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魔物使いの少女  作者: つい
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ゴブリン編終

「ふぅ、間に合って良かったよ」


 私は城のバルコニーから、すっかり静かになった城下町を見下ろす。


「……なんで助けた?」

「え? だって死んじゃったらかわいそうだし……」

「はぁ……」


 なぜかため息つかれた。解せぬ。


「つまりお前は、あの人間どもの仲間じゃねぇんだな?」

「うん。……うん? いや……どうなんだろう?」


 プレイヤーという意味では仲間? 私個人で言えば、人間は怖いので、フレンドリーって感じではないかな。


「まあいい。とりあえず礼を言う。ありがとう」

「いえいえ、私何もしてないし。言うならネルちゃんに」

「ネルちゃん……そのドラゴンのことか?」


 ゴブリンの礼に「はい」で答えるネルちゃん。言葉通じてないからゴブリンさんちょっとビビってるけど。


「それでゴブリンさんたちはこれからどうするの? 全滅はしてないみたいだけど……」

「ここからもっと北に、人間が来ないところまで行って静かに暮らす。ここにいるとまた襲われそうだからな」

「そっか、気をつけてね」

「ああ」


 たくさん仲間を失っても前を向いている。このゴブリンさん滅茶苦茶心が強いな。


「ん? ハナよ、仲間に引き込まないのか?」

「うん。ちょっと今は大変そうだし。それに、絶対人間に対していい感情抱いてないと思うから」

「ふむ。まあ、それもそうだな」


 それから数分後。


 どうやらゴブリンたちの出発の準備が終わったようだ。あのゴブリンさんが、こっちに話しかけてくる。


「最後に、これを貰って欲しい」

「なにこれ?」


 なんか赤色の宝石を貰った。デカい。リンゴよりも一回り大きいくらいだ。


「これはルビーという宝石だ。炎の力を強める効果がある。見たところ、そのドラゴンは炎を使うのだろ? これを装備として使えば今とは比べ物にならない火力となるだろう」


「ル、ルビー……宝石……」


 手の震えが止まらない。貧乏人にこんなもの持たせちゃダメだって!


「ハナよ、絶対、絶対に落とすなよ?」

「やめて! そういうこと言うのやめて!」

「ストレージにしまえばよいのでは?」


 ネルちゃん天才! ん? 魔物にもストレージの概念あるの? まあ、いいか。


「よし、ではお礼の品も渡した。ここでお別れだ。じゃあな」

「あ、うん。強く生きてね」

「おう」


『クエストをクリアしました』


 うわ、ビックリした! え? クエスト? なんか受けたっけ? ……確認してみるよう。


『北城のゴブリンを守れ』(達成済み)


 半分以上守れてないから!! というツッコミは置いておいて。マジで受けた記憶がない。報酬がルビーの塊(大)って、ゴブリンさんに貰ったやつかな? うーん……まあいいか! 得してラッキーくらいの気持ちで行こう! 


 ゴブリンたちもいなくなって、周りは静かになった。


 なんかこういう状況を詠んだ俳句があったよね。なんだっけ。兵どもが……いや、岩にしみ入る? ……岩にしみ入る兵ども? うん、何かが違う。座標バグ起きちゃった……。

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