表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物使いの少女  作者: つい
120/129

魔王VS人類5

 一度魔王城へ帰宅。補給をしたり魔王様と話したり色々済ませて、はてさてどうしようか悩む。


 こっからがずっときつい。なぜなら人類軍は最短ルートで魔王城を目指す集団もいるだろうし、ネルちゃんを警戒して遠回りでひっそりと魔王城を目指す集団もいるだろう。こうしている間にも人類軍は次々とダンジョンを突破しているわけで、もう把握は無理だ。


 おまけにさっきの戦いで、人類軍にも何かしら移動手段があることが分かってしまった。いやまあ、考えれば当然思いつくことではあるんだけどさ。


 今から一番やっちゃいけないのは、城主あるいはそれに準ずる強力なプレイヤーと入れ違いになってしまうことだ。


 魔王城から遠く離れた辺境の地で私が敵を倒してキャッキャしている間にダンが魔王城来たとかなったらもう完全アウト。よって、これからの私の行動範囲はすぐに魔王城へ戻れるところまでだ。


 そうは言っても、『すぐ』の具体的な範囲は分からないし、強力なプレイヤーの発見報告があれば西へ東へ飛んでいかなければならないだろう。


 私は休憩用に割り当てられた部屋に入って、一度ログアウトをする。現実世界のSNSで情報収集を試みた。 


 うーん……あんまりいい情報はないか。


 とにかく被害報告が目立つ。ドラゴンにこんなことされたとか盗賊のやつらに何を盗られたとか。これも確かに情報ではあるんだけどね。


 しばらく情報を漁っているとチラホラと『ハナがSNSを見ているかもしれない』と言った感じの書き込みを見つけた。私が見ているかもしれないから書き込みを控えようといった旨の投稿であったが、ページを更新する度に新規の投稿がされているあたり効果はないみたい。


 ついでに『嘘の情報を流してハナを騙そう』と言った感じの書き込みも発見。それを私が見える場所で言ったら意味ないのでは? さらに様子を見てみると何人か騙されているプレイヤーがいて、『紛らわしい』とか『余計なことするな』とか、仲間割れして言い合いになっていた。人間って面白。


 とまあ、有益な情報は何もつかめないまま私はゲームの世界へ帰還。


 自室で引きこもっていても仕方がないので玉座の間に行って魔王様に会いに行く。


「おお、ハナ。まだ休憩していてかまわんぞ?」

「いや、もう大丈夫! それよりも今どんな感じ?」


 私がそう尋ねると魔王様の代わりに魔王様側近であるサシさんが答えた。


「大規模な人類軍と魔王軍の戦いが起きていますね。魔王軍の方が数は優勢ではありますが、人類軍の方が個人の練度が高く、このままでは勝利は厳しいでしょう」


 それなら私がと言いたいところだが、これがまた判断が難しい。


 私がネルちゃんに乗ってドヤ顔で戦場に乗り込んで、それを確認した人類軍が城主メンバーに連絡。私のいない魔王城へ少数精鋭のクソ強メンバー強襲という未来が見える見える。


 それにネルちゃんだって行ったところで活躍できるか分からない。メサリアは対多数戦闘が最も得意なのだから、普通に魔王城強襲メンバーに加わっていない可能性がある。アルクも室内よりは屋外の方が戦いやすいはずだから強襲メンバーに加わっていない可能性がある。するとどうだろう、私がこの大規模戦闘に出張っていくのはまさに人類側の思うつぼで、待ってましたとメサリアとアルクがドヤ顔でネルちゃんを撃墜しようと狙ってくる可能性もあるわけだ。


 そもそも、敵は私がここまで深読みをすることを考えた上であえて何も策を張らずにシンプルドンパチやってる可能性もある。


 もうどれが正解かわっかんねぇ。


 わっかんねぇ時はとにかく最悪を想定して避けるべきというのはIQ3でも知ってる周知の事実ではあるが、ここに一つ感情というヤツが混じると人間は正しい選択ができない場合がままある。


 つまりは多数の魔王軍を見殺しにしなくてはならない。その中には恐らく、門番のギンの弟であるゲンもいるだろう。デラークさんの姿も見えないし、今前線で戦っているのかもしれない。


「……行ってもいい?」

「ハナの好きに動くがよい。言っておくが、あまり魔王城の防衛力を舐めるでないぞ?」


 そうだ。そもそも私が手を貸すこと自体がイレギュラーであって、魔王城はそんなことしなくてもこのゲーム最高難易度のダンジョンなのだ。魔王様がいてサシさんがいてタムタスさんがいて01さんがいて……は?何やこの厨パァ! 絶対負けるわけないじゃん!


「僕も行っていいですか?」


 どこから話を聞いていたのか、後ろからジオさんが声をかけてくる。断る理由があるわけない。


 そういえば族長になって覚醒したジオさんが本気を出しているのってまだ見たことがない。覚醒前でさえダンを真正面から瀕死に追い込む戦闘力があったのだ、今なら確実にダンを倒すことができるだろう。


 それにネルちゃんとジオさんの共闘は間違いなく私が持てる最大火力だ。これがどんな破壊力を持っているのか、少し楽しみですらある。


 そうと決まればすぐ行こう今行こう。私はダッシュで一度ゴブリンさんたちの所へ行ってあるものを受け取り、それから大規模戦闘の戦場へとネルちゃんに乗って向かった。




 


 


 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ