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魔物使いの少女  作者: つい
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01シリーズ

 宝物庫で入手した二つの装備を、早速装備してみる。


 まずは斧。赤黒くて肉厚の刃。持ち手の部分は黒を基調に、血管のような赤い模様が巻き付けられている。


 次に防具。特に飾りのないシンプルな黒いワンピース。ほんとに何にも飾りがない。


 斧とワンピースって似合わなくない?っと一瞬思ったけど、『ふぁっしょんせんす』なんてものは遥か昔に刻んで刻んで金魚のエサにしてしまったので気にしない。


「なんだか強そうになったな(小並感)」

「お美しい……(崇拝)」

「よくお似合いです!(無邪気)」


 三者三様の意見をありがとう。


 姫ちゃんは今さっき合流した。なんかやらなきゃいけないことがあるらしく、魔王城に着いてからは別行動をとっていた。けど、どうやら用事も終わったみたい。


 まぁ姫ちゃんは魔王様をバシバシ追い込む元メイド長様だからね。引き継ぎとか色々あったのかな? 私と契約したのも魔王様が突然言い出して、ハチャメチャ急だったしね。


「よし、みんな用事も終わったし、ちょっと狩りに行こうか」


 まあ、単純に早くこの斧を使ってみたいだけなんだけど。


 なんでもこの斧には特殊能力があるらしい。武器の耐久値を使用して、特殊な技が使えるって説明に書いてあった。


 これは来るのでは!? ハナちゃん一強最強無敵天下無双天上天下唯我独尊天下人の時代がっ!! 今日から私も、気づいたら意識なくて周りを血だらけにしちゃう系主人公の仲間入りだ!


「みんな、手出しは無用。時代が動くぞ、乗り遅れないでね!」

「ハナ、私はもう嫌な予感しかしないのだが?」

「歴史的瞬間……立ち会えることを神に感謝!」


 ほう? 師匠ってば言ってくれるじゃあないか?


 というわけで、魔王城から外へ移動。そして城下町からも出る。


「ハナ様。魔王城付近は強敵が多いですが……大丈夫ですか?」


 純粋に心配してくれる姫ちゃん。なんだろう……心が救われる。つまり宗教ってことだよね(?)



 目の前には、いつぞやの憎っくき(性格が)狼を見つける。なんか私の記憶よりも黒くてデカくて強そうだけど問題ない。だって私も黒くてデカくて強そうな装備を身に着けているからね(?)。


 こっちは魔王城の宝物庫に保管されるようなとっておき! 負けるはずがないんだよね。


「アレ狩ってくる……私が死にそうで一切抵抗できなくなったらタスケテください……」

「ハナ、別にそんな保険かけてまで行かなくてもいいんだぞ?」


 ええいままよ! ここまで来て引けるわけなかろうて! 私の一世一代大一番! 遠からんものは音に聞け! 近くばよって目にも見よ!








 気づいたら意識なくて、森に(ダメージエフェクト)だらけで倒されていた。


「地獄だった……キバ痛いし……ツメ痛いし……魔法使ってくるし……装備のおかげ(せい)で無駄に耐えるし……肝心の特殊攻撃全然効かないし……演出無駄にかっこいいし……」

「なんというか、まぁ……予想通りだな」

「ハナさんドンマイです!」

「ハナ様! 大丈夫ですか!?」


 師匠もネルちゃんも慣れてるから落ち着いてるけど……姫ちゃんは癒し!


「大丈夫だよ、割といつものことだし」

「いつも瀕死って……それはそれで……」


 たしかに。


 でまあ、結論。



 無理ッ!!!



 と言うのもね、肝心の特殊攻撃はステータスによって威力が決まる。


 ステータスによって威力が決まる。


 ステータス。


 ハァ……。


「私もう疲れたよ。帰ろっか」


 まあボロボロにされて動けないんで、運んでもらうだけなんだけどね。


 門番さんに三度見されて、呆れの視線を受けながら通過。気分は晒し者です。おい百目(仮称)こっち見んな。


「百目って凄いよね。一人で五十人じゃん」

「ハナ様混乱になってませんか? すぐ薬を買ってきます!」

「待て姫雪、これも平常運転だ」


 なんとか城に到達。そのまま割り当てられた部屋までネルちゃんに運んでもらう。


 姫ちゃんに扉を開けてもらうと、


「おおハナ! ハッハッハ、随分と派手にやられたな!」


 部屋に置いてあった果物をムッシャムッシャしながら話しかけてくる魔王様。


 この筋肉、レディの部屋に堂々と……紳士な師匠を見習って欲しいね。


「まあ儂の城だし? っとそうだ。01特製回復薬が」

「いらない」

「……実験データが欲し」

「やだ」

「…………」

「魔王様お帰りください。ハナ様が休めません」

「……コレ使えば色々良くなって凄いことになるのに」


 誰が使うかそんな危険薬!


 すごすごと大きな背中を小さくして、魔王様が退場していく。


「薬持ってきますね」

「じゃあ、私がハナさんを見ています」


 テキパキ準備が整えられていく。


「なんかごめん」

「いえいえ、私はハナさんのチャレンジ精神大好きですよ」


 やっぱりネルちゃんも癒し枠。


「師匠も呼ぼうか」


 一人蚊帳の外もかわいそうだしね。


 師匠を呼ぶと急に気が抜けて、眠くなってきた。


「ごめんネルちゃん、ちょっと寝るね」

「はい、ごゆっくり」


 呼んでおいて寝るのは師匠に悪いかとも思ったけど、眠気には勝てそうもないので抗わずに目を閉じる。


 間も無くして意識がなくなった。






 人間はどんな時に驚くだろうか?


 予想外の出来事があった時だろう。


 今、私の目の前で起きている現象は、予想外を点数化したとしたら文句なしで百点だ。限界突破で百二十点でもいい。


 少なくとも、このゲームを始めてから一番びっくりりした



 果たして、



 師匠が超強くなっているなんて、誰が予想できただろうか?



「えっと……師匠どうしたの?」

「ああ、私はチカラを手に入れたのだ……!」


 なるほど分からん。


「説明、お願いできる?」

「もちろんだ」


 師匠の見た目は様変わりしていた。大きさは象くらいになって、ツノも1.5メートルほどあり、バチバチしてるから帯電とかしてるのかな? そして驚くなかれ、ステータスがなんと……ネルちゃんに勝らずとも劣らないトンデモステータスとなっている。


「ハナたちと別れた後、一人で01の部屋の近くの廊下を歩いていたのだが」


 犯人特定した! 今日から私のことは特定班と呼んでくれ。


「そしたら突然、『チカラが……欲しいか……』と聞こえたのだ」


 ああ……うん。それで?


「振り返るとそこには、一つの袋が落ちていた。袋の中に入っていた薬を飲んで、今に至るというわけだ」


 よく飲む勇気あったね……。私だったら刻んで刻んでゴブリンさんのハギスに混ぜるよ。


「それもどうなんだ……」


 そんな時だった。


「師匠さん……でしたっけ? もしかして薬を飲んでしまったのでしょうか?」


 01さんが現れて、恐怖の宣告タイム。


「すまない、何かマズかったか?」

「いえ、私としてはとっても助かるのですが……その薬は……一時的な超強化の代わりに、半永久的な超弱体化という作用がありまして……」

「なっ……!」


 だから言ったじゃん! 01シリーズダメ絶対!!


「実験が進めばおそらく弱体化を解消する薬も作れるのですが……残念ながらやはり超弱体化が嫌なのか、誰も実験に協力してくれなくて。……あの魔王様にすら断わられる始末……」


 あー……魔王様01さんの発明とか好きそう。多分01シリーズ愛用者だ。


「ふむ、そう言うことなら喜んで実験に協力しよう。私は元々ステータスが低いからな、今さら弱体化したところでどうと言うことはない」

「ありがとうございます。では今から少し戦闘に行ってもらってもよろしいでしょうか? 私もついていきますので」

「よし、師匠行こう。私はもう大丈夫だから」

「了解した。行こう」


 城を出て、せっかくなので師匠に乗って移動してみる。門番さんめちゃくちゃ驚いてた。

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