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魔物使いの少女  作者: つい
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戦争の準備

 ゲームにログインする。


 見知らぬ天井……じゃなくて、前回魔王城でログアウトしたんだっけ?


 私はベットに寝ていたので、体を起こす。そして視界の端にメッセージの受信を告げる通知を発見する。


 運営からメッセージ? とりあえず、師匠とネルちゃんを呼ぼうかな。




「よし、みんな集まった! あ、師匠ウサギステーキ」

「まだ何も言ってないのだが……」


 牽制は事が起こるのを阻止するためにするんだよ。……って、冗談はさておき、メッセージを読む。


 ふむふむ。……まとめると、明日(現実時間で)からイベントの城争奪戦がスタートするってことだ。


「ふむ、いよいよか」

「楽しみですね。私も頑張ります!」

「うむ、儂も全力を尽くそう」

「そうだね! みんなで……って魔王様いつからここに?」

「まあよいでははないか。それより、人間は面白そうなイベントがあるようだな? 儂も参加したいなぁ」


 魔王が参加とかダメだよ! よく分からないけど多分絶対ダメ!


「ふむ、しかし魔王様。立場上あまり人間の前に出ないほうがいいのでは? 無論、人間に遅れをとるとは微塵も思っておりませんが」


 師匠が恐る恐るといった感じで魔王様に言う。


「うむ、それもそうじゃな……しかし仕事をしたくな……もうバレたか」


 床からレイスが生えてくる。


「魔王様、お仕事終わりましたか?」

「……さらばだハナ!」


 魔王様が本気で部屋から飛び出す風圧で私と師匠は飛び、ネルちゃん(ドラゴン状態)が受け止めてくれなかったら壁とお熱い抱擁をするところだった。


「城内で私から逃げ切れると思わないで下さい。……全く、お客様にも迷惑をかけて……」


 ブツブツ言いながら床に沈んでいくレイス。なんというか……お疲れ様です。


「作戦会議しよっか」


 まさに嵐が去った部屋の中で、ネルちゃんにめり込んだまま私は呟いた。




「ふむ、その作戦はハナが危険過ぎるな、私は賛成できない」

「私も、賛成は出来ませんね」

「えぇー? いいと思ったのに……」


 敵城直上で私と師匠がネルちゃんの背中から飛び降り、そのまま敵城のバルコニーに着地。最短距離で玉座を破壊する。ネルちゃんは上から火球で支援。突如降ってきた人間とウサギと火球に防衛側は混乱し、乱れ、鼻歌スキップで玉座を破壊できる素晴らしい作戦だ。


「名付けて『親方空から女の子とウサギと火球が!』作戦」

「やはりダメだ」

「ダメです」

「ダメか。じゃあ師匠、なんかない?」

「ふむ、そうだな……」


 師匠の作戦はこうだ。


 ネルちゃんに乗って城に接近、極力高度を取り、安全に確実に火球で敵を削り、師匠が敵の魔法詠唱や投石機、大砲(『技術者』という職のプレイヤーが作れるらしい)の音を警戒する。


「私の仕事は?」

「リーダーとは、偉そうに踏ん反り返っているのが仕事だ」

「ちょっ!? 全国のリーダーに謝って!?」

「全国のリーダーの皆様、申し訳ありません」

「なんでネルちゃんが謝るの!?」

「連帯責任かと思いまして」


 めちゃくちゃだよもう。


「それで私の作戦はどうだ? 作戦名は……コソコソ上から攻撃するからな……『コソコソ作戦』でどうだ?」

「ダメ」

「師匠さん、それはダメですよ」

「ダメか」


 内容はともかくその作戦名はダメです。


「じゃあ最後ネルちゃん」

「はい」


 ネルちゃんの作戦はこうだ。


 後半まで動かないで敵の戦力が削れるのを待ち、丁度いいタイミングで敵を一掃、玉座を破壊する。つまり漁夫る。


 私たちの戦力じゃ城を落とせても防衛が厳しい。なのでイベント終了ちょっと前に城を掻っ攫い、数時間を全力で守ろうということだ。


「作戦名は?」

「重要か?」

「最重要事項」

「そうですね……『漁夫の利玉座作戦』なんてどうでしょう?」

「いいセンスだ! 採用」

「……虚しくないか? それに作戦の内容は、私の作戦とあまり変わらない気がするのだが……」

「師匠のは作戦名がダメ」

「ダメです」

「ダメか」

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