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魔物使いの少女  作者: つい
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帰ったら……

 イベント当日、私はネルちゃんに乗って始まりの街まで高速移動していた。


 いっけなーい、遅刻遅刻ー! ってね。


 普段暇してる私だが、なぜか今日だけちょっとリアルの用事が忙しくて遅れてしまったのだ。


「ごめん二人とも……」

「気にするなハナ。それよりも、遅刻とは新たな出会いを得るチャンスではないか。パンの準備はしてあるか?」


 いや用意はないけど、あれは遅刻の焦りが大切であって、パンはただのギャグ要素でしょ。……それとももしかして、パンじゃなきゃあのイベントは起こらないのか? パンが事象を引き寄せているのか?


 ……まあ、今回に限っては残念ながら周りには怪鳥しか見えない。視界良好異常なしであるために、ぶつかって来る奴がいたとしたらそれはもう悪意を持った当たり屋だよね。オラ! ネルちゃんにぶつかれるもんならぶつかってみやがれってんだ。命の保証はないぞ。ほんとに。


「そういえば私、急いでいたら飛行船にぶつかって落としちゃったことあるんですよね」

「ネルちゃん、スピード落としていいよ。安全第一で行こう」

「いえ、大丈夫です。例えこの身が落ちてもお二人は守ってみせます」


 ネルちゃんも心配だけど飛行船の方にも悪いから言ったんだけど……まあ、急がせてる原因は私が作ったんだし、とやかくは言えないんだけどさ。



 そんな話をしているうちに始まりの街が見えてきた。


 三分前! ギリセーフ!!


 ネルちゃんと師匠も人化して街に入り、中央広場で受付を済ませる。会話は師匠任せで。


 私の受付が終わると同時に、始まりの街にアナウンスが入る。



『ただいまより、イベント『城ギルド争奪戦争』が開催されます。参加されるプレイヤーはスタート地点を選んで下さい。五分後、転送が始まります』」



 参加するプレイヤーは東西南北の城を選び、その付近にワープさせられる。付近と言ってもかなり広い。ちなみに受付をしていないプレイヤーは東西南北の城付近に入れなくなるそうだ。


 イベント中は死んでもデスペナはない。リスポーン地点は選んだ城付近。城を現在占領中なら玉座付近だ。その代わり、三回死んだらイベントは強制終了。始まりの街に戻されて観戦組と酒を楽しむことになる。


 イベント中は特に禁止事項はない。例えば他とチームを組むのもあり。でもシステム的には組めないので裏切りに注意が必要。まあ私には一生関係ない話だね。


「私たちは北ですよね?」

「そうだね。よしっ! がんばろー!」

「ハナ、実はな……私はこの戦いが終わったら結婚を考えているんだ」

「待って師匠、それはダメ。結婚は素敵だしおめでとうだけど、言うタイミングが最悪」

「冗談だがな」

「やめてよ……ネルちゃん真似しないでね」


 出遅れたという顔をしているネルちゃんに釘を刺しておく。


「は、はい。もちろんです」


 はぁ、まったく……。


 そうこうして数分経つとアナウンスが聞こえはじめる。


『転送を開始します』


 師匠のせいで不安いっぱいな私は光に包まれた。……ん?



 ……あれ、師匠たち光に包まれてないんだけどっ!?



「クッ! ハナ、先に行け! ここは任せろ!」

「ハナさん! 先に行って下さい! 必ず後で合流しましょう!」

「分かった……約束だよ? 必ず追いついてい来てね?」

「ああ……!」

「もちろんです!」



 帰ったら……また、三人で。



 不安が三倍になった。いやまあ、乗った私もアレだけどさ……。

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