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魔物使いの少女  作者: つい
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当然の結果

 狼さんは姿勢を低くし、いつ飛び掛かって来てもおかしくない。


 あ、そうだ『言語翻訳』!


「あの、見逃してくださいお願いします……」

「は? バカ言ってんじゃねぞ。こっちは三日も食ってないんだ。こんなオイシイ獲物見逃すわけないだろ」


 デスヨネー。『言語翻訳』を使ったからと言って、必ず魔物と仲良くなれるわけではないらしい。いや、私がもし何か人肉と兎肉よりも美味で、食いでのある食べ物を持っていれば仲良くなれたかもしれないけどさ。


「主人よ、急にがうがう言い出して……どうした?」

「あっ、周りからするとそう聞こえるのね」


『言語翻訳』をうっかり人前でやると変人に思われそうだ。


「『言語翻訳』で相手の意思確認してた!」

「なるほど、それで相手は何と?」

「総員戦闘準備!」

「了解した!」


 ぶっちゃけ勝てるとは思えない。冷静に考えて欲しい、先程『魔物使い』であるプレイヤー本人の身体能力、つまりステータスは低いと言ったな……。


 あれは嘘だ、本当は最低値である。

 

 師匠も正直、めちゃくちゃ弱いだろう。だってそんな能力最低値の人間に、不意打ちで、脛に頭突きをかました。しかし、実際は大したダメージになっていない。


 つまり私たちは狼さんにとって、ただの動いて喋る肉塊。字に起こすと気持ち悪いな? 


「フッ、実力は敵の方がはるかに上、しかしそんな奴に一つ痛いのをお見舞いしてやろう」

「師匠? ……えっ! もしかして何か策があるの!?」

「勿論だ。実はな、私には……」


 師匠が語り出したその時。


「さっきから、無視してんじゃねぇぞ!」


 キレた狼さんが飛び込んで来て。


 ガブッ。


「師匠ォォォォォ!!」


『<師匠>が撃破されました』


 そんなシステムメッセージを遺して、師匠は逝ってしまった。


「逃がさねぇぞ」


 きゃー。恋愛ゲームのイケメンみたいなセリフね(偏見)。


 そんな馬鹿みたいなことを考えていると狼さんが突っ込んで来て、人類最弱である私は反応すら出来ず、引き倒され、首元に口づけをされる。


 ちょっと強引過ぎませんか? だから狼ってか? やかましいわ!


 死に際の一人漫才を終えて、目を開けるとそこは私のダンスステージだった。ただいまー。


 師匠復活まで時間あるな。……うーん、今日はここまでにしよう。一回現実に戻ってネットでこのゲームについて調べてみようかな。


 そうして私はメニューを開いて、逃げる様にログアウトする。視界の端にさっきの観客がチラホラと、こっちを見ているのが映ったからだ。


 いや、もうやらないよ? さっきのも不本意だしね。

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