表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物使いの少女  作者: つい
19/129

知り合いかも

 北に飛ぶ。北城よりも、さらに北に。


「どこまで行くねーん!」ってツッコミでも入れようかと思ったら、やっとネルちゃんが森の上で止まった。北城超えてからも十分くらい飛んでたね。


「このあたりのようですね」

「やっと着いたのね」


 とりあえずネルちゃんお疲れ様っと。


「だいぶ涼しくなったな」


 そうだね師匠。でも、寒くはない。むしろ快適なくらい。ほんと、一年中このくらいの気温なら過ごしやすいのになぁ。


「多分あの子屋だと思うのですが……」

「うーん……あっ! あれか」


 針葉樹の森の中に、小さな小屋が一軒建っていた。立派な煙突から煙が出ているので分かりやすい。


「どこに着陸しましょうか?」


 たしかに木を蹴散らして着陸するわけにはいかないもんね。


「うーん……あ、そこに湖が……寒いかな?」

「いえ、大丈夫です。……そこしかなさそうですね」


 というわけで、小屋の裏手にあったそこそこ大きな湖にネルちゃん着水。勿論、ドラゴンが裏手の湖に降ってきたらびっくりするので、ゆっくりと。


「よし、じゃあ後は、師匠とネルちゃんよろしく!」

「……任せておけ」

「はい!」


 ん? 師匠の返事に変な間があったぞ? ラグかな?


 二人は再び人化して小屋に近づき、ネルちゃんが優しく扉をノックする。


「はいはい、どちら様でしょうか」


 出てきたのは痩せ細り、腰の曲がった老人だった。失礼だけど、とても鍛冶師には見えない。


「あの……」


 ネルちゃんはここに至るまでの話を老人にして、ルビーを見せる。


「これは……しかし、すまんな。残念だが、今は少し力になれそうにない」

「ふむ、何か困りごとでもあるのか?」

「実はな……道具を一式、ゴブリンどもに盗まれてしまったのだ」


 へー。ゴブリン……ね。


「恐ろしく賢いゴブリンたちで、罠にもかからん。この間などは、見事な連携で狩りをしている所を目撃したりもした。本当にゴブリンかと疑いたくなるほどだ」


 へー……賢い……ゴブリン。……ふーん……賢いゴブリン。……なんかごめんなさい。それ多分知り合いです。


「賢いゴブリンですか……もし鍛冶道具を取り戻したら装備を造って下さいますか?」

「それは勿論だ。だが……奴らは本当に、普通のゴブリンとはわけが違う。戦闘になれば一筋縄でいかぬだろう」

「心配は要りません。多分戦闘になりませんから……」

「む? 戦闘にならない? ……とにかく、無理はせんでいいからな」

「はい! それでは」


 これがいわゆるクエストってやつだよね。ゴブリンさんを守った時は勝手にクエストが始まっていたけど、今回は分かりやすい。


 にしても……たしかにゴブリンさんたちは、あの時北に行くとは言っていた。それがまさかこんなに早く再会するとは思わなかったよ。それも、結構気まずい形で。まあ、ネルちゃんの言った通り戦闘にはならないと思うけど……きっと鍛冶道具も必要だから盗んだんだろうね。


「師匠、なんか聞こえる?」

「……ダメだ、ゴブリンの居場所が掴めるような音は聞こえてこない。森は他の動物も多いからな」

「ネルちゃんは、なんか見えた?」

『ダメですね。流石にこの広い森から、緑の小人を見つけるのは難しいみたいです』


 ネルちゃんは上空から、師匠と私は地上でゴブリンを捜索している。しかし、捜査は難航していた。


 ネルちゃんも師匠も手掛かりを掴めない。え? 私? ……うん。


 まあ私の事はいいとして、やっぱり闇雲に探しても見つからない。なんか作戦を考えなきゃ。そう! 私の仕事は作戦を考えること! 私のスーパーでクールなブレインで、ナイスなアイディアをシンキング! ……ごめんなさい師匠たちの方が頭の回転が速いです。


「ハナよ、少し考えたのだが……」

『ハナさん、少し考えたんですけど……』


 ほらね!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ