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魔物使いの少女  作者: つい
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僕らの救世主

「ゴ、ゴブリンさん!」


 そう、みんなのアイドルゴブリンさんだ!


「どうしてここに!?」

「それは……その……」


 ゴブリンさんが口ごもる。なんだ、なんか言いにくい理由なの?


「……俺たちがこの城に住み着いていた時、お前が『ここは戦争が起こる』って言ってたからな。ちょっと様子を見に来たんだ。それだけだ」


 うん……好奇心で戦地に来るのはやめた方がいいと思うよ? 


「そうしたら入り口でドラゴンが派手にやってて、お前らの姿がない。まあ、やられたかココかと思って来たってわけだ」


 流石賢いゴブリンさんだ。助かったよ。いや本当に。


「不甲斐ないところを見られてしまったな……」

「いや、俺が詳しく伝えなかったのが悪かった」


 謝り合うゴブリンさんと師匠。それを黙って見ているキングオブ役に立たない&何もしてない私! ……うん。ごめんね。


 謝罪の応酬もひと段落した所で、ゴブリンさんの道案内に従って迷路の攻略を目指す。


 ちなみに攻略方法は、通路の天井に取っ手があって、それを引っ張ったら隠し階段が現れるというものだった。微妙に気づけそうなギミックやめれ。


「ここを行くと、玉座のある部屋に繋がっている」

「部屋のどこに出るの?」

「玉座の正面の暖炉だ」


 実質正面突破じゃないですかヤダー。


「ふむ、ネルロが暴れてるとはいえ……流石に玉座にも最低限戦力は残してあるだろうな」

「その最低限の戦力でさえ突破出来ない私たち……」

「俺を一緒にするな」


 いやゴブリンさんもこっち側でしょ? そりゃ私や師匠よりは強いだろうけどさ。


「とりあえず行って、敵戦力の確認だな。ハナたちはここで待っていてくれ」


 そう言って師匠は階段を進んでいった。取り残される私たち。



 き、気まずい……。



 困ったことにここには本も音楽プレイヤーも、ペットボトルのラベルさえ無い。すると必然的に意識は相手に向く。


「おい」

「は、はい!」

「その……だな」


 急にモジモジし始めるゴブリンさん……まさか。


「お前に言いたいことがあるんだ……」


 こ、こここくくはははは告白!?


「この戦いに勝ったら……」


 しかも爆弾付きじゃないですかヤダー。


「俺たちゴブリンをこの城に住まわせて欲しい!」

「待った! これ途中で師匠が帰ってきて一部始終見られて微妙な空気に……え?」


 住まわせて……欲しい?え?


「アアウンウンシッテタシッテタゼンゼンドウヨウトカシテナイデソウロウマジマンジ(ry」

「……なんて言った? 早口でよくわからなかった」

「戻ったぞ」

「ヤア師匠オカエリ。ドウダッタ?」


 ふふふ、私の自然過ぎる『話題転換魔法』発動! 効果で相手のお話を強制終了させる! ゴブリンさんのターンは終わりだ!


「……どうしたハナ? 何かあったのか?」

「ああ、さっき早口で何か言ってたんだが……」


 やめて師匠! 興味を持たないで! 流されてよ!


「……まあいい。それで、どうだった?」


 なかなか口を割らない私を見てゴブリンさんが諦めたようだ。賢明な判断だ。しつこい男は嫌われるからね(個人の意見です)。


 師匠から詳しく人数や配置を聞き、その師匠の説明の途中でネルちゃんからも片付いたと連絡があった。不本意ではあるが、ネルちゃんにも協力してもらおう。私のつまらない意地で作戦失敗しちゃ、それこそ申し訳ないからね。


 今、イベント最後の戦いが始まろうとしていた。

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