんなこんな話していたら魔王城到着。
「忙しいやつだな」
ボソッと呟く門番さん。
ほんとそれな。
魔王様に諸々説明や情報共有をすませる。
「やはりハナ狙いの行動か……すまん。この城はまだ存在が明るみになっていないからな……このままでは攻撃がハナへと集中してしまう……」
それは困る。誠に遺憾の意を表明します。
「そうだ! ちょうどいい! 実は新たな魔王軍側の協力者として巨人族を呼んでいるのだ! そいつと01でハナの城の防護を固めよう!」
あ、01さん要らないです。巨人族さんだけでお願いします。
「二つセットだ」
「じゃあどっちもいらな」
「よし! 早速話を通しておこう!」
こーの筋肉マジ卍。
私が遺憾の意を表明していると、
「魔王様、お待たせしました」
そう言って部屋に入ってきたのは、腰に布を巻いただけの半裸の細マッチョイケメソ。
「おおちょうどよかった。ハナ、コイツがその巨人族だ」
巨人族? ……確かに身長は二メートルくらいだけど。
「巨人族は二つの姿を持っているのだ。身体が大きすぎては生活しにくいだろ?」
つまり本来はもっと大きいけど、今は省エネモードってわけね。
「お話は聞いております。ハナさんですね? 初めまして。僕は巨人族のジオと言います」
私が「あ、よろしくお願いします」と言うよりも早く、
「久しぶりですね。ジオ」
「赤竜……噂には聞いていたけどまさか本当に……」
「ええ。私はハナさんに忠誠を誓いました」
「昔の君は誰よりもプライドが高いやつだったのに……まあ、相手がこの人間というのなら気持ちは分かるけど」
私また魔物にモテてる……なんでなの? 『魔物使い』だから?
「あなたも早く契約して下さい」
いやあのネルロさん? その無条件契約を迫るのはちょっと控えていただきたいんですけど……。
「ま、待って、契約が嫌なわけじゃないんだけど……立場上、僕の一存では決められないよ」
「族長の息子は大変ですね」
「それを言うなら君だって。よくあの赤竜王が許可したね?」
「……別に、許可なんて取ってませんよ」
「…………それ、大丈夫なの?」
流れる沈黙。
「積もる話もあるだろうが一旦やめて、01の元へと向かってもらっていいか? ハナの城の復興を、早急にせねばならないからな」
魔王様がそう言って話を中断させる。
道中、誰も何も喋らなかった。
後々、厄介なことになりそうだなぁ。
「ハナさん、話は聞いてます。復興ならこのパワードスーツなどどうでしょうか」
おや? 薬じゃない?
「死ななきゃ脱げないとか?」
「なんですかその物騒な装備品。このスーツは身体能力を二十倍にしてくれます。……弱点をあげるとすれば、人型の者でなくては装着出来ないというところでしょうか」
うそ……だろ? まさか普通に使える道具が出てくるなんて……見直したよ01さん!
「それからこの薬も有効です。この薬は全てを液状化する」
「パワードスーツだけでお願いします!」
「……分かりました」
スーツを数着持って魔王城を出て、門番さんの横を通ろうとした時。
「あんまり頑張りすぎんなよ」
そう言われて、HP回復ポーションを渡される。
「あ、ありがとうございます!」
お礼は言える。いくら人見知りでもお礼を言わないのはギルティ。
01さんとジオさんと数着のパワードスーツを乗せてネルちゃんは飛ぶ。
「赤竜、君はもう進化したんだね」
「……私にはネルロという名前があるので、そう呼んでください」
「ご、ごめん」
ちなみにドラゴンと巨人族の間で言葉が通じている理由はネルちゃん曰く、「ずっと昔から巨人族とドラゴンは交流が深いんです。なので言葉が通じます」だそうだ。
北城までの道中、一部を除いて会話は少なかった。
その一部と言うのが、ゴブリンさんと01さん。だいぶ盛り上がっていたようだ。……嫌な予感しかしない。




